第2話

「やはりお前の血は特別なようだ!昨日までひどかっただるさが嘘のようになくなったぞ!」

「はぁ、それはよかったですね」

「なんだか騒がしいなぁ」と思って起床した少女が開口一番聞いた言葉がこれである。

「私の苦しみはこれっぽっちも解消されないのに、あなたには効くんですね。」

「お前はこのようにはならないのか?」

「ずっと憂鬱。このせかいで生きていないといけない理由がわからない。仕事さえ医者から止められてる。だから生活保護で生活してるの。生活保護なんて社会のお荷物でしょ?なのにどうして生かされているの?まだ若くて、将来働ける可能性があるから?そもそも社会って何の為に存在してるの?」

少女はパニックを起こした。

その横で少年はおろおろしている。

「そ、そんなに、お前にとって社会はいらぬものなのか?」

「いらないよ!こんな苦しみばっかりの世界!」

「ならば俺が変えてやろう。お前の血さえあれば、できる気がするからな。」

「…時間なんで、病院行ってきます。絶対に姿が見えないようにしてくださいね。」

「忘れたのか?俺は透明になれる。だからいつも年頃の旨そうな女を狙っていたんだぞ。

「そうでしたね。じゃあ、いってきます。

少女は病院へ行くために家を空けた。

六畳1K、娯楽の一切は存在しない。

そもそもがこの少女が親から逃げてくるために契約したアパートなのだ。物が少ないのはある程度当たり前なのである。

この間に少年は掃除、洗濯、ゴミ集め、炊事とこなしている。

少女は「私のいる前で掃除されると嫌味みたいに感じる」というので、こういった留守中、あるいは吸血鬼の本来の活動時間である夜、少女が寝ている間に過ごすのだ。

そうしてしばらくすると、少女が返ってきた。

「薬、倍になったよ。あと何種類か増えた。」

「そうか。俺にはわからぬが、また血の味が変わるというのだな。

「まぁ、あなたにとってはそうなりますね。」


そうしてまた、日々は過ぎていくのだ。

そう、とある少年の出来心からきた行動をとった日までは。

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