第8話 買い物

 

 不格好な月が雲の間から顔を覗かせる今宵。ヨール市とムシカ町を繋ぐ街道の外れにある小さい村。明りは少なく、夜になると完全な闇へと変わる。

 しかし、今宵は村付近に眩い光が存在していた。遠くからでもお祭りでもあるのかと思うほどの光の量である。だが、近づいてみると様子がおかしい。光に近づけば近づくにつれて村から熱を感じる。

 また近づいてみると村の入り口に一人の人影があった。男なのか女なのかも分からない黒い背中、その見据える先にあったのは__



 燃え盛る巨大な炎であった。



 炎は村を囲み勢いよく燃える。煙が上がり、暗い空へと昇っていく。煙の下では数多の音が鳴り響く。

 逃げ惑う人の叫び。

 子供の泣き声。

 必死に指示を飛ばす声。

 恐怖、困惑、憤怒、嘆き、絶望、様々な感情の言葉が、叫びが村中に轟く。

 その絶叫を前に、影は何もしない。まるで観戦するかのように、観察するように村を見ている。


「これも失敗、三度目にしても無理だったか」


 なおも聞こえる村人たちの声に影は首を振る。明らかに異常な光景を前にしてもこの者は顔色一つ変えずぶつぶつ、と何か呟く。


「やはり血の量が足りないのか? いや、それとも術式に誤りがあるのか? 帰ったらもう一度調べなおさなければ」


 それはまるで実験が失敗したかのような発言。今なお多くの人間の命が無くなっていく中で影は冷静に、淡々と目の前の光景を事細かく紙に記載していく。影にとって人間とはモルモットに過ぎない。いくら死のうが影の心に何も響かない。実験動物がいくつ死んで得られるのは失敗という事実だけ。しかし、影にとってはありがたいデータ。そこだけについては村人たちに敬意を払っていた。自分のために、その命を使ってくれてありがとう、と。


「ふむ、ここも潮時か。あと一回実験したら拠点を変えよう。魔獣の数も少なくなっていってるしな。次はどこから魔獣を持ってくるか……」


 顎に手をやり考える影。次に向けて行う実験の準備についてあれこれと頭の中で必要な事と物を羅列していく。

 影は興味を失くしたように村に背を向け歩き出した。

 背後では響いていた村人たちの声がいつの間にか止んでおり、建物を燃やす炎の音だけが夜空の下で鳴っていた。


「さて、次はもっといいデータが取れればよいが」


 のどかな街道の外れにある小さな村。

 そこで行われた残虐非道な行為を目撃した者は誰もいない。

 ただ、夜空に浮かび上がる月だけが影の所業を黙って見ていた。



 翌日、村周辺に魔獣討伐をしていた冒険者によって村だった土地は発見され、すぐに騎士団に連絡されたが、一体ここで何があったのかを突き止める事は出来なかったそうだ。



 ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


「やああああ!!」


 勢いよく振られる剣によって風がなびく。威勢の良い声と共に振られた剣は一匹のスライムを捉えた。ゼリー状の体に走る剣筋にスライムは痛み叫び。


「ビジュウゥ!」


 ピシャッ、と飛ぶ体の破片がケイの顔に付着する。別に汚いと思わないが何となく不愉快なので顔を拭う。彼の目の前ではリンが、とどめにスライムの核に剣を突き立てていた。

 ケイたちは現在、ヨール市の近くにある森で依頼であるスライムの粘液を集めていた。

 核を破壊されたスライムはプルプルしていた体を萎ませた。終わったのを見計らってケイは依頼にあたって渡された瓶を取り出す。スライムの粘液は意外とべたべたとしており指で軽く擦り合わせてから離すとよく伸びた。

 本日の依頼の依頼主の話によるとスライムの粘液は糊として活用されたり、水袋として使われたりするらしい。


「さて、あと2匹か」


 依頼は瓶10本分のスライムの粘液集め。スライム一匹で瓶一本分なのであと2匹分集めれれば終了である。

 本当なら今日もお使いや手伝いの依頼を受けるつもりだったケイであるが、リンが討伐系の依頼を受けたいと駄々をこねたので、妥協してスライム討伐にしたのである。

 スライムは非常に弱い魔獣として有名であり、注意しておけば子供でも倒せる。これならば魔力操作の苦手なリンでも剣さえ使えば倒せると思ったのだ。

 案の定、リンはティアとケイを差し置いて次々にスライムを狩っていった。森の生態系に関わるのであまり狩りすぎてはいけないのだが。


「あの、すみません先輩。先輩にばかり採取してもらって」

「あぁ、気にするな。こういうのは慣れてるから」


 次のスライムを意気揚々と探すリンを他所にケイの背後からティアが申し訳なさそうな顔で謝罪を口にする。

 スライムの粘液は先ほどケイが感じた通りねばねばべたべた、としているので苦手な女子が多い。結果、この中で唯一の男子であるケイが採取する側になった。ちなみに、リンは討伐する側がやりたいと聞かなかった。


「それはともかく、ティアは討伐する側じゃなくて良かったのか?」

「はい、リンが楽しそうなので遠慮しておきます。それに、あまりスライムは、その……」

「嫌い?」

「い、いえ、別に嫌いという訳じゃ。ただ、昔スライムに顔張り付かれた記憶があるのであまりいい思い出がなくて……」

「あぁ、スライムって張り付いたら簡単にはがれないからな」


 スライムの粘液の特性上、木の側面や天井にも張り付くことが出来る。顔に張り付かれた日には息が出来なくて窒息してしまう事もあるのだ。トラウマになっても不思議じゃない。


「でも、確かスライムってペットとして人気なんだよな」

「えっ、そうなんですか?」

「うん、プルプルする姿が可愛いのだと。俺にはよく分からないが。それに、スライムって雑食だから庭に放置しておくと雑草食べてくれたり、なんかと便利らしいぞ」

「へぇ、お詳しいですね先輩」

「ただの受け売りだ。魔獣の中で最弱と言われているから誰でも扱えると思ってるのだろうな。魔獣使いでもないのによくやるぜ」

「……先輩は魔獣使いについてお詳しいのですか?」

「うん? 魔獣を使役する奴らのことってくらいの認識なんだけど。ティア、魔獣使いに興味あるの?」

「いえっ、別に興味というかちょっとした好奇心です。魔獣って人から恐れられている存在が多いからどうしたらそんな魔獣たちを使役しようっていう考えになるのかなぁと」


 魔獣使いとは、文字通り魔獣を使役する調教師のことを示す。荷物の運搬や番犬代わりになど多種多様な使い方がなされる魔獣。人間の生活において魔獣も使いようって言う事だ。だが、勿論危険だって伴う。ティアからしたら危険を冒してまで魔獣を使役する者の気持ちが分からないという事だろう。


「代々魔獣使いの家系に生まれたからとか、魔獣の利便性に気づいたからとか。そいつによって理由は色々だと思うけど、自分がやりたいからというのが大きいんじゃないか?」

「……そう、なんですね」


 隣を歩くティアの顔に影がかかるのを感じるケイだが、それを口にすることはなかった。スライムに苦い経験を持つ彼女からしたら魔獣使いなど狂気沙汰じゃないと思っているのだろうと結論付けたのだ。


「《ファイヤボール》!」


 ティアの様子を見守る中、前方からリンが元気に魔法を唱える声が聞こえた。ケイが視線をそちらへ向けるとスライムに対して火の玉を放出しているリンの姿があった。


「おいおい、相手スライムだぞ」


 だが、魔力操作の練習だとすれば悪くないだろう。完全にオーバキルであるが。

 結果、リンが放出した火の玉はスライムから大きく逸れ、そびえ立つ木に直撃した。無駄に威力が高いため木の幹の一部が黒く焦げていた。


「っ、の~~!」

「お~い、森林破壊はダメだぞ」

「うっさいわね! 分かってるわよ!!」


 ケイの注意に噛みつくように怒鳴るリン。再び彼女は魔法を放とうと掌を向け魔法陣を構築させる。


「《ファイヤボール》!」


(お、今度のは上手くいってる)


 リンは発動させた魔法陣に手ごたえを感じながら一気に力を開放させた。


「やっ!」


 一つの火の玉が魔法陣から放出された。

 加速され、スライム目掛けて真っすぐに飛来する。


(よしっ、これなら!)


 スライムに飛んでいく自分の魔法に期待が膨らむこれまでよりも上手くいっている自信があった。このまま真っすぐに進めばスライムに直撃する___はずだった。


 ひゅいっ!


「なんでぇぇえ!!?」


 ケイの悲鳴と共に爆音が木霊す。

 スライムに真っすぐに進んでいたはずの魔法が急激に曲がり、まさか正反対の方向に着弾した。


「先輩!?」


 まさかの出来事に、ティアは驚きの声を木霊し煙漂う中駆け付ける。流石にリンもやりすぎたと思ったのか、ケイのいた場所に向かう。この騒ぎにリンが対峙していたスライムはどこかへ行ってしまった。

 やがて、煙は晴れ彼女たちの視界が良好になる。


「ごほっごほっ、あっぶなかった~!」


 煙の中から咳込む声と焦りを孕んだ言葉が聞こえてくる。そして、完全に晴れた視界には、地面に座り込み土で制服を汚したケイの姿が映り込んだ。


「だ、大丈夫ですか先輩?」

「あぁ、何とか直撃は免れたから大丈夫だ」

「い、一応回復魔法掛けておきますね」


 心配そうに顔を覗くティアはケイに初級回復魔法ヒールを掛ける。《ヒール》によってケイの体が光に包み込まれた。優しい光からポカポカとした暖かさがケイの肌を撫でる。


「お、おぉ、これが回復魔法……」

「なんで感激してるのよ」

「だって、こんな優しい魔法掛けられることないから」


 普段ケイが掛かる魔法と言えばジャックのシャレにならない攻撃魔法か拘束魔法なので、こんな心温まる魔法があるのかと思うと涙が出そうになる。

《ヒール》を掛けられて感動するケイに何とも言えない表情を浮かべる二人。魔力0の少年の貴重な体験に憐みの視線が刺さった。


「そ、そんな所にいるからそんな目に遭うのよ」

「えぇ~。それはどう考えても横暴じゃねぇ? 誰が真っすぐ飛んで行った魔法が真逆に来ると予想出来る?」

「う、うるさいっ!!」


 自分の失敗に気まずそうに顔をしかめ、声を荒げるリン。言い訳しても苦しいのだというのが分かっているのか焦り気味である。


「リン、今のはリンが悪いからちゃんと謝らないと」

「うっ……」


 リンの態度にティアが少し怒気を孕んだ声で窘める。リンもティアの真剣な顔に声を詰まらせた。リンも今のは流石に悪いと思ったのだろう、視線をティアからケイに向ける。


「その……ごめんなさい。今のは、ちょっと私が悪かったわ」

「ちょっと?」

「……全面的に私が悪かったです。ごめんなさい」


 ペコリ、と頭を下げるリン。途中、言葉のチョイスを間違えティアが首を傾げる様を見てすぐに訂正させた。どうやら、力関係は意外とティアの方に軍配が上がるらしい。

 これが本当に田舎の出とはいえ貴族かと思うケイであるが、彼女たちはケイが知っているという事を知らないため口にすることはなかった。


「ま、別に怪我してないから気にするな。出来れば今度は横か上下に外してくれ」

「うるさい、調子に乗るな」

「リン?」

「ぐっ……」


 ケイの発言にリンは汚い言葉を使うがティアから睨まれ、またも言葉を詰まらせる。顔は笑っているが、目が据わっている。ジャックとは違う迫力を感じる。

 これからはティアを怒らせないようにしようと思うケイだった。


「はい、この話は終わり。さっきのでスライム逃げたからまた探しに行くぞ。今度は魔法使わないでくれよ。燃え尽きたら粘液取れないから」

「……分かったわよ」

「ほれ、行くぞ」


 両手をパンッ、と叩いて無理やり話題を終了させるケイ。これ以上この話題を続けて彼女たちの仲が険悪になっても困ると判断したのだ。

 その合図で、依頼を再開させるケイたち。先頭を歩くケイ、その後をとぼとぼとした足取りで歩くリン。後方から二人について行こうとしたティアはふと、先ほどリンが着弾させた痕を見る。穴が空いていたら埋めようと思ったのだ。見た所穴はあいておらず軽く焦げているだけだった。


(……ん?)


 地面を見つめていたティアはふと、言い表せない感覚に陥る。今度はよく目を凝らしてリンの魔法が当たった場所とケイが倒れていた場所を見る。

 ケイが座っていた場所とリンの魔法が当たった場所。その距離はほんの数㎝しかなかった。もし、リンの魔法がずれていたら当たっていてもおかしくない。


(いや、違う)


 そこでティアは自分の考えに疑問を生じた。リンの魔法が僅かにずれていたら当たっていたという認識に語弊があるからだ。

 正しくは、彼があと数㎝避ける場所がずれていたら直撃していた、だ。

 人は不意な出来事に対して上手く対処出来ない事がある。仮に反応出来たとしてももっと大きく、大袈裟に避けるはずだ。

 だが、彼と魔法との距離はまさに紙一重。これは明らかにおかしい事だ。


(体が上手く動かなかった? いやでも、近くにいた私でも動けたのだから先輩が動けないなんてことあるかな?)


 あの時、咄嗟にティアも魔法から逃げるように距離を取った。つまり反射的に動くくらいの時間はあったのだ。それなのに、ケイが移動したのはほんの数㎝。


 まるで、これくらいで十分だと言わんばかりである。


「………」

「お~い、ティア? 何やってんだ、早く行くぞ」

「えっ、あ、すみません。すぐ行きます!」


 考え込むティアに背後からケイの声がした。ティアはその声で我に返ると体を反転させ駆け出した。

 その時には既に、彼女が浮かべていた疑問は頭の片隅へと追いやられていた。



 ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆



「ほれ、今日の報酬。銅貨3枚だから一人一枚な」

「なっ、前受けたのより報酬安くない!?」


 依頼を終了させ、学院に戻ったケイたちは報酬の分配を行っていた。しかし、依頼の報酬額にリンが声を荒げ、席から腰を浮かしていた。突如発生した大声にエントランスホールにいた生徒たちの視線が一瞬で集まる。リンははっ、と自分に向けられている視線に気づくと誤魔化すように咳払いして席についた。


「ご、ごほんっ、で、どうして昨日よりも安くなってるのよ。アンタ、まさかネコババなんてしていないでしょうね」

「んな訳あるか、昨日のあれは広い街での猫探しという地味に難易度高い依頼だったし、依頼を出したのが商会のお偉いさんだ。結構弾んでくれたんだと思うぞ。それに比べて、今日の依頼はハッキリ言って子供でも出来る簡単な依頼だ。そう考えると妥当な金額だと思うぞ」


 ケイの意見に反論で出ないのか悔しそうに顔を歪ませ睨むリン。しかし、確かに銅貨1枚は安い。これでは、パン一つくらいしか買えない。子供のお駄賃くらいの金額である。


「本来これって一人でやる依頼だからな。報酬も一人分に設定されてる。それを3人で分けたりそりゃ減るわな」

「それって効率悪くなるだけじゃない」

「いや、だから俺最初に言っただろ。割に合わない内容だけどいいのかって。で、お前は討伐系の依頼がどうしてもしたいっていうから依頼を受けに行ったんじゃないか」

「ぐ……」


 確かに彼女はケイに「どんな依頼がしたい?」と訊ねられた時、即座に「討伐系」と言った。そして丁度低ランクでも受けられて、手頃な依頼を発見したわけである。依頼を探してもらっているリンとしてはこれ以上の文句は言えなかった。

 苦い顔をして唸るリンに、彼女の事情を知っているケイは静かに嘆息ついた。まぁ、実家が借金抱えているのだから、少しでも自分が稼がなければと思っているのだろう。その辺は、同情するが、それとこれとでは話が別である。彼女自身も、それが分かっているのだろう。

 沈黙するリンにケイは彼女が納得したものだと判断して話を変えた。


「ところでお前ら明日から野外演習だよな」

「はい、先輩ご存知だったんですね」

「あぁ、ていうか俺サポーターとして強制参加させられたわけだし」

「え、強制……?」

「はは、まぁ、そこら辺の経緯はどうでもいいだろ。それで、明日の準備とかはもうできているのか?」

「はい、と言いたい所なのですけど、初めての野外演習なので何を持っていけばいいのかよく分からなくて……」

「講師から何か言われなかったのか?」

「えぇと、装備品は忘れずに持ってこいとだけ」


 ティアの答えにケイは自分の時もそうだったな、と思い出す。この学院の講師たちは揃って意地悪で生徒たちの自主性を重んじると言いつつ生徒がどういう行動を取るのかをちゃんと見る。つまり、自分で考え自分で行動するという意識を身に着けさせるのが目的である。

 まぁ、大抵の者はこうやって近しい人間やチームの先輩などに聞くため不備がある事はない。


「まぁ、実際、個人が必要な物って自分の武器くらいだしな。大抵のことは魔法でどうにかなるわけだし。……ずるい」

「せ、先輩? どうしてそんな怖い顔してるのですか?」


 ケイがもし野営する場合、水袋やらナイフやら必要な物が多い。しかし、魔法を使える人達は手ぶらで大丈夫だというのだから嫉妬するなという方が無理な話である。

 と、ケイは二つほど個人として必要な物がある事を思い出した。


「あっ、そうだお前たちマジックポーチと魔除けの玉は持って行った方がいいぞ」

「マジックポーチ?」

「魔除けの玉?」


 マジックポーチは普通のポーチのような形状をしているが中は魔法がかかっており、見た目に反して様々な物が入れられるという魔道具の一つである。これは、途中で倒した魔獣の皮や牙を収納するため使われる。

 魔除けの玉とは玉から魔獣の嫌がる臭いを発する物だ。原料がドラゴン種の尿という事で臭いが強いが効果は確かなので冒険者の間では重宝されている品物だ。


「この二つは役に立つから冒険者の間では必需品みたいだけど学院の生徒はほとんど知らないから持っていく奴少ないんだよな」


 学院生徒の大半が貴族や名門の出だ。家で大切に育てられた彼らには冒険者の常識など知る由もない。なので、こんな風に演習を受けた者から助言してもらわなければ持っていく者もいないだろう。


「私はポーチなら前に貰ったものがあるからいいけど、ティア持っている?」

「ううん、持っていない。そういうのって結構高いから」

「まぁ、安くても銀貨10枚くらいはあるからな」

「ぎ、銀貨10枚!?」


 マジックポーチのおおよその値段を聞いて驚愕するリン。銀貨10枚は銅貨に換算すると100枚相当である。近所の定食屋なら何でも食べ放題だ。


「で、魔除けの玉は確か銀貨3枚くらいか?」

「結構かかりますね……」

「ポーチはともかく、魔除けの玉は持って行ったがいいだろうな。もしもの時に役に立つし」

「……そうですね。とりあえず魔除けの玉は買いに行きたいですね。先輩、どこで売っているのかご存知ですか?」

「おう、知ってるぞ。案内しようか?」

「お願いします」


 ティアの迅速な判断によってケイは買い物に付き合うことになった。そうと決まればと行動を起こす二人。席から立ち上がるとケイたちはエントランスホールから出て行く。


「あれ? リンは行かないの?」

「冗談。なんでこいつと依頼の時以外でも一緒にいなくちゃいけないのよ。あなたたちだけで行ってきて」


 ついて来る様子を見せないリンに、ティアが首を傾げて訊ねる。プライベートまでケイと一緒にいるのが嫌なリンが即答する。


「もう、またそんなこと言っ……」


 と、セリフの途中でティアはある事を思いついた。


(これは、親友と先輩が仲良くするチャンスなのでは?)


 ケイとチームを組む事になって数日が経過するがリンとケイの仲は進展ないまま。一時でも早く仲良くなって欲しいティアにしてみればこの買い物はうってつけだった。


「ねぇ、リンも一緒に行こうよ」

「えぇ~、いいわよ。私は、この後ちょっとやる事が……」

「……先輩、この街長いと仰ってましたよね?」

「ん? そうだが」

「なら、この街で安くて美味しいご飯屋さんとか知ってますか?」

「あぁ、ん~何件か心当たりあるけど、途中で寄るか?」

「っ!?」

「いいんですか? なら、お願いしようかなぁ~?」


 わざとらしい声で会話するティアは、チラ、とこれまた分かりやすくリンに視線を送る。その視線は彼女に「いいのか」と問うているようだった。

 この頃金欠気味なリンの懐事情には、是非とも聞きたい情報である。


「ぐ、ぐぬぬぬ……」


 悔しそうに唸るリンに、ティアはもう一押しだと思い言った。


「なら、行きましょうか先輩。私、他のもいいお店あったら紹介してくださいね」

「あぁ、別にいいけど。それじゃあなリン」

「えっ、ちょ、ちょっと! 待ちなさいよ!」


 自身の財布とプライドの天秤が揺れる中、さっさとエントランスホールから出て行こうとするケイたちを見て慌てて二人を追いかける。結局、財布に軍配が上がったようだった。



 ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆



 街へと出向いたケイたちはまず、学院からそう離れていない店にやってきた。


「ここは?」

「ここは冒険者御用達のアイテム屋だな。主にポーションが売られているけど他にも色々と役に立つアイテムを売っている」

「へぇ、こんなお店があるんですね」

「冒険者ギルドが近くだからな、知らなくても不思議じゃないさ。入るぞ」


 ティアの質問に軽く答えるとケイは店の扉を開ける。

 チリンチリン、と扉の上に付けらえている鈴が来客を知らせる。店の中は薬草の匂いが充満しておりカウンターと思わしいき所には干からびた根っこのようなものがぶら下がっている。怪しさ満点な店内にティアとリンの表情が固まる。


「いらっ…って、なんだケイか」

「おいっす、ヤックさん。お邪魔するよ」


 カウンターの下から姿を現した男は両手に小瓶を持ち、堀の深い顔付きで眼鏡をかけていた。どうやら彼がここの店主のようだ。

 ヤックと呼ばれた男は軽く挨拶するケイに「おう」とこれまた軽く答え再び顔を下げた。


「いや待て待て、今日は用事あるんだよ」

「はい? ポーションならそこの棚から適当にとってくれ」

「今日はポーション買いに来たじゃないよ。魔除けの玉買いに来たの」


 カウンターの下に行こうとするヤックを引き留めてケイは要件を伝える。二人のやりとりからしてケイもここの常連であるのだろうとティアとリンは判断した。それにしても、普段ボッチだと言っている彼が他人とこうも親し気に喋っている姿はどこから物珍しさを感じさせた。


「魔除けの玉? それなら左の棚の右から二番目上から三番目に入っていると思うよ」

「了解」


 ケイの要件に眉をひそめるヤックであるが、素直に教える。ケイは教えてもらった通りカウンターから左側に置かれている棚に向かい指定された引き出しを開けた。確かに、中には小さい袋に包まれた玉が綺麗に並べられていた。

 ケイはそこから魔除けの玉を二つ取り出しカウンターまで戻る。


「ほれ、これが魔除けの玉」

「これがそうなんですか」

「見た目何の変哲もない玉だけど、効果あるんでしょうね?」

「当然だ!」


 リンの疑問にカウンターから勢いよく飛び上がるヤック。リンのこぼした言葉がお気に召さなかったようだ。


「この魔除けの玉は僕が現地に赴いて手に入れたワイバーンの尿をさらに改良に改良を重ねて出来上がった一品! 原料となるワイバーンの尿とこの付近で採取されるオレジの実を潰したものを組み合わせることでさらに臭いを強烈にさせ……」

「あぁハイハイ、分かった。分かったから、とりあえずお会計頼めるか?」

「二つで銀貨10枚だよ」

「はぁ!? なんでそんなに高い訳!?」

「当然だろ、それは僕が丹精込めて作ったオリジナルブレンドだよ。高くなるのは当然。しかし、今回はケイのお客さんという事だから特別に半額以下での銀貨4枚でどうだ」

「助かる。ほれ」


 ケイは懐から銀貨4枚手渡す。ヤックの製作する品物の効果は確かであるし今回は自分の顔を立てて安くしてくれている。これで買わない手はない。

 と、ケイが支払いを済ませようとしていると。


「そ、そんな! 先輩、お金なら私たちが払いますから!!」

「なぁに、先輩から後輩への餞別だよ。遠慮するな」


 奢られると気づいたティアが慌てて料金を支払おうとするがケイは笑顔で手を振る。どうせ彼女たちに先輩らしいことは出来ないのだ。だったら、ここくらいは見栄を張っても罰は当たらないはずである。


「で、でも……」

「………」


 渋い顔をするリンと困惑するティア。純粋にいいのだろうかと困るティアとケイに対して借りを作りたくないリンの葛藤が見て取れる。

 る。別に、銀貨4枚くらいなら懐のダメージは皆無なので心配しなくていいのに。


「ここは一つ、俺に格好つけさせてくれ」

「……そういうことでしたら、お言葉に甘えます。ありがとうございます。ほら、リンからもお礼言って」

「……ありがと」


 結局、この場でしつこく断ってもケイの好意を無駄にすると判断したティアがお礼を言い、リンにも促す。金銭的に出来るだけ節約しておきたいリンも、今回ばかりは素直に感謝の言葉を述べた。リンのどこかツンツンした反応にケイとティアは苦笑いを浮かべる。しかし、人と接する機会が少なかったケイにとってこの変哲のないやり取りがどこか面白く感じるのであった。


「あと、それからヤックさん。マジックポーチある?」

「それなら、こっちにあるよ。何個いる?」

「一つ、ティア確か持ってなかったよな」

「はい」

「なら、これだな。丁度在庫が一つ残ってたよ。値段は銀貨10枚」


 魔除け玉の代金を払いながらケイは、マジックポーチの有無を訊ねる。

 どうやら、マジックポーチは相場通りであるようだ。しかし、それでも銀貨10枚、平民で孤児院の出であるティアからしたら厳しい値段だろう。


「……もう少し、何とかならない?」

「えぇ~、さっきサービスしてやったでしょ」

「そこをなんとか! 今度、店番してあげるから」


 小声で、オマケを求めるケイ。両手を合わせて懇願するケイに、ヤックは短く嘆息つくと目を閉じて告げた。


「しゃーないな、今回だけだよ? 銀貨6枚。これ以上は無理」

「ありがとう、店番と今度上手い酒差し入れするわ」

「おっ、それは期待できるな。お嬢さん、こっちは銀貨6枚だけど払えるかい?」

「は、はい、大丈夫です」


 一応、銀貨6枚でも高価な範囲に入るが、それでも4割もオマケしてくれたのだ。ティアにしてみれば感謝こそすれど文句はなかった。財布から銀貨6枚を取り出し、代金を払う。


「ん、それじゃ、ヤックさん。俺ら、行くね」

「はいよ、いいお友達が出来たみたいだなケイ」

「正確には後輩だけどね」


 とりあえず目的のものを揃えたケイは店から出る前に挨拶する。その際に、悪戯っぽい笑みを浮かべ、茶化すように言うヤックであるが、彼もまたケイとの付き合いが長い分身を案じていた一人なのだろう。嬉しそうな声色であった。


「それじゃ、また来るよ」

「うん、いつでもどうぞ。お嬢さんたちも、是非ウチをご贔屓にね」

「はい、失礼します」

「お邪魔しました」


 目的のものを入手出来た三人は店を出る。外に出れば、活気ある街の喧騒が所々から聞こえてくる。まだ日は高い位置にある、寮の門限までまだ時間があるためケイはティアの要望通り街を案内することになった。


「それじゃ、まずどこか行きたい所あるか?」

「そうですねぇ、雑貨屋さん見たいですね」

「リンは?」

「……別に、どこでもいいわよ」

「あ、そう。だったら、雑貨屋行ってみるか。ここら辺で安い所と言えば……あそこかな?」


 数秒ほど考えてから、当てを見つけたケイは歩き出す。ティアとリンも、またその迷いのない足取りについて行った。

 ケイの隣についたティアは視線を彷徨わせて、街を観察する。店の外で客を呼ぶ人、武器を差して仲間と酒を飲む冒険者、チームメイトらしき学院生たち、様々な人々による喧騒が広がっていた。


「それにしても、人が多いですね。賑わってます」

「まぁ、この辺りは店が密集しているからな、冒険者や学院生が集う街だし、そういう客層を狙った商売が多いからな」

「そういえば、露店がたくさんありますね」

「……ぐ~」


 ケイとティアが街の活気について会話していると、二人の背後から何やら虫の鳴き声が聞こえてきた。振り返れば、リンが顔を真っ赤にさせて固まっている。


「……寄るか?」

「そうですね、まだ時間もありますし、見てみましょう」

「えっ、いや、そんな、私は別にお腹なんかすいてないから!」


 ケイとティアの言葉に、過剰に否定するリン。


「ぐ~~」

「……」

「……」

「ちがっ……!」


 だが、体は正直なようで彼女のお腹の虫が再度鳴く。まるで、熟れたリンゴのように顔を真っ赤にさせて否定しようとするリンだが、今度のはどうか繕っても無理だろう。

 まぁ、確かに、露店から流れる香ばしい匂いは食欲をそそられる。ケイ自身もちょっと小腹が空いてきた。


「あぁ~、ちょっと小腹が空いたから行ってもいいか?」

「はい、いい匂いしますし、何売ってるのか気になります」

「リンはどうするよ?」

「……行く」


 もはや、言い訳は無駄だと思ったのだろう、ケイの言葉に小さく頷く。耳まで赤くなっている当たり、相当恥ずかしかったようだ。

 まぁ、流石に人前で腹を空かせるとは貴族どころか女子としてダメだと思ったのだろう。別に自分は気にしないが。

 リンの了承も取ったのでケイたちは露店の方に近くづく。露店には格好の良いおばさんが何やら鉄板の上で肉を焼いていた。


「おばちゃん、これ何焼いてるの?」

「これかい? これは、ロックボーンの肉だよ。食べてくかい?」

「うん、串刺しを三つ頂戴」

「あいよ、銅貨9枚ね。ありがとさん」


 串刺しになった肉を三本を受け取り、ケイは代金を払うとリンたちに手渡す。今度もまたティアが代金を払うと言うが、それをケイが制す。どこか不服そうな顔をするティアだったが、最終的には折れてくれた。リンは、しきりに肉を凝視していたが。

 ケイは一口、肉を食べる。焼きたてなせいか、熱々で、食べた瞬間に肉汁が口いっぱいに広がる。


「美味しい……!」

「本当、美味しいですっ」


 モグモグ、と肉を噛みながらリンとティアが幸せそうに顔を綻ばせる。その表情に、ケイは心が和まされる。

 ロックボーンは魔獣の一種であるが、どちらかと言うと性格は穏やかで滅多に人を襲わない種とされている。生息地は山岳地帯で、足場が悪く、厳しい自然で引き締まった肉は焼くもよし、蒸すもよし、干すもよしと色んな調理方法がある。

 肉を食べ終えたケイたちは、再び街を練り歩く。

 その間、彼女たちは物珍しそうに視線を彷徨わせる。ヨール市に来てまだ長くないリンとティアには目に映る一つ一つが新鮮なものに見えた。その眼はキラキラ、ワクワク、とさせておりまるで小さい子どものようだ。ケイは純粋な眼差しをあちこちに向ける二人に思わず笑みが零れる。気分は、幼い妹を持った兄のようだった。

 街の名所を教えたり、穴場な店を紹介したりなどして歩てきたケイたちは、露店が並ぶ地域までやってきていた。広場となっている所ではバザーのごとく露店が並んでいる。客もまた多く、制服姿の者も見える。ケイたちも露店を覗いて回っていた。


「あっ……」


 いくつかの露店を回っていたティアは、ある売り物に目を止める。規則性を帯びていない並べ方をされている雑貨の中にポツンッ、と置かれているアクセサリーだった。

 細い糸に繋がれた、透明な結晶。アクセサリーにしても少々貧相にも思える。だが、ティアは何を思ったかアクセサリーから視線が外れなかった。


「あの……」

「ん? 何だいお嬢ちゃん、それが気になるのかい?」

「はい、手に取ってもいいですか?」

「構わんよ」

「ありがとうございます」


 ティアは地べたに座り込み、眠そうな眼をしている老人に一言告げてからアクセサリーを掌に乗せた。ひし形になっている結晶を覗けば、向こう側が見える。見たことのないアクセサリーだった。


「あのっ、これってどういうアイテムですか?」

「それは、ピュアネックって言って結晶に魔力を込めれば光るだけのものだよ。ただ、その結晶は深海に眠っていたものらしくてな幸運のお守りとして結構人気だよ」

「へぇ…」


 店主の話を受けてティアは試しに自分の魔力を結晶に込めてみる。すると、ぽわぁ、と店主の言う通り光が漏れ出した。光は金色に輝き、小さいながらも光り続ける様子は力強さを感じさせた。


「綺麗」


 結晶の光を見てティアはぼそり、と呟く。

 幸運のお守り。光は幻想的でゆらゆら、と揺れる様は可愛らしいくも思えた。


「そうだ」


 とティアが何か閃いた声を発した。視線をキョロキョロ、とさせて誰かを探す。すると、ちょうど近くで別の露店を見ていたリンを発見した。


「リン」

「ん? どうしたのティア」


 呼ばれたリンはティアがいる露店まで近づく。ティアはおもむろに持っているアクセサリーを見せた。


「見て、これ綺麗と思わない?」

「へぇ、本当ね。買うの?」

「うん、そうなんだけど、ちょっと違うかな」

「??」

「あのね、リン。これ、二人で買ってケイさんにプレゼントしよう」

「はぁ!? なんで私があいつなんかのためにお金使わないといけないの!」

「だって、ケイさん今日たくさん奢ってくれたんだよ? お礼するのは当然でしょ」


 魔除けの玉以外にも、ちょいちょい寄った露店でケイは何度も奢ってくれている。流石に、彼にばかり奢らせてばかりでは申し訳なかった。

 ティアの提案に、リンは確かにと思う反面、ケイに奢ることに抵抗感がいがめない。


「……リン」

「うっ……」


 小柄なティアが、リンの下から上目遣いで見やる。潤んでいる瞳が揺れ動き、彼女から決して目を離さなかった。破壊力抜群なティアの目に、リンは早々に折れる結果となる。


「……分かったわよ」

「ありがとう! あの、これおいくらですか?」

「それなら、銅貨6枚だね」


 金額を訊いたティアたちはそれぞれ銅貨3枚ずつ出し合い、アクセサリーを購入した。

 嬉しそうにアクセサリーを眺めるティアは、満面の笑みを親友に向けた。


「ありがとうねリン」

「……別に」

「お~い、そろそろ帰るぞ」


 ちょうどその時、ティアたちを呼ぶ声が聞こえる。ティアは振り返り見れば、ケイがこちらへ近づいてきていた。どうやら、自分たちを探してくれていたようだった。

 空を見上げれば、既に夕暮れ色に染まり帰り支度を済ませる人々もいた。

 傍まで来たケイに、ティアは両手を広げて差し出す。


「先輩、これ貰ってくれますか?」

「えっ?」

「私たちからの今日のお礼です。」


 唐突なプレゼントにケイは一瞬、呆けた表情を見せる。そして、視線をティアの両手に移せばそこには、彼女たちが先ほど購入したアクセサリーがあった。

 ティアの魔力を帯びて光り続けるアクセサリーは、小さくでも美しく存在していた。


「ティア、別にお礼なんて気にしなくても」

「いいえ、させてください。それとも迷惑、ですか?」


 最初は、断ろうとするケイだったが、上目遣いで見つめてくるティアの目が若干潤んでいるのもあって罪悪感がのしかかる。ここで断ったら泣くかもしれない、という疑心が彼の中で芽生える。


「いや、迷惑じゃないさ。ティアたちが良ければ貰いたいよ」


 ケイがそう口にすると先ほどの不安そうな顔から一変してティアの顔が綻ぶ。初めて学院長室で出会った時に気弱そうだなと評したケイであったが、評価を訂正させなければならないかもしれない。これが計算なのか、天然なのか、判断に迷う所だ。


「じゃあ、リン」

「うっ……」


 そして、ケイから標的をリンに帰るティア。ケイにしたのと同様に上目遣いでリンを見る。ティアの顔を見たリンは渋い顔を浮かべた。ケイにはリンの気持ちが痛いほどよく分かった。

 元々、ケイに借りを作りたくないという思いもあってかリンも早々に口開く。


「……今日は助かった。感謝するわ」


 刺々しい言い方で、そっぽ向いたままの感謝の言葉だったが彼女らしくてケイは思わず笑ってしまった。素直なのか、そうじゃないのか、なんとも損な性格である。

 ニコリ、と微笑んだままケイも口を開く。


「ありがとうな二人とも」

「いえ、こちらこそありがとうございます」


 夕暮れ時の露店が並ぶ広場、笑う二人と顔を逸らす一人の光景を夕日が照らし続けていた。

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