第17話 陰影
東北のとある場所周りを木で囲まれており、夜になると街灯が無いこの場所では足元もろくに見えない場所をひたすら歩き続けていた。
「それにしても、よく私達の呼び掛けに応じてくれたものですね……。
「……お前らリライブ教団に聞きたい事がある」
「はい、何でしょうか?
「お前らは何が目的で動いている」
「鬼の存在しない平和な世の中ですよ」
「信じられないな、お前らは鬼を作っているじゃ無いか、それに鬼では無い陰陽道への敵意は何だ」
「はぁ……質問が多いですねぇ。
人の鬼化は近い内起こる最悪、
「その実験の為にたくさんの隊員が命を落としたんだぞ」
「これは大勢の人間を守る為の些細な犠牲ですよ、陰陽道は市民の為に命を懸けて戦う……本望じゃ無いですか!
それに陰陽道は余り信用出来ないんですよ、平和を謳って数千年未だに鬼の脅威は無くなる気配が無いし、幹部達は多分鬼の脅威が無くなり次第この世の実権を握りたいのでしょうね、あいつらは結局の所自分自信の至福を求めているだけなのです」
「……」
「納得は……していない様ですね。
まぁ今はいいです、後々分かってきますよ」
「……俺達はどこに向かっている?」
「まぁた質問……まぁこれは言わないといけませんねぇ、私達は岩手県遠野にある
「そこは……」
「はぁい……
相手は大群ですが、貴方の五感なら遠く離れた場所から暗闇でも狙撃出来ますよね?」
「待て、陰陽道の見張りって……人間も殺すのか!」
「先ほども言いましたよね、これは平和の為の些細な犠牲なのです。
それにこんな事出来なかったら、契約は破棄になり貴方の……」
「……くそっ! 分かった、だけど俺から数百メートル離れててくれ気が散る」
「はぁい、おっとポイントに着きましたのでよろしくお願いしますねぇ、フフッそれでは私は離れておりますので……」
これが間違っている事なのか、そうでは無いのか俺にはもう分からない……
「悪いな……」
ドォン……
あぁこの距離でも分かるこの人の血の匂い
これで俺は後には引き返し出来ないな……、何だろうな『苦しい……』こんな事思うなんて何年ぶりだろうか、あぁクラスの奴ら今何しっかな……ハハッ何であいつらの事思い出したんだろうな、友達と呼べる相手なんていない筈なのにな……
ドォン!、ドォン……
人が寄り付かない様な森の中から虚しくも非常な銃声がこだましていた。
——それから時は進み6月11日早朝6時東京駅新幹線乗り場改札前
「えーっとよし、皆んな揃ったな。
じゃあ種目ごとに並べー切符渡すから」
皆んなに新幹線の切符が配られる。
僕達5人の行き先は【東京駅→大津市】
「大津市……どこだ?」
「滋賀県ですよ」
「
声に出てしまった、こんな事バカ丸出しじゃ無いか……。
「滋賀かー俺知ってるの琵琶湖ぐらいだなー」
僕も
「陰陽道になるなら
「それなら私も知ってる、確か
僕はそれを知り動揺したのだろうか、嬉しかったのか分からないが、そこに行けばこの僕の力が何か少しでも分かるのでは無いかと、雲を掴む様な突飛な考えではあったが、どんな物にも僕はすがるしかないのだ。
6時30分僕らが乗る新幹線は2時間をかけまず京都まで移動し、それから電車に乗り換え9分
——8時45分滋賀県大津市
「うーん流石に2時間新幹線は疲れたわね」
「イリヤ疲れたのか! ……分かったホテルに着いたら全身くまなく凝りをほぐして差し上げよう」
「……やめて」
黒子さんの指使いが変質者そのもの……
「
あれが京都と滋賀を跨ぐ大きな山あれが……」
あれが、あの山が
——同時刻、
「さて、そろそろ皆んな着いた頃かな、それじゃあこちらも始めましょうかねー皆んな揃ってるよね、これからブリーフィングを始めるよ
今回の調査対象は
——時間はまた遡る……
6月9日深夜2時
『絶望』もとい『
自分でも驚いていた、こんなにも自分の中に罪悪感がない事に。
『絶望』が殺した目の前に転がっている男は強盗殺人をし指名手配されている悪の道へ踏み入れた罪人であった。
元々この男を『絶望』は知っていたのか、……いや『絶望』は知らなかった。
なのになぜ分かったのか……見えるのだ、ただ目が良いなどとその様な次元ではなく解り易く言うとオーラの様なものが、その人が何をやって来たか読み取れる程に……。
『絶望』は
『絶望』は思う、人間は愚かだ……弱い種族な筈なのに、共喰いまがいな事を平気でやっている。
こんな奴らがいてはこの世は平和にはなれない、負のオーラを宿す人間を早く
この世を正さなくては……。
全ての人間は負の感情を何処かしらには持っている、完全な善なる人間などいる筈ないのだ……。
存在するのであればそれは神なる者だけである。
今この時を持って『絶望』の標的は全人類となる。
それに気づくまで『絶望』は無差別に人間を殺し続けるだろう。
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