エピローグ

ベランダに出た瞬間、少年は灰となり消えていった。

当たり前である、感じていた全能感は少女の向精神薬の作用だ。

決して力を得たわけではないのである。

少女はそれを眺めて呟いた。

「ヤク中吸血鬼の末路か」

さて、これからは減薬せねばならない。

しかして「吸血鬼がいなくなったから。」

なんて言うわけにはいかない。

しばらく強すぎる薬の作用に苦しみながら、日々を送る事になるだろう。

「耐性ついてたりしないかなぁ……。」

ある種憂鬱の種が増えてしまった。

それでも関係なく、日々は続くのだ。

少女が存在するから少女の世界は存続するし、少女もまた存在する。

ちょっと不思議な日々だったが、これもまた過去として刻まれてゆくのだ。

「これからは、吸血鬼に会ったらそっこーで逃げるか。」

ぽつり呟き、憂鬱な家事を始めるのであった。

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メンヘラ少女と不運な吸血鬼 南高梅 @love_scarlet_2323

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