第10話 混沌
対戦相手が決まり、僕達は【戦闘訓練室】へ向かう。
対戦相手によっては、声には出してはないが半ば飽きられているチームもちらほらといる様に思える。
『どーせ俺らには勝てないよ』『早く終わって遊びに行きたいな』
など、何か……情熱っというのかな? 僕はまだ強くなりたいっと願い入学して来た新入生を見たのは両手で数えられるぐらいだろう……。
まぁ他人から見たら僕もその様に見えるのだろうな……過去のしがらみに囚われない様に笑顔と愛想を振りまき抗うこの僕の事も……。
「さぁ着いたわよ」
ピッピッピッピ、
先生が暗唱番号を打ち込む
ピーー
扉が開くと奥にいる人の顔が分からないくらい広い空間が広がっていたのだが、戦闘訓練室と言っているがただ広いだけの何も特徴が無い体育館みたいな場所であった。
この場所を見て多分だが数人は気落しただろう。
「よし、じゃあ上から順番に5組づつ戦って貰うからね」
そうなると僕らの番は最後の組になる。
先生に指示を煽りながら、19人が訓練室の真ん中フルバスケットコートの倍ぐらいある枠の中に入って行く。
「皆んな準備は……良さそうね」
両者端に向かい合うように立ち、先生の号令がなると枠の内側から草や木が生えまるで本物のジャングルが目の前に現れる。
「へぇーこんな事も出来るのか、フィールドによっては作戦も変わって来るな……
あっ、それとだな
「一瞬って……、そんなに」
ドォォォン!!
その爆音と共に肌を刺激する程の熱風が訓練室全体を包み込む。
「くっ……あっ……」
数秒だったが熱風は強く吹き付け、声もまともに出す事は出来なかった。
「はあっ、はぁ……まだ開始1分も経ってないのに……」
「ふぅー、なぁ
目の前の光景、生い茂っていた密林は一つのフィールドに留まらず跡形もなく姿を消し、気絶している18人の真ん中に悠然と小柄な少女が1人立っていた。
あんな大爆発を起こしてもなお、呼吸一つ乱していない。
「
「何千年前は五万といたらしいが、今となっちゃ体質的に出来ない奴の方が多いな……
「
「言ったろ俺は一応名家の出だ、名家の子は結構あるんだ挨拶周りとかな」
それにしても、驚異的な威力の爆発であった、
「えーっとこの場合……まぁ戦場ではある事だし、甘やかす事は貴方達の為にならないって事で
今思う事は、
「さぁ次始めるわよ!」
——
「うーん! やってる、やってる〜!
いやー授業サボってきた甲斐があったよ本当!
さてさて、そろそろ実験を始めようかな! うふふふん〜君はどーするかな〜?
この時僕らは気付かなかった、まさか入学早々こんな早く魔の手がすぐそこまで……いや、もう囚われている事に……。
そして僕の恐怖が実現する事も。
——場所は戻り【戦闘訓練室】
「さぁ次の5組準備して」
「
「あの2人も名家の出なんだろ?
「それは無いみたいだけど、英才教育って感じで戦闘能力は
「それでは始め!」
号令と共に2人は事前に打ち合わせした様な同じ動きをとる。
その身のこなし方は戦闘慣れしている完成されているものであった。
基本素人は号令と共に2人纏って無謀と言える正面突破をしがちである。
別にそれが悪いことでは無い、攻撃は最大の防御でもあるという言葉がある様に力任せでもどうにかできるが、それは動体視力、地形を把握してこその力である。
意味もなく相手の方に突っ込むと……ほら、勝負ありだ
「はぁ、素人はやり易くて勉強にならな……」
『ドクン!!』
「がぁ……なんだ……」
今、
「あぁぁぁ……」
「
「なんだ……、分からねぇよ! 急にどうしたんだ2人同時に……先生!」
「えぇ分かってる! 戦闘訓練一時中止、フィールド解除!」
戦闘訓練が中止になっても尚2人は苦しみ続ける、顔中の穴という穴から吐血これは尋常では無い……、先生すらこの状況に混乱していた……。
「あぁぁぁ……あぃいぃあぁぁ……」
僕は耳を疑った、悶え苦しむ叫びが後ろから聴こえてくる……その時僕の身体は危機を感じる。
僕の後ろ、か弱い声ながら身体中を震えさせるこの声
——「さぁ楽しませてね〜後輩ちゃん達♡」
——「——だずけぇぇえ」
「何が起きてるの! こちら
『ザーザザー……』
「くっ……無線が、通じない! 皆んなこの部屋から直ちに避難して!」
「先生ドアが開かない……」
「はぁ、はぁ落ち着け私! 今の現状を把握して最良の行動は……」
混乱する中僕は苦しむ3人に絶望なる異常たる変化を見た、3人のその姿まさしくそれは……。
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