「アリスの異世界探求」K・Sメッセ

 主人公は滝沢アリス(おそらく日本人、もしかしたらアメリカ人とのハーフ?)。行動的で頭の回転が早く、前向きな性格。主人公の目的は「異世界」を探し出す事。物語は、主人公が出版社に就職するところから始まる。


 設定が違ってたらすみません。

 私が読んだのは、一話から七話、それと最後の二話の計九話です。

 なぜ、このような読み方をしたのか、といいますと。

 最初と最後で文体が変わっているのか、そしてオチはどうなっているのか、を知りたかったからです。

 私が書いている長編作品では、文体というか、表現力が最初と最近のもので変わってます。

 執筆期間が何年もかかってるので、こういう事になってしまっているのですが。

 K・Sメッセさんは、いかがだろうと思いまして。

 そういう訳で、全文を読んでおりませんので、推測、憶測、多分、きっと、という考えを前提に、今文章をつづっております。

 見落としなど、多々ございましょうが、ご了承下さい。

 では、感想文を始めます。


 アリスというと、やはり思い浮かぶのは「不思議の国のアリス」ですよね。

 この作品が、あのアリスに関係あるストーリーを辿るのかどうかは、私には分かりません。

 おそらく、ちょうど「面白い」場面を丸々読んでいないのです。

 よって、ストーリー展開で私が、何かお伝えできる事は無いんです。

 物語としては、たぶんハッピーエンドなのだと思います。

 滝沢アリスは、夢を叶える事ができたのだろう、と推測します。

 異世界探求はできた。

 物語は、やっぱりハッピーエンドの方がウケ良いと思いますからね。

(私個人の物語は、手放しにハッピーエンドと言える物語が無いので、お前が言うな、って話ではございますけれどもね)

 で、ここから指摘です。

 どうお伝えすべきか。

 迷いながら、言葉を選びながら、書いていきますが。

 作者の方や「アリスの異世界探求」読者の皆さまを傷つけてしまうかもしれません。

 ごめんなさい。


 では、感想を。

 読んでいて最初に思ったのが「台本みたい」でした。

 あと、初っぱなから主人公の髪型についての誤字があり「ショート」カットヘアーが「ショット」カットヘアーとなっておりました。

 作品全体を通して、この「誤字脱字」の確認をせねばならないかもしれません。

 台本には、色々な事が書かれています。

 舞台の演出、光の当たる場所、明るさ、音響、そして役者の台詞や身振り手振りの指示です。

「アリスの異世界探求」では、特に登場キャラクターの感情を読み取る事が、個人的にとても難しく思いました。

 なので、せめて舞台設定やキャラクターの動き、表情などを考えながら書いてみると、より読者に伝わりやすいかもしれません。

 視覚、聴覚、嗅覚、触覚、味覚を意識してみると、少しは書きやすいかな、と私は思います。

 例えば、一人の人間がある場所を歩き、今日の天気は分かりづらい、と呟くシーンがあるとしましょうか。

 まず、一人の人間、の外見を考えて下さい。

 その人は、男ですか? 女ですか?

 年齢はどれくらいでしょうか。

 とても幼い子供? 学生さんくらい? 働き盛り? それとも、もっと年上の方でしょうかね。

 服装はどうしましょう。

「分かりづらい天気」と言うのだから、傘をさして温かな格好をしているのでしょうか。

 逆に、雨に降られたくないから、コートも何も羽織っていない、薄着の方かもしれません。

 もしかしたら、その人は農家の方で、雨が降ってほしいのに雨が降らず、困っているのかも。

 さて、その人はどんな風に歩いて、どんな風にその言葉を言いますか?

 急いでいるのなら、はや歩きで進むし、特に用事が無かったり時間に余裕があるのなら、きっとスタスタ歩いたりはしませんよね。

 その人が歩いている場所が外ならきっと、顔を真上に向けて、空を見上げるのでしょう。

 屋内であれば、窓から空を見ますね。

 もしかしたら、高いビルの中で、窓から遠くに見える空を、コーヒー片手に眺めるのかもしれないし。

 窓から身を乗り出すようにして、虹を待ちわびる子供のように、瞳をキラキラさせるのかもしれません。

 その人は、どんな表情で「今日の天気は分かりづらい」と言いましたか?

 色々なパターンがあります。

 色々な考え方、感じ方があります。

 だから、キャラクターの身振り手振りや表情が大切なのです。

 空の色一つ取っても、オレンジ色ならきっと夕方だろうけれど、藍色から爽やかな青空に変わっていく中、一瞬のオレンジ色なら、それは明け方ですね。

 ネズミ色なら、どんよりした曇り空で、斑に白が入っているのなら、洗濯物の心配はしなくても良い程度でしょう。

 風は吹いていますか?

 その場所で、音は聞こえますか?

 並木道の葉が、こすれる音かもしれません。

 車の走行音かもしれません。

 屋内だったら、エアコンの音が聞こえるかもしれない。

 ご飯時なら、キッチンから聞こえるかも。

 ご近所さんが習っている楽器の音が、僅かに聞こえてくるかもしれないし。

 何かトラブルがあって、人が喧嘩している声が聞こえてしまうかもしれませんね。

 動物の鳴き声が、心を和ませてくれるかもしれません。

 その場所には、どんな匂いがしますか?

 花が近くにあるのなら、きっと素敵な香りがするだろうし。

 学校の中なら、木の匂いや鉛筆などの匂いがするかもしれません。

 誰か、オナラしちゃった?

 美味しそうなご飯の匂いが漂ってきたり。

 次は触覚です。

 その場所には、どんな物がありますか?

 もしその人が、土の上を歩いているのなら、土の感触が足の裏に伝わるかもしれません。

 強い風が吹けば、セットした髪が乱されてしまうかも。

 人が沢山居るなら、ぶつからないように気をつけなければなりませんね。

 ぶつかって、もしもズデンと、こけてしまったら痛いですよね。

 では、味覚は?

 海のそばを歩いていたら、風は塩の味がするかもしれません。

 何か食べたり飲んだりしながら歩いているなら、その人は口に含む物の味を感じているでしょう。

 でも、緊張してたら、味が分からなくなってしまっているかもしれませんね。

 こんな風に、それぞれの場面で何か、書けるものは無いか、と探してみて下さい。

 特に、主人公が身に着けているものや手に持つものは「誰の」「どんな思いがこもった」「どんな物」なのかを書くと良いかもしれないですね。

 食べ物でも着る物でも読む物でも、なんでも、物に対する思い出は、ストーリーや、キャラクターの説明をしてくれる事が多いです。

 天気は、キャラクターの感情を代弁させる時に楽ですよ。

 悲しければ雨を降らせればいいし、ギラギラと日光に照りつけられて疲れる、という使い方もできます。

 熱中しすぎた頭を冷やすために、あえてどしゃ降りの雨に打たせて「気持ちいい」って言わせるのもアリかもしれませんよね。

 キャラクターが小さく丸まったら、きっと何かから自分を守ろうとしているだろうし。

 腰に手を当てて背筋を伸ばしているのなら、きっと自信満々ですね。

 もしかしたら、自信満々に見せるポーズだけして、心の中ではすごく怯えているのかもしれませんけれど。

 癖も、そのキャラクターを表す事ができます。

 顎に手を当てるなら、その人はきっと考え事をしているか、考える素振りを見せているのでしょう。

 額に手を当てているのなら、きっと困っているか、困っているふりをしている。

 耳や髪をいじっていれば、何かから気を反らそうとしているのか、暇を潰しているのかもしれません。

 主人公に、何か決まった仕草があっても、いいかもしれないですね。

 最後に、さっき例として書いた歩く人を、台本風に書いてみますね。


 年齢は四十半ば、といったところの男。

 分厚いコートを両手でたぐるように前に寄せてしっかり着ている。

 右手には、四角い黒の鞄を持ち、左手は茶封筒を小脇に抱えている。

 男は、次の営業先へ向かうために、ビルの自動ドアを抜けた。

 右手の鞄を、茶封筒と共に左手に持たせ、手のひらを空中に掲げる。

 昼の二時なのに、空を覆う灰色の雲のせいで、明るさはいつもの半分だ。

 一歩、コンクリートの地面に足を下ろすと、乾いた強い風が吹いた。

 ビュオオと音がする。

 封筒を飛ばされないように、男は鞄と一緒に両腕で抱き締めた。

 風が少し和らいで、もう一度、空を見上げる。

 相変わらず、空は灰色の雲が独占していた。

「今日の天気は分かりづらい」

 男は眉間にシワを寄せ、心の中で舌打ちをする。

 鞄の中に、折り畳み傘など入っていない。

 男は、寒さから身を守るように、背中を丸めて早足で歩いていった。

 次の営業まで、まだ時間はあるが、雨に降られる前に営業先に着いておきたかった。

 何せ、この封筒には、男が練り上げた企画がようやく上司に通った、たった一つの仕事の資料が入っているのだ。

 鞄の中には、電子データも忘れず入れている。


 と、このような形となりましたが、お役に立てましたでしょうか?

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