第11話 鬼哭
——3人の額から伸びている黒い角はなんだ……見るからに鬼そのものじゃないか。
(出口が開かないのなら仕方ない……)
「全員で固まるな! 隊列を組み
いつもは穏やかな口調なのだが、任務の場合はスイッチが切り替わる、緊張感を保つ為らしい。
それだけ今の現状がどれだけ大ごとか、理解するのは早かった。
それと指名された
「ご指名だからなー、久しぶりに頑張ってみますか……まずは俺が先頭に立ち
まるで戦闘慣れしている様であった。
「もぉいぃかぁしらあぁぁあ?」
前方に火花が散らす、そこからは一瞬だった……
爆発が起こる寸前、
俗に言う『
僕らには
「
「なんで……、逃げ切れたと思ったのに……何で! 何で!」
これはミーハーの気持ちで入学してきた学生にとって絶望的であり、弱音を吐くものは多々いる様であったが、僕の隣で膝を抱え子供の様に声を漏らしていたのは……目を疑ったそこに居たのは
まるで自分を強く見せる為の傲慢たる鎧が崩れ堕ちて行く様な……。
「
虚ろな目をして現実から逃げている様な
「さっ……触るな!!」
酷く動揺している。
「もう駄目だ、リバイブが俺を殺しに追って来たんだ……」
リバイブ……?
——【図書資料室】
「ありゃ、『リバイブ教団』のこと知ってる子いたんだー。
こりゃーどうしよっかな、軽い戦闘実験だったけど〜ちょっと本気で潰しにいっちゃおうかなー」
——【戦闘訓練室】
戦闘が始まってから5分……1人で2人の相手をしている
鬼化した3人の力は強大なものだったが、何処か身体が思った様に動かない様な素振りがあり、もう直ぐこの戦いも終わりに近づいていた。
……の筈だった。
パキンッ
何かを握り潰す音……そして
「シィネェェェエ」
この行動を察知した先生が、戦っていた2人を振り切り
「全員! 私の近く……」
ドオオォォォン!!
一瞬何が起きたか分からなかった……気付いた時僕は仰向けになり硝煙が漂う天井を見上げていた。
全身が酷く痺れ、起き上がる事もままならなかった。
だがそれも僕にとってはまやかし、一呼吸する頃には怪我が元からなかった様になる、そのままゆっくりと起き上がる。
硝煙の臭い、そして硝煙に交じり臭ってくる血の臭い、硝煙が晴れると目の前に映る光景……
皆んなが先生すら倒れている真ん中に立ち涙を流し笑う少女が1人
皆んな数箇所に火傷を負い、爆発や火傷の痛みなどで気絶していたのだが、このままでは死んでしまう、それに
この時僕の決断は揺るがない物となった。
「先生、ごめんなさいルール違反します」
SDTから【魔力封印符】を抜き取る。
皆んなの息や心臓の鼓動が弱まっているのが聴こえてくる、生臭い血の臭いが香りに変わる、そして泣きながら助けを乞う
以前僕は怒り、殺意が膨らみ角を形成し、
今は3人をこんな姿にした、いるかどうかも分からない黒幕に怒りの感情はあるが……今はただ皆んなを助けるその一心その気持ちがあれば
入学から2日、1年6組のみに訪れた絶望もしかしたら僕が呼び込んだ事なのか、そうでは無くとも周りから運がないねと言われてしまう事だろう、僕が入学した事は凶だったと確定しているということか?
いや、少し前向きにいこう……僕が入学しなければ、皆んなは今死んでいただろう、それに
それを今覆せるのは僕だけだ……これは傲慢だろうか? いや、それでも僕がいる今この瞬間は吉であるとそう信じよう。
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