第41話魔法使いBravery その10

「はあぁぁぁぁぁぁぁぁ〜〜〜〜」


俺は今日学校に着いてからため息しか着いていない。



理由の一つは朝。昨日の夜(正確に言えば今日の深夜)アイヒスが俺のベッドで堂々と眠ってしまったため、俺は端っこの方でくるまって眠ることにした。昨日の出来事もあってとても疲れていた俺はアイヒスと一緒のベッドとか云々とか〜とか全く気にすることなく秒で夢の中へとダイブしていったのである。


しかし、朝起きてみるとアイヒスは俺の背中に被さるように体を密着させていた。


一応言っておこう、俺は寝相がすこぶる良い方だ。一度寝る体勢、位置を決めたならその夜は一回も寝返りなどせず、まるで死んだように眠ることができるのだ。だからゴロゴロしたとかは一切なく、本当に朝まで猫のようにくるまって眠っていたのだ、俺は。


問題は、あの魔法使い少女の方だった。


彼女はベッドのメインを占拠していたにもかかわらず、何故か下へ下へとゴロゴロ転がり、最終的に俺が眠っているところで俺に抱きつく形で終着した。俺がそれに気づいたのは午前6時、いつも起きる時間である。


なんだか息苦しいなと目を開けると目の前にアイヒスのあどけない寝顔がドアップで映ったため、俺はすぐに状況を理解した。しかも背中越しから彼女の体の温度が伝わってきてとても暖かい。この瞬間俺はこれ以上思考しないと誓った。


それから俺はなんとか抜け出そうともぞもぞと頑張ったのだが彼女の力が思ったよりも強く抜け出すことは叶わなかった。それどころか当の彼女は「あったかいです〜」とか寝言を述べる始末。しょうがないので俺は諦めて二度寝をすることにした。決してこのままがいいとかではない。仕方なくなのである。


しかし悲劇は終わらない、いやここからだった。ミリエルが起きてきたのだ。


ミリエルはあくびをしながら魔法陣をくぐって俺の部屋に姿を現した。そしていつも起きているはずの俺がいないことに疑問を感じ、ベッドを見回していると俺とアイヒスの姿を見つけてしまう。それを見たミリエルの頭は一瞬で覚醒し、すぐさま俺たちを引き剥がしたのである。


まるで投げつけられたかのように思いっきり吹っ飛ばされた俺はびっくりしてしばらく辺りをキョロキョロしていたのだが、何故かドス黒いオーラを身に纏ったミリエル様を見つけてほとんどを察した。あ、これラノベで見た展開だ、と。日頃よく読む小説で見た光景だと。


とにかくミリエルがすっごい顔して俺にどういうことか問い詰めてきたので俺はありのままをお伝えしたのである。その時同時に吹っ飛ばされて起きていたアイヒスの肩がビクッとしたことを俺は見逃さなかった。しかしアイヒスは謝るとかではなくこう言ったのだ


「寝相が悪いのはしょうがないです・・・・・・エッチ」


「じゃあどうすればよかったんだよ」


という感じで二人からバッシングを受けながら登校してきたわけである。結局最後までミリエルの機嫌はなおらないし、アイヒスが自分を棚に上げて俺にあらぬ罵倒するし、というかミリエルはなんであんなに怒ってるんだ?別に俺とアイヒスがくっついて寝てようがあいつには関係ないだろうに。まさかラノベよろしく嫉妬してるとか?


「いやいやいやないないないないない」


流石に無理がある。まだ俺たちは一ヶ月も経ってない仲だ。流石にフラグが立つのが早すぎる気がするのだが。いやまさかそんなことは・・・・


「まぁ単に俺がアイヒスにくっついていたことが気に食わなかったのかな?」


別に好きとかじゃなくても朝起きたら隣で異性同士が密着してる光景なんか俺だって見たくない。だからミリエルは不機嫌になって俺たちを引き剥がしたのだろう。もうそういうことにしておいた方がいい気がする。


「はぁぁぁぁぁ〜なんで朝っぱらからこんなこと考えなくちゃいけないのかな〜」


ため息をすると幸せが逃げるとは良く言うが一体今日何日分の幸せが逃げてしまったのだろうか。最悪だ。今日はただでさえ憂鬱な日なのだ。なのにこの幸先の悪さ、もう何もかもめんどくさい。ちゃんとベッドで寝たい。


「はぁぁぁぁぁ〜〜」



「おい」


俺が絶賛幸せを逃し続けていると、後ろから俺を呼ぶ強い声が聞こえてきた。ほら来た、今日の憂鬱の原因が。


「あ、おはよう疾風。今日もイケメンだねぇ〜」


「ちょっとこっちこい」


たくっ、俺のコメントにツッコミなしかよ。どんだけ追い詰められてるんだっての。


疾風は俺の手を無理やり掴んで強引に引っ張る。その光景を見ていた女子生徒の何人かはなぜかきゃあきゃあ騒いでいたのだが絶対嫌な予感しかしないので無視をする。


はぁ、昨日はこいつにムカついて1発殴ろうかとか考えていたけど今は全くそんな気は起きない。それどころか不思議なのだ。なぜ疾風がここまで追い詰められたような顔をしているのか。なぜ俺には何も説明してくれないのか。今となっては純粋な疑問として聞いてみたいと思っているのだ。まぁこういう冷めやすいところも俺の性格なのだから仕方がない。


なんにせよ向こうから接触してくるなら好都合だ。俺に対して激おこな疾風さんが何を考えているのかしっかり問い詰めてやろうか。


俺と疾風の二人は生徒たちの喧騒から離れたはなれの使われていない教室の方へと向かっていったのだった。


☆☆☆☆☆


ドンッ!


「うわぁ壁ドンだぁ」


「なんで俺の邪魔をした!!!」


俺のぼやきに全く反応せず、疾風は開口一番俺を怒鳴った。右手は俺の真横の壁に手をつき、左手で俺の襟元を握りながらだ。なんだかラブコメとかであるシチュエーションだなと思うがそんなこと言えるはずもない。


「邪魔って、一体なんのこと?」


「とぼけるな!!」


「とぼけてなんかないよ疾風。俺はお前の邪魔をした覚えはない」


「俺の獲物に手を出したことが邪魔以外のなんだっていうんだ!!」


疾風はそう言って俺の襟元をきつく締め上げた。


「疾風、俺は契約者だ。契約者が異世界生物を庇う理由はそうないはずだけど?」


それでも俺は平然とした態度を努めて保ちつつ疾風に挑戦的な目を向ける。


「契約すると言ったな。それが俺の邪魔だって言ってるんだ!!お前だってわかってやってるんだろ!!なんでそんなことをした!!答えろ!!」


「だから言ってるでしょ。あの子、アイヒスは優秀な人材かもしれない。だから疾風に消される前に保護したんだよ。決してお前のことを妨害したくてやったわけじゃない。単に1契約者としての行動だよ」


ま、百パーそうではないけどね。


「それでも!!お前が俺の獲物を奪ったことにはなんの変わりもないだろうが!!」


「じゃあ何さ疾風。アイヒスに次は自分の番ですって番号でも振っておけばよかったの?自分の名前書くとか?」


「っ!調子にのるな!!」


疾風は衝動のままに拳を振り上げ、そのまま俺に殴りかかろうとした。だが俺はすんでのところで頭を横に振って回避し、ついでに疾風に握られていた襟元から疾風の手を引き剥がした。別に疾風はプロのボクサーではない。だから素人同士よく見ていれば回避はできる。


疾風の拳はそのまま壁に振るわれると思いきや直前で止まった。そして右に回避した俺に追撃の拳を喰らわせようとまた振りかぶった。だが、その頃には俺は対策を済ませていた。使われていなくともここは教室、武器など山ほどあるのだ。俺は近くの椅子を盾がわりにして疾風の拳を防ごうと構えた。


疾風はこれ以上拳での戦いは無理だと決断し、俺と同じく椅子を握・・・


ダンッ!!!


「っ!?」


「これで満足かよ、疾風」


ったところで俺は勢いよく持っていた椅子を投げ落とした。教室中に響く嫌な音が疾風に動揺を走らせる。


そして、俺はあくまで疾風の"敵"を装いつつ机に腰掛け、疾風に話しかけた。


「・・・・・なんの真似だ?」


「何って、今ここで暴力を振るう必要があるのかって聞いてんの。俺は自衛のために椅子を盾にしたけど疾風は完全にそれで殴るつもりだったでしょ?」


「・・・・・・何が言いたい?」


「お前、本当にどうしようもないやつだな」


俺は言った。疾風の本性をあばき出すために、自分の中で燻っていた違和感についての確証を得るために。


「さっきの目。お前は多分、俺を椅子で殴ろうとしたことに躊躇した気配はなかった。昨日まで仲良く接していた相手でさえも」


「だから何を言って」


「気づけよ偽善者、お前は正義を振りかざしたいだけのおめでたいやつだと言ってるんだよ」


俺がそう言った時、疾風の空気はさらに凍てついた。


「・・・・なん・・・だと」


「お前は多分、誰かを救おうとしてこの異世界大戦でポイントを稼いでいる。そのためなら例え涙を流して命乞いをするなんの関係もない異世界生物すらもためらいなく殺す。それも一度敵としたら取り逃がさない徹底ぶり。なぁ、お前はなんでアイヒスを悪と定められるんだい?あの子は別に何もしてないじゃないか」


「俺は正しいことをしているだけだ、異世界生物は倒すべき敵。それ以上もそれ以下もない。だから俺はあいつも倒してポイントを得るんだ。それにもうなりふり構っていられないんだよ!・・・・・早くしないと間に合わない」


「・・・・間に合わない?」


お、なんか新しい情報のようだな。


「俺は今日中までに必ずが必要になる。ただ昨日は"小鬼"が少なかったせいで十分なポイントが手に入らなかったんだよ。だから頼む未治!あいつを差し出せば俺はお前と敵対せずに済むから!あいつさえ倒せばんだよ!!んだよ!!」


なるほど、狙いはやはりお金か。まぁ人間が異世界大戦で得られるメリットなんてそんなもんだから薄々気づいてはいたけど。おそらく疾風はそのお金で誰かを救おうとしているのだろう。その誰かも察しはつくが、なぜ大金が必要なのかまでは予想がつかない。いったいその人の身に何が起きたのかを俺は聞きたかったのだ。


はぁ、でも全然違う。違うよ疾風。俺は別にそんなことが聞きたかったんじゃないんだよ。


「どうして大金が必要なの?疾風はわざと俺に事情を説明してないんでしょ?どうしてそれを言ってくれないの?それに誰を救うの?誰を助けるの?」


「お前には関係のないことだ。だから話す必要はない」


「関係あるかないかなんて俺が自分で決める。だから話してくれないかな?もしかしたら疾風の力になれるかもしれ」


「お前にどうこうなんてできるわけないだろ!!」


疾風は叫ぶ。そのさっきからずっと聞いたセリフに少し呆れながらも俺は続ける。


「・・・・だから、それも自分で決めるって言ってるんだ。そんなに俺にいうのが嫌なのか?なぜそこまで拒絶するんだ?いや、その答えを俺は知っている」


俺は一旦深呼吸をしてからその言葉を吐き出した。


「お前は英雄になりたいんだ。一人で困難に立ち向かい、そして一人で誰かを救おうとする英雄に」


「英雄?何をふざけたことを・・・・」


「英雄、正義の味方かな。大多数の正しいもののために少数の間違いを抹殺しようとする、そんなみんなのヒーロー。疾風はそれになりたいと心の底では思っている」


「そんな根拠もない厨二病くさい戯言言ってんじゃねーよ!!俺はただあいつを助けたいがためにやっているんだ。俺に英雄になりたいなんて願望は持ち合わせてなんか!!」


「お前はその理由すらも囮として使ってるに過ぎない。表向きはそう言っているものの裏では誰かを助けている自分に。そうだろ?疾風」


「っ!そんなことはっ!」


「・・・・その反応、どういう意味かしらないけどあまりやらないほうがいいよ。がっかりしちゃうから、お前に」


どうやら疾風にとって今の言葉は無視できるものではなかったようだ。ある程度推測の域を出ない予想だったけど、まさかここまで動揺するとは思ってなかった。


疾風は俺を射殺さんとするほどの目で俺を睨んでいる。だから、そういうわかりやすい態度を取ってくれるなよ。嫌になってくるだろ。


「お前は臆病者なんだ。人を助けて賞賛されて始めて自分の居場所を見つける。だからお前にとってあの屋上のこともなんて言葉が吐けるんだ。知ってる?あそこにいたお前を褒めていた人達、みんなお前みたいなことできないと思うよ?だってすごいことなんだもん、


「っあれは!風ですぐに落ちそうだったうえに下に人がいたらその人が危なかったからっ!」


「気づいてたでしょ?真下には割と大きな木が生えててさ、絶対に人に当たるなんてこと起きなかったんだよね。知らなかったなんて言わせない、お前は実際に下を見ているんだから」


「っ!?」


疾風はあの狭いスペースにしゃがむ時、確実に下を向いていた。だから真下に木があることを確認していることは言い逃れできない。


「あの時俺さ、先生を呼べばよかったんだと今でも思ってるんだ。それでもお前は有無を言わさずあの柵を越えた。その時の疾風の顔に俺はずっと違和感があったんだ。だけど今ならわかる。お前は焦っていたんだ。先生を呼ばれてしまったらと思って」


「・・・・・・・違う」


「あの時から俺はお前のことを不思議に感じていたんだ。どうしてそんな無茶をしたのかって、神経質すぎるかなと思ってその時は言わなかったんだけどさ。でも夜お前と出会って確信したんだ。お前はヒーロー気取りのお子様に過ぎなかった」


「・・・・・・・違う、違う」


「お前にとってその助けようとしている人が救われればお前はそれでいいんだろ。そうすれば多数からの賛同が得られるだろうから。何の罪もないのに他人から認知されない少数を切り捨てたことに目をつぶってさ。それっていいの?お前だって正義とはまるで逆なことしてる自覚あるんじゃないの?お前のしていることは自分勝手にヒーローと悪役を決めておままごとをしているのと変わらないんだよ」


「違う、違う違う違う」


「別に行為自体に文句が言いたいわけじゃない。ただお前の信じている大多数の正義が歪んでいるかもしれないとか思ったことはないの?アイヒスはたしかに弱いかもしれない。だから絶好のポイントだと思うのもわかる。だけどさ、それをお前の言ってる正義に当てはめた時にさ、あの子も助けないとって思わなかったの?」


「違う、俺は正しいことをしているんだ。間違ってなんかいない。違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う」


「結局お前の正義ってただの飾りでしかない。お前は正義に縛られた哀れな子供なんだ。なんでそうなったのかは知らないけど、多分お前は誰にも嫌われたくないんだ。そのうえで誰かを助けようなんて甘いこと考えてるんだよ。本当に甘ちゃんだよ疾風は。自分の周りが怖いくせに本当の人助けなんてできるわけ」


「だあぁぁぁまぁぁぁぁれぇぇぇぇぇぇ!!!!!!!!!」


疾風は咆哮とともに俺に向かって拳を突き出していた。


そして俺は・・・・・それをなんのためらいもなく受けた。


机に腰掛けていた俺は勢いよく机ごと後ろに吹っ飛ばされてそのまま床に転げ落ちた。しかも反動で周りの机も3個くらい俺に向かって倒れた。確認はまだだけど殴られた顔も含めて何箇所かマジで痛い。それに絶対血出てるし、さっきから鉄の味がして気分が悪い。


はぁ、少し早かったな。おかげで大事なことまだ言えなかった。けれど


「あーあ、やっちゃった」


あれ、まだ悪役っぽいな。まぁいいか。


「手出しちゃったね疾風。これ俺がチクったらお前退学かもよ?」


「ふざけんな!!お前が悪いんだ。お前がぁぁぁ!!」


「そ、やっぱりお前の正義は歪んでるよ」


疾風は俺に手を出してしまった。てことはほとんど認めてしまったってことだ。さっきのセリフはほとんどが口から出まかせでしかなかった。これになんの反応も示さなかったら俺はただの性格最悪なクソ野郎として疾風に蔑まれるだけで済んだのに。俺は断然、そっちの方が良かったんだ。とことん今日は浅間 疾風の本性を知らされる日だよ。


「今日の夜」


「秋葉原だ。そこまで来い。逃げるんじゃねーぞ」


「誰に言ってるんだ疾風。お前の未熟さをとことん吐き出させてやる」


そう言って疾風は教室を後にした。ぼろぼろの教室とぼろぼろの俺を置いて。たくっ、これ全部俺が片付けんのかよ。


いや、助っ人がいるか。


「・・・・・・ごめん香奈。俺期間限定で疾風の事嫌いになるわ」


「いったいどういう事情で未治くんが燃え尽きた格闘家みたいに清々しい顔して机や椅子が荒れ放題の中地面に大の字で倒れているというなんとも青春溢れてそうなシチュエーションになるのか、とりあえずこのお姉さんに教えてくれないかな〜」


はは、これは、きっっっっっつい日だなぁ。





ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

おまけ


「ねぇ千歌!!あれ!あれ!」


「何?七海佳・・・・・あっ!!」


「何二人して・・・ってあれ〜!!浅間先輩じゃ〜ん!ここ一年生が主に来る場所だけどなんで・・・・・って先輩が手引っ張ってる人って千歌が言ってたもう一人の助けてくれた先輩じゃん!」


「そうそう!!あの二人だよ!こんなところに何の用なんだろう?」


「さぁ、それよりもさ・・・・・あっちって・・・・何かあったっけ?」


「さあ?私たちは行ったことないところだよね?千歌と七海佳は行ったことある〜?」


「・・・・・確かあそこは今は使われてない空き教室じゃなかったかしら?」


「あっ、小夜里ちゃん。よく知ってるね」


「一応パンフレットに書いてあったからたまたま目に入ってたのを覚えていただけよ」


「さすが小夜里様。無駄なことも知ってる博識〜」


「さすがです小夜里ちゃん。やっぱり小夜里ちゃんにオンナにして貰えば・・・・」


「それ褒めてるのか微妙だし千歌に関しては早く正気に戻って」


「あっ、教室に入ってった・・・・・二人で・・・・・・はっ、まさか、まさかまさかまさかぁ!」


「えっ?どうしたの七海佳」


「落ち着くのよ私、ここはリアル。でもってあれは漫画の話よ。わかってるのよ、そう、そ・・・・・・そんなこと・・・そんなことは」


「どしたー七海佳さ〜ん?なんか挙動が変だよ〜気持ち悪いよ〜」


「さささささささそそそそそそそそそんなことないしっ!いたって普通だし!?ただね、あの、ええっとそのあれだよそのアルファベットの二番目と十二番目ぐらいのやつだよだからそのえっと、ボーイズがね、そのラブな感じなね・・・・ともかくちょーっとだけ中覗いてみたいと思ったり思わなかったり?」


「アルファベット?・・・・B・・・・L?」


「・・・・・七海佳さん・・・」


「やめて優奈!日頃伸びた口調のくせにここぞって時だけ素になるのやめて!!それと千歌の純粋発言もやめて!!」


「え!?私も悪いの!?いったい七海佳は何を言っているの!?BとLってどういうこと!?」


「それはね〜・・・・・ゴニョゴニョゴニョゴニョゴニョゴニョゴニョゴニョゴニョゴニョゴニョゴニョ」


「・・・・・七海佳、大丈夫だよ。私は七海佳のこと・・・好きだよ?」


「やめてぇ〜!!そんな顔真っ赤にしながら言われても説得力ゼロだからぁ〜!!しかもちょっとためらった!!好きだよってセリフ千歌がためらったぁ〜!!!うわぁ〜〜ん!!」


「七海佳さんがまさか腐った女子だったとは・・・・私は七海佳さんが心配だよ」


「だから頼むからマジトーンで喋るのやめて優奈!!余計恥ずかしくなるから〜!!も〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!!!」







「・・・・小夜里ちゃん、オンナって、色々あるんだね」


「突然私に振らないで千歌、対応に困るから」


(・・・・何をやってるのよあの人はっ!)


終始澄ました顔をしていたものの、小夜里もまだギクシャク関係の義兄の行動が訳がわからず心の中でそう叫んでいたとか。


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