第8話:オリバvsカルラ
【視点が変わります】
ラースは1人観戦席で座っている。
Aブロック第2試合オリバvsカルラが始まろうとしていた。
闘技場中央にオリバ、カルラ、審判であるアリスが立っていた。
最初の実践訓練の時にオリバは絵描きでカルラに敗北しているので因縁の対決だった。
『クァルルラー‼︎ 実践訓練の時は絵で負けたが戦闘じゃ俺に部があるってもんよ! 覚悟しとけやー殺す!!!!!! 』
武器の使用が禁止されているのでカルラはボードで意思伝達出来なかった。なので、オリバに向かってピースサインをした。
『何調子に乗ってんだコラァァァ!!!!!! 女だからって容赦しねーぞ殺すぞコラァァ!!!』
カルラはオリバにグッジョブをする。
今にも飛びかかりにそうなオリバとカルラの間にアリスが割って入る。
『2人共にちゃんとルール説明を聞いてください‼︎ 』
観戦席に座っているラースがアリスに同情する。
『アリスも大変だなぁ……。妙にこのクラスは問題児が多いからなぁ……。』
そして騒がしかった闘技場中央が沈黙する。しばらくしてからアリスによって試合開始の合図が出された。
『試合開始‼︎ 』
先にオリバがカルラに飛びかかった。しかし、カルラはオリバの顎にバク転蹴りを与える。
クル、バーン!!!!
オリバは地面に崩れ落ちた……。立ち上がろうと膝まずきながらオリバは砂埃を拭い話した。
『その身なりにしちゃー中々やるじゃーねーか!』
カルラは黄色の瞳を閉じて笑顔で答える。
『舐めてんじゃねーぞ! カルルララァァァ!!』
オリバはカルラめがけて一直線に走り爆裂拳を繰り出すがカルラの華麗なステップと受け流しによって容易に回避された。
スリ……スリ……シュシュ……。
『何で……何で当たらねぇ……。オレの方が《身》でいえば上手の筈だコラァ! 』
ラースは何かを考えているようだった…。
『確かにカルラよりもオリバの方が《身》が上だ。だけど冷静さを失っているオリバの攻撃ならば容易に回避出来る。しかし、それだけで全てを回避することが出来るのか……? 』
『カラクリは何なんだ……? 』
すると、ラースの隣にキースが座りだし突然解説を始めた。
『攻撃される瞬間に《流》を使って時間を減速させているんだよ。』
《流》とは、時間を操作する能力のことで神素の消費量が多いとされてる。
ラースが頬杖をしながらキースに質問を投げかける。
『たしか《流》って扱いが難しく神素の消費量が多かった筈だが……。』
『確かに《流》は神素の消費量が多いけどカルラの場合は攻撃される一瞬だけの発動だから思った以上に神素の消費量が少ないんだよ!』
ラースはキースの説明に納得する。
『なるほどな! その説明から察するにお前は《流》を使うことが出来るのか? 』
『カルラ程の高騰技術は無いけどある程度なら使えるよ! 』
ラースは威張りながら自慢げに話す。
『ちなみに俺は戦闘に関しては《身》以外はからっきしだ!! 』
思わずキースがツッコミを入れる。
『そこは威張る所じゃないよ!!』
『Aブロック第1試合で見たよ。たまたまマイケルが《身》だけだったものの、もしも《流》を使う相手だったらどう対処するつもりだったの? 』
ラースは戸惑いながらキースに語る。
『ええ……まぁ……何とかなるだろう!!』
ラースとキースが語り合っている中オリバはカルラに手も足も出ないままでいた。
ハァハァハァ……。
『強え……。仕方ねぇ……カルラ! オレの《天》を見せてやるぜ! 覚悟しやがれやコラァ! 』
そして、オリバは《天》を使用した。
『ディメンションアワー‼︎ 』
オリバは何もない所にパンチをする。するとカルラの横からオリバの拳が出現しパンチを繰り出した。
ヒューーーーバーーン!!!!
カルラは不意をつかれて壁に向かって吹っ飛ぶ。
『見たかクゥアルルゥラァァ! オレのディメンションアワー。流石のこれでは避けることが出来ないだろう!やられた分はしっかり返させてもらうぜコラァ!』
オリバは立ち上がろうとしているカルラにディメンションアワーの爆裂拳を繰り出した。
『ハハー手も足も出すことが出来ない……⁉︎⁉︎ 』
オリバの顔が青ざめた……。
オリバのパンチをもらったのは最初の一発だけでそれ以降はことごとくかわされる。
シュンシュンシュン……。
『バ……ばかな⁉︎ オレ……オレのディメンションアワーが……簡単に攻略……された⁉︎⁉︎ 』
カルラはディメンションアワーをかわしつつオリバへゆっくり歩み寄る。
『ち……ち……ちくしょう!!!!』
カルラの正拳突きがオリバの腹に入り込む。下がった頭の後頭部をめがけてチョップを繰り出した。
『な……なんて……強さ……だ。グ……ハァ……。』
バタン…………。
カルラは純白の小さな右腕を空へ掲げた。
アリスもカルラの戦いぶりを見て口を開けたままだった。
そしてアリスは瞬足を使いカルラに近づき勝敗宣言をした。その動きをカルラは目で捉える。
『しょ……勝者!! カルラー!!!!!!』
アリスと同様にラースとキースも口を開いたままだった。そしてキースがラースに哀れむ様な表情で話しかける。
『Aブロック……だから、次のラースの相手は……カルラだね……。』
ラースは青ざめた表情と冷や汗が止まらなかった。
『あ……うん。程々に……頑張って……みるよ。』
闘技場内にいるアリスが独り言を小声でブツブツ話していた……。
『あのカルラって子……。勝利宣言の時に使った私の瞬足の動きを……目で捉えていた? ラース様こればかりはかなりの強敵でございます。』
こうしてラースは絶望感しかないラースvsカルラの試合が決まってしまったのだった。
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