第9話始まりの日 深夜 その2
1:30
『PenGuin 〉・・・・・・・・』
『miLL 〉あの泥沼地帯に誘導したのはいい作戦だったよ。ただねぇ〜・・・・食料不足にいち早く気づかなかったのは流石に寒いんじゃないかな(ドヤ)』
『PenGuin 〉・・・・・・・・』
『miLL 〉あとあれ、あの兵器。重すぎるよあれ作るのは。あんなん俺に当たるわけないでしょ〜(ドヤ)もっと少機関銃とか派手めでスピード重視にしないと俺のゲリラ暗殺部隊は倒せないぞ〜(ドヤ)』
『PenGuin 〉・・・・・・・・』
『ほらほら〜どうしたさっきから(ドヤ)「・・・・」ばっかりで(ドヤ)、何か負け惜しみとかないんですかぁ〜?(ドヤ)寒いってくだりでそれはPenGuin(ペンギン)だからってボケないんですか(ドヤ)〜ねぇねぇ〜どうなんですか〜(ドヤ)』
『PenGuin 〉ぐわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあうあういえうおいえいういえいお」にねりのき」し」のひとよむねよにねにゆのゆよや!、!、、!!!!!!!!』
あっ、ついに切れた。やっと切れた。最後の方くそ乱れとるし。
『PenGuin 〉なんなのよあれ!泥沼にはまったら終わりなはずでしょう!!・・・・なのになんで死亡者ゼロなのよ!!』
『miLL 〉・・・・まぁ攻略不可な箇所があったらその時点でこのゲームはオワコンでしょっていうことでしょうか(ドヤ)』
『PenGuin 〉何よそれ!ずっこい!!ずっこいわよ!!!それに何が寒いのはペンギンのせいよ!!私のPN(プレイヤーネーム)はそんなダダ滑りするためのものじゃなーーーい!!』
『miLL 〉あー負け犬の遠吠えが聞こえるー(ドヤ)』
『PenGuin 〉ドヤドヤうるせぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇええええええ!!!!!!!!!!!!!!』
おーおーいつも以上に怒っていらっしゃる。まぁ無理ない。あいつからしたら絶対決まったっていう作戦を突破されたのだから悔しさは計り知れないだろう。
『PenGuin 〉・・・・・・くっ、勝てない。これで何連敗よ?』
『miLL 〉全敗だよ。・・・・・たしか・・・・2452戦2452敗だね、君は。』
『PenGuin 〉クソォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォ次は絶対勝ぁぁぁぁぁぁぁぁつ!!!!』
『miLL 〉いつでも挑戦待ってまーす』
『PenGuin 〉ふんっ!今はそうやって余裕ぶっこいてなさい!今度会ったらケチョンケチョンにして跪かせてやるわ!』
彼、いや言葉遣いから彼女は最初のうちは敬語でチャットを打つが、こうしてヒートアップすると言葉遣いが汚くなる。それが楽しくてついつい彼女を煽・・・・いやいや違うよ!もともと向こうが「弟子にしてください!」って懇願してきたから毎回戦闘後に何がダメかを教えているだけだよ!仮にその言葉が少し厳しいとしても教育しているだけであってドS気質のなせる技ってわけじゃないよ!愛の鞭だよ!
『PenGuin 〉ごめん、今日はもう落ちるわ』
『miLL 〉あっそうなの?・・・・もしかして・・・・泣いてる?』
『PenGuin 〉泣いてない!!・・・・・予定があるのよ』
『miLL 〉こんな時間に?・・・・ふーん』
『PenGuin 〉・・・・・・・・あなたがもしあの世界に来れば・・・・・きっと・・・・』
『miLL 〉・・・・あの世界?』
『PenGuin 〉なんでもないわ。それじゃあまたお願いね』
『miLL 〉うん、おつかれー』
『PenGuin 〉おつかれ』
《PenGuinが退出しました》
ふぅ
あいつが退出すると同時に俺もパソコンの電源を落とした。ちなみにいつものノートは会話中に記入しておいたので今はもう机の上にはない。
時間は・・・・11時半前か。
0:31
「それにしてもあいつ、最近早く上がるようになったな。・・・・何かリアルで用事でもあるのかな」
パソコンの光が消えて部屋は暗闇に包まれる。部屋の電気を付ければ良いのだがすぐ横のベッドに寝転がってしまったのでもう面倒くさい。
そういえばヘッドフォンをしてたことに気づき、フードを取ってヘッドフォンを外す。無音の世界はヘッドフォンを取っても静寂というメロディを絶えず流し続けている。
「・・・・なんだか、退屈だな。」
昔から、夜にこうして一人で静かな場所にいるとそう感じることがある。不思議なのは今日みたいな楽しい日を過ごし、幸せで満たされている時も不意に退屈を覚えてしまうのだ。退屈というのは、何も犯罪を起こしたいとかいう危ない考えではなく
なんとなく、これじゃないという虚無感
なんとおこがましいのかとも思う。こんなに自分は幸せなのに、綺麗事を取り繕ったって世の中には沢山の自分より不幸な人がいるというのに、
それでも、自分の幸福が、求めているものがわからない。
思えばあの時もそうだった。あの日だって俺は「退屈だな」と呟いていた。日向の畳の上で大の字になって、青い空を見ながら、
小3の頃。母が死んだ日に。
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