第20話 湯煙
ホテルに着き早々に問題を起こしてしまったが、聞くとこんな事はよくあるとの事であった。
同じ組織の中で互いに力を高め合う仲間……っというのは古い考えであった、実際の所は嫉妬、妬みが渦巻いている。
誰もが誰だろうが蹴落とす気持ちでいなければ強くなれないと信じきっている、これはとても悲しい事だ……こんな事では真の仲間というものがその定義がその人には存在しないのだろう。
学生ならまだしも、隊員となった場合先輩だから隊長だから仕方なく従う、後輩だから部下だから自分が少しでも楽が出来る様にこき使う、現代人はもう少し陰陽師では無く過剰過ぎるかもしれないが、忠義の為世の為命を懸けた武士を少しでも見習ってもらいたいものだ……っと考えてしまう。
本当に見習ってもらいたいものだな……。
目の前で現在の刀使いは何も身につけず、女湯を覗こうと敷居をよじ登っている所を見ていると……。
「
「俺の言葉に二言無し!」
そこで使われてもな……。
これは数時間前に遡る——
僕らは各自決められた部屋へ移動した。
そして着いた部屋は高級旅館様々にテレビのリモコンからタンスの裏までホコリが一切無い広く心地よい空間が広がっていた。
窓から見える景色は都会と違い、よく僕もどういうものかはっきりとは言い切れ無いが自然豊かで風流があった。
僕はこの空間を堪能していたのだが、
するとそこからは急展開だった。
「18時に露天風呂に行こう!」
「今部屋に着いたばかりだぞ、そんなに早く行くのか?」
「その時間じゃ無いと駄目なんだ! 今から5分前女子グループ17名が18時風呂に行く予定を話していたらしい、その中に我らのチームメイト+
耳を疑う発言だった、そう
まず、なぜ
簡単な事だ陰陽師の修習生とはいえ16歳、性に興味を持ち始める年頃だ……一度しか無い青春? を謳歌したい学生は少なからずいるのだろう。
要するに大人数での女子部屋の張り込みだ……。
「さぁ!
——そして、今に至るわけだが……何故か僕も当たり前の様に参加させられている訳だが、正直興味は無い。
……失言、興味が無いは色々とまずい気がしてきたので撤回……このやり方は人として間違っていると思うから気持ちを抑えているっという事にしておこう。
それにしても良かったじゃないか
さてと……。
「
正直今の現状僕にとって大人数の風呂は危険そのものなのだ、風呂に入る為には身につけているものを全て脱がなければならない当然SDTもだ、脳への電気信号は毎日の脱着で大分慣れてきたのだが、どうも脱いだ瞬間鬼の体質になるのは慣れないままである……、正直いつ角が生えてくるか今でもハラハラ状態なのである。
それにこれは契約違反になって無いだろうか……。
「もう上がるのかよー今からが本番なんだぜ〜ってもう行っちゃったか……、しょうがねぇーなー後で感想を聞かせてやるかー
……ふぅ、それにしてもなんでこういう時に見れないんだろうなぁ〜」
『ガチャ』っと更衣室に繋がる扉を開け、ご自由にどうぞと書かれて山積みにされて置かれているバスタオルを1枚取り体を拭き始める。
パンツを履き、綺麗に畳まれて部屋に準備されていたホテル仕様の羽織を着る……勿論SDTも一緒に。
はぁ……流石に風呂上がりや寝る時に常に装着しているのは中々大変だな、今日にでも
着替え終え、風呂場の暖簾をくぐる。
「おっ君は……
「あっ滋賀第1支部長!」
「長ったらしい呼びかたせんでええよ、まぁそうやな
「分かりましたそう呼ばせて頂きます、それで
「あ〜、やっぱりどの時代でもいるよな〜まぁ君らは学生やから気持ちはよく分かってるつもりやけど仕方ないわな、それに別にほっといても大丈夫何やけどそういう行為は正さへんとなー、分かった
っとその足でそのまま
さて……今18時45分、
場所は戻り男風呂
「なぁ
「……なあ皆んなおかしいと思いか? 女湯が隣同士ならこんな敷居があっても何かしらの音とかは聞こえる筈だよな〜。
俺が敷居からこんなにも出ているのに悲鳴やら桶が飛んでこないのおかしいよね〜。
そりゃそうだよね、隣に女湯無いんだもの結構離れているんだもの……しかも何これ男湯と女湯の間結構深い崖になってるんだけどーははっ」
その棒読み状況報告を聞き皆んな静まりかえる。頭の中にあった理想は崩れ落ち真っ白になりただ立ち尽くしていた。
「あら、今落ち込んでる最中やろか」
「あっ滋賀第1支部長!」
「うわ、デジャブか!
それにしても皆んな駄目やろーそんなことしてー知ってるか? それな未遂やけど犯罪なんやで♪
特に
にっこりと笑ってはいるのだが、少し恐ろしくもあった
「あぁぁぁ——ッ」
——同時刻女湯では……
「なんか今外から悲鳴みたいなの聞こえなかった?」
「黒子は聞こえなかったが……イリヤ怖かったら抱きついても良いんだぞ! その綺麗な胸を黒子に押し付けても良いんだぞ♡」
「……宇多さんは聞こえなかった?」
(シカト……これはこれでありかもしれない!)
順調に良からぬ進化を遂げて行く黒子であった。
「私も聞こえなかったです……気のせいでは無いでしょうか?」
「そぅ……」
こうして
——プルルルルッ『はいはい
それから今の現状を相談した……。
——『はいはい、うんうん、そういう事ならちょうど良いものがあるよ〜最近完成したんだよねー』ε-(´∀` )
電話越しでも分かる、ドヤであった
『じゃあ
宅配便で送るのだろうか、それならもう1日2日は我慢だな……。
「南部フェリスタホテルの1308号室です」
『はいはい、今調べるから待っておくれよ〜』
それから2分後……プツッと電話が切れる
「はい、お待たせ!」( ˊ̱˂˃ˋ̱ )
「えっ……」
急な出来事であった電話が切れて目の前から少し目線をそらし、戻した所……目の前に
「
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