第37話 無情
21時09分風が弱まり、雨のみが勢力を増していく、琵琶湖の水位が少しばかり上がり道路が2センチ浸水している道路を走るバスが1台。
バス内にボツボツと雨音が響く車内には戦う事を決め武器を装備した陰陽道隊員24名、そしてバスを運転していたのは
「
張り詰めた空気の中緊張を和らげようと1人の隊員が
「そうね……」
だが
だが無情にもこの歯痒さが残る隊員達の目的地滋賀第1支部が直ぐそこへと迫っていた。
「後8分ばかりで到着します、狙撃手がいるかどうか分からない状況ですので、このバスのまま支部に突入します。
直ぐ戦闘になる可能性もあります、覚悟を決め準備しておいて下さい」
隊員達は窓から狙撃されない為にしゃがみ込み座席の足に身体を固定する。
すると、『この状況で、言いづらいですが……、大事なことなので』
内容は一変の望みもささないほどの最悪の状況、支部内に放った式神兵は全滅……それに敵が何人居て、どの様な攻撃で式神兵を破壊したのかさえ分かっていない状態であった。
さらなる恐怖が隊員達を包み込む。
すると最後尾の席でしゃがんでいた男性隊員が1人バッっと立ち上がり、バスの真ん中を入り口に向かい早歩きで向かって来る。
「
だが男性隊員の決断は遅く、
「……もう、支部直前よ申し訳ないとは思うけど今バスを止める事はリスクが高いそれに、狙撃手がいたとしたらバスを出た貴方は格好の的になるわよ」
「なっ……ならこのバスを盾に最後尾の窓から逃げさせていただきます……もう私は命令でも逃げさせていただきます」
そう伝え、男性隊員は後ろを向き最後尾の窓めがけ走り出す。
男性隊員が窓に勢いよく飛び込もうとした瞬間だった。
「……今のは」
するとバス、式神兵……それと立ち上がった男性隊員の身体が真ん中から裂けるように分裂していく。
男性隊員の大量の血が飛び散る中、
「全隊員! バスから離……」
ドォォォオン!! 分裂したバスは勢いそのまま支部へと突っ込み、損傷したエンジンから出火し大爆発を起こす。
「
「やっと来ましたか……
薄いファイルケースを取り出し、
「さぁ合流地点に向かいますよ」
そういうと
「はぁ……着いた早々また移動かぁ、俺も烏天狗の細胞取込めば良かったと今痛感している」
「待て……まだ貴方達を行かせる訳には……はぁはあ……」
「あらあら、あの爆発でまだ生きてるなんて頑丈な女ですね」
燃え上がるバスから這い上がりボロボロの身体で
それでも尚、
「あんな身体で無駄な事を良くやれますね」
「フゥー……」
ドンッ!
放たれた弾丸は
「んなっ!!」
「残念……頭を狙ったつもりでしたが、まぁ今の発砲は無駄にはならなかったみたいね」
っと小野目は標準を修正し、再び引き金を引く直前だった。
「
「……かっ身体が動かない」
「
「確かに言い返す言葉見つからねぇ」
「ヒッヒッ私の烏天狗細胞より、やはり
「まぁそういう事にしておきます」
そして
「くっ……こんなところで死んでたまるか」
ドンッ! ——
1発の銃声が鳴る……。
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