第7話:リリカvsリリス
【視点が変わります】
Bブロック第1試合のリリカvsリリスが始まろうとしていた。
隣にいるエルドがラースに話しかける。
『ラース、この試合どちらが勝つと思う? 』
ラースは頬杖をつきながらエルドに返答する。
『リリカが勝つと言いたいが正直なところ……部が悪いな。』
エルドは金髪の髪を耳にかけると冷静に分析する。
『私もそう思う。リリスはラースと同じく《身》を軸にした戦いに対してリリカは《気》を軸にした戦いをする。』
《気》とは、自然現象を創り出す能力である。神素を大量に消費するが道具を使うことで消費を減らすことができる。
『《気》を扱うにはこの闘技場は小さ過ぎるし《身》と《気》では神素の消費量が違うって事だろ! 』
『そうだ!しかも、本来なら《気》は道具を使って戦うのだがルールで武器の使用が禁止されている。』
ラースは闘技場内にいるリリカに手を振りながら答える。
『俺も《天》が使えない不利な状態で勝ったんだしリリカを信じて見守ろう! 』
エルドもラースに釣られてリリカに手を振る。
『そうだな! 戦略次第では何が起こるか分からないからな。』
アリスが2人にルール説明をした後に試合開始の合図が出された。
『試合開始‼︎ 』
リリカは試合開始と同時に距離をとるが当然リリスには読まれていた。
『流石に読まれてしまいますね!』
『当然です。《気》の戦法は距離を置くのが主流ですから。』
そして、リリカの顔にリリスの右ストレートが炸裂し壁に飛ばされるが《気》で風を起こし壁の激突を軽減させる。
リリカは炸裂した箇所を摩った。
『かなりの威力の右ストレート……。』
リリスはリリカを上から見下ろす……。
『リリカさん。瞬時の対処は見事です。ですが、ダメージが消えたわけではありません。いつまでもそれでは私には勝てませんよ!』
リリスが高速に移動し接近する。そして、爆裂拳がリリカに突き刺さる。距離を置こうとするが接近され、攻撃される。
『うぅ…………。』
リリカは顔を歪めながら腹を抱える。
『流石に……このダメージ量は……効きますね。やむ終えません。私も……《身》を使います。』
リリカは捨て身覚悟でリリスに接近戦を持ち込む。リリスは武道家としてのアドバンテージがある分やはりリリスが上手だ。
リリカは爆裂拳を繰り出すがことごとくかわされる。そしてカウンターを合わされ攻撃を受けた。
『ガハァ…………。』
《身》を使っていた影響で《気》での軽減が出来ずに壁に激突する。
『これが戦い。そして痛……い。』
リリスは笑みを浮かべながらゆっくりと歩み寄る……。
『あまりにも一方的過ぎても可哀想なのでそろそろ決着をつけたいと思います。』
リリスがリリカを終わらせようと拳をリリカにたたみこむ瞬間。リリカが一歩遅れながらパンチをしたにも関わらず何故かリリスが吹っ飛んだ!
リリスの空色の瞳に濁りが入った……。
『ゴホォ……。』
リリスは腹を抱えながら問いかける。
『リリカさん、何を……したのです……か。』
リリカの両拳に火が包まれていた。リリカはパンチと同時に炎を発生させることで炎で作られた拳を作りリーチを伸ばしたのだった。
『《身》と《気》の同時発動です! 』
そして、リリカはリリスに接近し火拳のラッシュをたたみこむ。
『グゥ……ホォ。』
リリスは受けた勢いで地面に倒れ込む。そして、懸命に立ち上がりリリスがリリカに頭を下げながら語る。
『私が間違っていました。有利だの不利だのは使い方次第で変わる。もう私は舐めません。そして、私の《天》をお見せします。』
突然リリスはリリカへ突撃すると同時に言葉を発する。
『シャドウブロー!!』
するとリリカの影がリリカのように実体化しリリカにフックをする。そしてリリスは下がった顎をめがけてアッパーを炸裂させた。
『グハァ…………。』
リリカはもろに食いながら宙に舞った。そして、大きく倒れ込んだ。
『リリカさんどうですか。これなら《身》や《気》で攻撃を軽減できません。』
『そして、必然的にシャドウブローを防御しなければなりません。その隙をついて私が攻撃をする完璧なコンボです。』
リリカは立ち上がるが膝まずいてしまう。
『流石に……これはたまり……ませんね。私の体力も神素も……限界に近い。私も《天》を使用……させていただき……ます。』
そして、リリカとリリスが激突し両者が《天》を発動させる。
『シャドウブロー‼︎ 』
『フルポゼビリティー』
リリカは全身が炎と化した。リリスがシャドウブローで攻撃するが炎なのですり抜ける。そして、リリカは全身全霊最大火力の火拳をリリスに打ち込んだ。
メラメラ……クルクル…………。
リリスは炎に包まれながら回転し壁に激突した。
『リリカ……さん。お……見事です……。』
そう言葉を言い残すと気を失った。
バタン……。
アリスがリリカの腕を上げ高らかに宣言する。
『リリスの戦闘不能によりリリカの勝利ーー‼︎ 』
ラースとエルドがリリカに駆け寄る。
ラースはリリカの肩を組み御祝いの言葉を言う。
『リリカ、初勝利おめでとう! 最後の《天》凄かったぞ! 』
『ありがとう。ラーちゃん! 見守ってくれてたお陰だよ。』
『おめでとう、リリカ。最後のリリスとリリカの全身全霊の攻撃には鳥肌がたった。興奮してしまった。』
『そう言ってもらえて嬉しいよ。エルドさん! 』
ラースが一つの懸念を抱いた……。
『ところで何で初めからフルポゼビリティーを使わなかったんだ? 』
『神素の消費が尋常じゃない程削られてしまうからここぞという時にしか使えないんだよ。』
『なるほど! 確実に決める時やピンチの時の逆転の秘策の能力って訳か!』
『そう! 戦っている途中に何度も使うか考えたんだけどリリスさんの《天》が分からない以上迂闊に使えなかった。』
するとエルドも肩を組んで話しだした。
『リリカの体は神素が残り少ない。今は一刻も早く神素の回復を優先するべきだ。決勝まで試合がない私が医務室のベッドまで連れて行こう。』
リリカの表情が笑顔になった。
『ありがとう、エルドさん。』
ラースがエルドの肩を軽く叩くと話しだした。
『リリカの試合が近づいたら俺が報告しよう。それまでエルド、リリカの看病を頼めるか? 』
『了解した。ラース、試合の状況伝達は任せた!』
エルドがリリカを抱え医務室へ向かった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
閲覧ありがとうございます^_^ よければ感想やブクマの方もよろしくお願いします。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます