7:確認

 一旦部屋を出ると。オオノキと松神は向き合った。

 「嘘は言っていない。彼は一見アウトローだけどその実かなりの純真派だ」

 「冗談だろ。お前、あいつの経歴見たのか?金で面倒を解決してきたバカ息子だぞ?」

 「キミこそ、彼の作品をちゃんと見たの?彼の撮る物語はどれも根っこの部分にかなりの道徳的な観点がある。ホラーを撮る時でさえ基本的には因果応報がベースだ。だから、はっきり言って、彼の作品はそこまで面白くない。でも彼は自分より幼い女性を襲って殺す人間でもないんだ」


 「それで納得しろって言うのか?……いいか?女の子が殺され、その子が見つかった場所の近くには監禁部屋の跡地があった。中には拘束具があり、その持ち主は女の子を追いまわしていた男だった。女の子の死因は拘束しようとした際の失敗だから動機にも合致する。逆にあいつ以外に誰がいるんだ。……ああ、幽霊とか言ったら怒るからな」


 「そう。幽霊じゃない。犯人は大井だ。たぶんね」

 「大井?キャンプ場のか?動機がないだろ」

 「ああ、でも考えてみて。幽霊の噂が流れだしたのは半年前。彼があそこで働きだしたのも半年前だ。彼は蓮間と近しい間柄だし映画にはキャンプ場で撮影したシーンもあった。彼はその時に拘束具を手に入れていたんだ。さらに言うと、麻梨香さんの遺体には抵抗した痕がなかった。見知った人の犯行であることは明らかだ。少なくとも近づいて警戒されない人間だ。彼しかいない」


 「だが一番に重要な点を忘れているぞ。動機だ。なんで殺す必要がある。昼は好青年で夜はシリアルキラーだとでも?」

 「もちろん違う。僕が思うに、あれは半分事故だったんだと思う。だから、そのあたりを確認する。ひっかけて喋らせるんだ。キミにも手伝ってほしい」

 「結局またそうなるのか……」

  松神はため息交じりにそうこぼした。

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