第31話 約束
「中々濃ゆい戦闘やな〜」
「そうですね、レベルは高い方だと私も思います。
それにしても
城内には5機の飛行移動型マイクが存在している、マイクで拾われた音や声は電波で滋賀第1支部コントロール室に送られ、そこから指定のスピーカーに送られている。
「最初はな電波ジャックか! ……なんて騒いどったけど無線も電話も通じるんや、関係無いやろって訳でただのマイクの故障やろな」
「そう……ですか、まぁ私は声が無くても大体何を話しているか口の動きだけで分かりますがね」
「おぉ、読唇術って奴か!
「そんな事無いですよ」
「それにしてもこっちの3階での戦闘はどや? 2対1になってしまったけど……決まりかな?」っと
「いえ、まだ分からないですよ。意外とあの子も天才肌ですからね」
「うわぁ、自分の事天才だと言っているみたいやん」
——時間は数分前に遡る。
4階での爆発後、3人は3階に落とされ
「あー痛ってーけど爆発に巻き込まれて、このくらいのダメージなのは幸いだったなー」
すると遊馬の右手にポヨンっという柔らかく、暖かい感触……。
「こっこっこれはまさか!」と眼を大きく広げ期待して前を向くと。
「……なんだケツか」
「ガッカリしてんじゃないわよ! お尻でも喜べ! 」
と上条は床に横になったまま、遊馬の顔面にめり込む程の蹴りを打ち込む。
それから2人は立ち上がり。
「う……仲間にやられる所だったぜ……それにしても
「私のも壊れてます……」
その時、
ガキン! と金属音と共に
「え〜〜なんで分かったの! てかなんでこんな薄暗いなか銃弾を斬れる訳?
「えぇ見てましたよ、こっちに来て正解でしたねとても楽しみです」
赤色がかった茶色い短髪で前髪をピンで留めており凛々しい顔立ちのその少女、
「
「あいよ」っと返事をすると両手に持った拳銃を2人に向け撃ち込むのだが、キン! キン! キン! キン!っと
その動きには無駄が無く
「うへーまじかよ」
「
「あっ、惚れた?」
「えーとそれは無いです」と
「……そっ、じゃあ後方援護お願いしまーす」
「あっ……結構離れたなー」
すると、ダン! っと
「なっ……俺じゃねぇのかよ、くそっ」
「
ドン、ドドン! っと3発の銃弾が
(今銃弾を打ち落としていたら間に合わない……仕方ねぇか)
「凄いな、追いつくのか……」
キィィン! 天音は脚を止め刀で遊馬の攻撃から身を守る。
「へへっ間に合ったー」
すると、ドスドスドス! っと
「いっっでー!!」
命中した部分の服は弾丸の回転でねじ切られ肌には打撲のような青く痣が残っている、弾丸は人体の内部に撃ち込まれる事は無いがそれでもかなりの激痛に見舞われる。
その為、
「
「ははっへーきへーき、覚悟しての事だからそれに急所に当たらないようにはしてるからね」
「……すみません、私完全に脚を引っ張ってますよね」
「いーんじゃね? 女の子は男に守られるぐらいがちょーどいいよ、それに
「その長ったるい呼び方やめて下さい!」
「そっ、じゃあイリヤでー」
「急に名前ですか……まぁ良いですが、じゃあ
「まかせろ」っと
(左手に刀を持ち替えた……? 何故わざわざ負傷している腕で……)
「オラァァー」っと気合いのこもった声を上げる、
ガキンっと刃と刃が混じり合う金属音、
だが
「ああぁ……いっ」
「
放たれた銃弾は真っ直ぐ体制が整っていない
「ふぅー暗いから心配でしたが、どうやら全部撃ち落とせましたね」
「すげーなイリヤ、飛んでる銃弾撃ち落とせるのかよ」
「今のは相手が拳銃だからできた事ですかね、私はライフル、弾速が桁違いですから相手が撃った後に発砲しても間に合う……場合がありますよ」
「なんだよ……だからって普通の人間が飛んでいる弾を撃ち落とせるものかよ!」
「何言っているんですか、私達はそもそも普通の人間ではありませんよ。
SDTの事忘れていませんか? 今のは
弾丸は
「ぐっへっっ!」っと声を漏らし撃たれた左脚を庇うかの様に丸まっていた。
「次でトドメです」
「……くそー!」
すると
「……ガスの匂い……! イリヤー! 2丁拳銃の方じゃ無く、今すぐ刀使いを撃て!」
遊馬の判断は遅く……。
周りには硝煙が舞い薄暗さも相まり視界が完全に遮られている状態であった。
「イリヤ……無事か……」
「なんとか……」
「いやー、本当に常識外れの威力だなぁイリヤがいる場所まで吹っ飛ばされて身体中いてぇ……まぁこの状況で合流出来た事は幸いだけどな」
「私も大分離れていたのに身体中痺れて思う様に動かないですね……それにしても相手は捨て身の攻撃で私達2人を倒す予定だったんだでしょうけど、ただ自滅しただけでしたね」
すると硝煙が舞う目の前がパッと晴れたかと思うと
痛みなど感じないほどアドレナリンが出ていたのか眼は少し血走っていた。
「先ずは厄介な銃使いから!」っと型など忘れたかの様に勢いだけで刀をイリヤに向け振りかぶり……振り落とす。
ザンッ……。
斬撃の音……眼を開けると。
「え……なんで
「……なんでって、
そう言い
開始時間15分経過。
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