第5話:クラス内対抗模擬戦前日

 


 俺がWYL学園に入学して2週間が経った……。



 ここAクラスの教室では2週間の間に能力判定が行われた。今日はアリスによってその結果のプリントが渡されていた。



 各能力評価は《S〜Dの5段階》+《判定以上》+《神素値》+《技術値》+《判定以下》で構成されている。



 《判定以上》とは、その能力がSよりも上であることを意味します。



 《神素値》とは、その人物の神素量を表しています。



 《技術値》とは、能力発動速度を意味しています。



 《判定以下》とは、その能力がD未満もしくは発動出来ないことを意味しています。



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 ラースの能力判定は



 ・《身》: 判定以上技術値: 判定以上

 ・《気》: 判定以下技術値: 判定以下

 ・《流》: 判定以下技術値: 判定以下

 ・《明》: 判定以下技術値: 判定以下

 ・《生》: D《技術値》: 判定以上

 ・《天》: 判定以下技術値: 判定以下

 ・《神素値》: 判定以上



 という結果だった。



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 俺はユリウスの生まれ変わりなので神素量が桁違いになっていた。



 しかし、そのせいで技術が必要のない能力は発動できるが技術が必要な能力は発動自体が出来ないのである。



 つまり、神素が莫大なゆえ扱えないのである。



『うわー。予想はしていたが散々な結果だ! 能力発動が簡単なやつは桁違いなんだけどなー。能力発動が難しいのは能力自体発動出来ない。』

 


『更に《天》がまだ使えないのは痛い。』



 《天》とは、第6感または、その人物の固有能力であることを示している。《天》には様々な解放条件がある。



 例えば、各能力の使用回数や覚醒者になってからの時間、各能力が使用できるようになる。このように解放条件は様々である。



 大抵の覚醒者は1週間程度で解放されるのだが俺は未だに《天》が使用できないのである。



 《天》は各能力の中でも勝敗を決める要の能力なので《天》が使用できる状態でなければならない。



 《天》が使用できないのであれば勝負がかなり不利になってしまう。



 すると後ろの席に座っていたリリカが俺に話しかけてきた。



『ラーちゃん。結果はどうだった? 』



『散々な結果だったよ。特に《天》が未だに使用出来ないんだ! 』



『たしかに《天》が使用出来ないのは痛いね。だけどラーちゃんの場合は《身》の能力が高いから身体強化が凄いことになると思うよ。』



『まぁそれはそうなんだけど、《身》しか使えないのがなぁ。』



 《身》とは、その人物の身体や5感を強化する能力である。



 例えば、身体強化で相手のダメージを軽減し時には攻撃、5感を研ぎ澄ますことで相手の攻撃を避けるなど《天》に次いで重要な能力である。



『《身》しか使えないことは接近戦しか出来ないんだよな。』

 


『これから能力練習すれば《天》も使えるようになるよ‼︎ 』



『だといいんだがな。』



 アリスがクラスの注目を集める。



『はーい! 皆さん! 自分の能力を確認できた所で今日は重要なことを伝えます‼︎ 』



『クラス対抗戦に向けて明日からクラス内対抗模擬戦を実施したいと思います。』



 何だと⁉︎ 俺まだ《天》使えないんだけど……。



『クラス内対抗模擬戦とは、Aブロック5人、Bブロック5人に別れて各ブロック内で対戦してもらいます。最終的にAとBの勝者同士が対戦し優勝を決めます。』



『優勝者にはクラス対抗戦に出場する3人の内の1枠が確定します。』



『皆さん理解出来ましたね。』



 理解出来ねーよ。ユリウスの生まれ変わりだからチートだと思ったのに検討外れにも程があるぞ‼︎



『今から私が各個人の能力を考慮し割り振りたいと思います。』



『なお、カムイくんとエルドさんは能力が高いのでAブロックの決勝をカムイくん、Bブロックの決勝をエルドさんに無条件に割り振ります。』



 そして、Aブロック『ラースvsマイケル、オリバvsカルラ、無条件決勝にカムイ』Bブロック『リリカvsリリス、スワンvsキース、無条件決勝にエルド』に割り振られた。



 アリスちょっと待ってくれー。俺まだ《天》が使えないだよー。しかもAブロック決勝には、あのカムイがいるし絶望しか見えないんだが。



『今日はこれで解散したいと思います。明日に向けて戦略などの試行錯誤頑張ってください! 』



 アリスちょい待てーーー!



『ラーちゃん! 明日の模擬戦頑張ろうね! 』



『あ……うん! 頑張……ろうな! 』



 終わった……。



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