第14話 欠落
——陰陽道学園において評価基準とは、勉学の他に基礎体力、マニュアル的行動や時にはイレギュラーへの対応出来るかが試される冷静な状況判断が出来るかどうかなど、学園生は細かく評価されている……。
これは
学園に入学したら必ず陰陽道に入隊できるわけではない、いわば学園は陰陽道に順ずる事が出来る人間と不要な人間を分ける
そしてクラス委員長もその評価に加算される事だろう。
基本通常の高校生なら誰もが他人へ押し付けたくてたまらない役職だろう。
それもそのはず大事な青春、一度だけの高校生をクラスの為に1人地味で大変な仕事を任せられるみたいなもの、だけどこの学園は違う、こんな所で他人に押し付けてだかりだと、入隊出来たとしてチームをまとめる隊長クラスは到底手が届くはずもない。
クラス委員長程度でそこまで? っと思うかもしれないだろうが、ここは陰陽道学園……いつ死ぬかも知れないこの世界で他人を守る為、命を賭けて鬼と戦う陰陽師になる為の学園である、甘い考えは入学してからは捨てなければならないはずだ。
「じゃあ立候補するって人、手挙げて」
リーダーシップ、チームをまとめる人材かを評価される大事な場面良くも悪くも、もしかしたら今日1日では決まらないかも知れないな……一応だがこんなにも語りに語った僕は立候補する気はない、今は余り目立つ事は避けたい所なのだ。
「……」
クラス全体が静かになる。
毎年どのクラスでも大半の生徒は委員長を座を欲しがり、口論にまで発展する
だが今現在立候補者0人、これは学園の歴史上初となる異例な事であった、これは面倒だからとそんな簡単な事ではない経験して知ってしまったからだ自分の無力さと、鬼の恐怖を。
皆んなが皆んな恐怖を忘れようと、取り繕ってはいるが心のどこかで纏わり付いて離れない、それに伴いこの恐怖に蝕まれているこのクラスをまとめる自信、気力が消えかけていることに気づく事は容易であった。
「あれ? 0人? どーしたの皆んな、こんなんじゃ先が思いやられるよ」
確かに先生の言っている事は確かだ……鬼と戦う陰陽師になる為にこの学園にいるわけで、こんな事で弱気になっていては隊員になったら鬼と戦う事が日常になる。
そんなのについていける訳がないじゃないか……。
「なーんだ誰もやらないなら俺やろっかなー」
沈黙を壊すように1人の学園生が手を挙げる。
「……
先生は明らかな苦い顔になっていた。
「先生〜俺も生徒なんだからね、生徒には平等に接して下さーい」
正直な所、
「立候補は
「本っっ当に先生……俺にかなり失礼ですよー。
でもまぁそーなんですけどね」
「やっぱりか……じゃあ今回は」
「いやねぇ、熱血野郎達を纏めるなんて面倒じゃないですかー、そういう奴の問題事も委員長の責任にもなりますからね〜
でも! ですよこのクラスだったら楽かなーって、生徒数は少ないし、それに皆んなとーっても大人しいしぃーこんな自分の意思が弱い人間を纏めるなんて簡単ですからね、こんなんで評価が上がるならまぁ委員長やってみよーかなーってね」
「……くそっっ」
1人が立ち上がる。
確か
「うるさいうるさいうるさい! 俺らが弱い? いつもヘラヘラ笑っている奴に言われたくねぇ!
俺も委員長に立候補する、お前に纏められるんだったら学園を辞めた方がマシだ!」
「そうだ!」「私も」「俺も立候補する!」「あんなのに任しちゃダメだ」
僕は
「作戦成功か? それにしても凄い言われようだな
「なんだ気づいてたのか……、どうだった? 俺の演技」
「これで
本当にこれでよかったのか? もっと違う方法は……」
「これは必要悪なんだ……、仲良く手を繋いで強くなれるなんて幻想な訳で内心こんな奴に負けてたまるかって思ってる奴の方が上に行く、この世界はそんな風に出来ているんだよ」
「だからって
「
「ははっ、当たり前だろ
それからクラスのほぼ全員が立候補する事となり、口論にまで発展今日丸一日授業を変更し、クラス会議を実施する事となった、——6時間目
「はい、それでは今日からクラス委員長に決定した
「はい! ……皆んな、今回みたいな事で弱気なる気持ちはわかる……、第一俺もそうだった、けど馬鹿にされたままでいい訳がない! 俺たちはまだまだ強くなれる!
皆んなこれから俺と一緒に頑張りましょう」
パチッパチパチッ
4人を除いて。
誰とも話そうとしない
皆んなに嫌われた
そして、この波に乗り遅れた僕である。
まぁ余り目立つことは避けたい所だったので良しとしよう……
「よし、委員長も決まった事だし、明日初仕事をしてもらおうかなー
明日の5、6時間目を使って体育祭の競技の出場者を決めます」
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