第24話 策略
6月12日18時30分訓練が終わり生徒達はホテルに戻る為バスに乗り込む。
ブゥン……ブゥン……と
「はい……お疲れ様です、
電話越しでも少しイライラしているのが分かる、だが
『ねぇーそっちの佐賀第1支部に僕が建てた、
予想は的中していた、……のだが額から冷や汗が止まらない。
確証は無いのだが、生きた鬼の体を使った人体実験ならぬ
『でぇ、どうなの?』
「はい……あの……盛大に何度も壊れました」
『あーあやっぱりか! そのせいで今日も動いてないのに疲労が半端無いよ、最近こういうのばっかりで……もぅ大変。
それでえーとこれ後何日続く予定?』
「今週の土曜日なので後4日です……」
『まじかーこんな辛い思いを後4日……これは京都総本部から特別手当出るよね?』
何故ここまで強気にこれるのか、これは仕方の無い事であった。
強い魔力を持っており、能力名【建造物創造】はどんな場所にでも、自分が思い描く建物を数秒で造る事が可能である。
それも建物が破損した場合建物自体が自己修復をする為1度と建った建造物は半永久的に残るこの事は全隊員、生徒には認知されている事なのだが、一部の隊員しか知らない欠点が1つ……修復するには術者の
なので中間管理職の隊員は本部の指示と
陰陽道の本部、支部、学園は全て
まとめると
「はい……総本部の方には、私から連絡しておきます……大変申し訳ありません」
『ほんとー、じゃあよろしくね!』(´∀`)
ブチッ……プーップーッ
「先に連絡しておくんやったな……」
19時05分バスはホテルに到着する。
あの
「夕飯は19時40やから遅れずになーじゃあ解散してええよー」
溜息混じりか、その言葉に今までよりも覇気が減っているように思えた。
——20時58分、大広間での食事が終わり各々の部屋へと入る。
「いやー今とても幸せな気分だわ、流石近江牛! 柔らか過ぎるだろ〜」
確かにあんな肉今まで食べたことのないほどだった……。
恥ずかしながら、この僕が牛肉を口に入れた瞬間「うぅわ」と声をあげてしまうほどに……。
2人で夕食の余韻に浸って幸福を噛み締めている時だった、コンコンッと誰かが部屋の扉をノックする。
「んー誰か来たけど」
「うん、僕出てくるよ」
小走りで向かい、扉を開ける。
「はい、どちらさ……」
「
扉を開けると浴衣を着た
「……いやいや、えーと待ってたよ遅かったね」
「いや、見苦しいぞ
「
「……すみませんでした」
僕の誠心誠意心がこもった土下座を披露し、3人は全く男って奴はと言わんばかりの顔のまま部屋の中へ入って行く。
——僕達は円卓状のテーブルを囲い、
「まず京都校……兄さんのチームと戦うに至っての役割と準備を私の案ですが説明します」
「役割と準備って言われても、あれやられたら何も出来なく終わりそうだけどなー、あの……あれ最初に見せた建物破壊する奴」
確かにあれは頑張って止めようとしても、
「大丈夫です、その事の対策も考えていますよ。
その為に明日の訓練での布石を打つます。
まず兄さん達はなぜ、あんな確実に勝てる方法がありながら今日の試合中2回しかしなかったか分かりますか?」
余り戦闘経験がない僕なのだが、ご指名のような顔でこちらを見ている為知識が無い僕なりに振り絞って問いに答える。
「確実性が無いとか、相手によってパターンを変えてるとかかな?」
「多分それは違うと思っています」
「どうしてかな?」と次は僕から即座に問いを出す。
「まず、確実性が無いって事については……建物破壊を使った2戦私は全員を観察していましたが全く無駄の無い動きでした、あんな数分で高度な技術を使っているにも関わらずですよ。
それに、もし相手によってパターンを変えているとしたら行動が速すぎるんですよ、それに1回戦は誰も戦闘行為は行っていない筈ですから相手がどんな戦い方をするか調べる素材はなかった筈です」
ぐぅの音も出ないとはこの事なんだろう、初めて経験する事だった。
「私は錯乱の為だと思っています、1回戦目に建物破壊をしたのは意味があったんです。
あんなの見せられたら誰でもその事が頭に浮かび警戒する、その為数分でも相手を警戒させ錯乱させる。
途中で使ったのは錯乱だと思わせない為ですね、隙があったらやるよ! スタンスだと思っています」
皆んな
「けど、
「
右頬の口角を上げニヤリと「それはですね」と策を提案する。
「と言う事で、明日の試合初戦でこれを実行しますので
「
「
「私らしさって何ですか……私は勝つ為ならなんでもやりますよ」
戦いに緊張や不安も無く、柔らかい笑顔で皆んなと何でも言い合いる今の瞬間この現状チームとしての結束が生まれた事だろう。
そして、この現状を壊す様に
「そろそろ眠くなってきたから、解散しね?」
デジャブか、3人の顔が男って奴はと言わんばかりの蔑んだ目を
だが、
——同日22時17分東京のとある場所
8階建てのビル5階電気は消してあり、月の光だけが照らす真っ暗な部屋にスーツを着た大柄の男が2人と少女1人【
「ねぇー何で白銀の女の子陰陽道にあっさり奪われちゃうの〜。
ドスがきいた低い声で男も反論する。
「相手はあの
「そうだけどさ……ブゥー」
両頬を膨らませ、分かりやすく不機嫌だからねっと強調していた。
「そうだーそういえば、
「はいはい、これですよ
中には赤い血液の様な液体が入っていた。
「それだけー?」
「褒めたくはないですが、昔の陰陽道は凄いですね〜
「分かったよぅ……」
熱が入った言葉に少し引き気味であった。
「それであの子は使えた?」
「えぇとてもとても、本当に健気で真面目で本っ当にバカみたいに私の言葉信じていましたよ」
「ヒッヒッヒッ」と相手を嘲笑う悪魔の様に笑う。
「そっ、なら良かーった」
そして表情豊かだった
「えっとね、こっちにも進展がありまして
「おぉそれも
「違うよ
まぁでもねその友達何と今ね
「
「えっとね……」
送られてきた内容を忘れたのか、ラインを上にスクロールする。
「実験体は今ゲームで決めようと思ってます♪ だって、それが3日後らしいよ」
「ゲームって……はぁ呑気な」
「まぁいいじゃないですか、
「じゃあ決まりだねー作戦は3日後、メンバーは
「あぁ楽しみですねぇ……ヒッヒッヒッ」
月に雲がかかり、3人は闇夜に消えていった……。
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