第1章:WYL学園編
第3話:WYL学園
フフフ…………。
アリスはよだれを抑えていた。
ボトボト…………。
水の流れる音がした。
『ラース様ー。お風呂が沸きましたので先にお入りください。もしよければ私もご一緒してもよろしいでしょうか? 』
『だめに決まってるだろ! 仮にも40歳の男だったんだぞ! 俺にも自尊心はあるんだからな‼︎ 』
アリスは残念な表情を浮かべた。
『あーあ。ラース様と入りたかったのにー』
アリスは何を考えてるんだ。男だって言ってるんだがな。まぁとりあえず入りに行くか。
そして俺はお風呂場へと向かった。俺は密かに自分の裸体姿を楽しみにしていた。
『時は満ちた。いざ、尋常に参る! 』
ドックン!ドックン!ドックン!ドックン!
心拍音が鳴り響く……。
うぉぉぉ!! 家で着替えた時にも見たがさすが少女の裸体だな!!!!
てか、自分の体で自分が興奮してどうするんだっていう話だ。
とりあえず。頭を洗うか。
ガシャガシャガシャガシャ………………。
うーん。髪が長過ぎて洗うのがめんどくさい。女性の長髪の人っていつもこうなのか?
目に石鹸が入った。痛てー。女神でも人間の体を借りてるから痛覚はあるんだな。当たり前だけど。
次は体だな。
キュキュキュキュ…………。
男の頃の体と違って肌が綺麗で スベスベ してる。改めて自分の肌を見ると綺麗な純白だな。
フワーン…………。
しかもいい匂いがする。さすが神々の頂点に君臨する創造神ユリウスの体だな。てかアリスに自尊心があるんだ‼︎ とか言っててプライド、ズタズタじゃねーか。
そろそろ、浸かろうかな。
ポチョン…………。
くぅー。今日は色々ありすぎて疲れてたからメチャクチャ気持ちよく感じる! お風呂の前までやってた勉強が地獄だったからまさに天国のようだ。
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(数時間前の書物室)
ガイルは右手に棒を持ち、左手に本を持っていた。
『これから、ラース様には学園で多種多様な言語を話せるように勉強をしてもらいます。』
『この学園には世界中から見習いユリウス教徒がきます。』
WYL(World、Yuriusu、Laity)学園つまり覚醒者=見習いユリウス教徒=世界中のユリウス教(フリーメイソン)の学園という解釈でいいんだっけ。
『毎年度なら、太古にアトラスの影響で覚醒した人間 の子孫のみの生徒数でおよそ5〜10人程度になります。』
1年に覚醒者ってそんなにいるのかよ!
『しかし、今年はアトラスの影響で覚醒した人間+太古にアトラスの影響で覚醒した人間の子孫=毎年度よりも遥かな人数、になると予想されます。』
『それはいいんだが、勉強が問題なんだよな。』
ガイルは満面の笑みを浮かべる。
『先程の説明でも言いましたが覚醒者は最低でもハーバード大学並みの学力が備わっているのでご安心下さい。』
『学力があるとは言っても具体的にどんな勉強をするんだ? 』
ガイルが黒板に書き始め右手の棒で文字をおさえる。
『ラース様が未知の言語の本を読み終える。→私が終了と言うまで私と会話する。』
『この行為を繰り返してもらいます。この行為つまり1言語習得するための目安は5分です。』
『言語の数は8000程ありますが大学で最低限使う言語量としては200程度なので5分×200=1000分つまり16時間程かかります。』
『俺は嫌だぞ‼︎ そんなに勉強したら壊れちまう。』
『安心して下さい。仮にもあなたは創造神ユリウスの落とし子です。そこら辺の覚醒者とは習得率は比較にならないでしょう。』
『だといいんだがな。』
『では始めましょう。……それでは始めて下さい。』
ペラペラペラペラ……。
(1秒、2秒、3秒〜15秒)
『読み終えたぞ! 会話を始めてくれ! 』
『もう読み終えたのですか? 分かりました。始めます。』
(18秒、19秒、20秒〜60秒)
ガイルは驚きを抑えきれず声量を上げる。
『終了です。およそ1言語を習得する時間は1分です。1分×200=200分つまり3時間程です。まさかここまで習得率が早いとは思いませんでした。』
『ええー。3時間もかかんのかよー。めんどくせぇー。』
しかしガイルは凄さを懸命に伝える。
『たった3時間の消費で200言語ですよ!さすが創造神ユリウスの落とし子でございます。気を取直して再開しましょう。
嫌だー。今までの人生で連続3時間なんて勉強したことないし、脳は良くても精神がボロボロになっちまうわー。
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(ラースが入っているお風呂場)
あの勉強は本当に地獄だったなー。たしか世界の言語が8000あるって言ってたよな。1分×8000=8000分つまり133時間か。
俺の知力でもそんなにかかるのかよ。そうするとガイルのやつ8000言語覚えるのに何時間かかったんだ。てかお風呂に入ってまで勉強の話はもうやめよ。
お風呂から上がり食事を済ませ、すぐさま眠りについたのだった。
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(ラースがユリウス教会に住みついてから数週間が経過していた。)
ムュニュムニュ…………。
『起きてください、ラース様。いつもの儀式を行いますよ。』
『それに、今日はラース様がWYL学園に通う日ですよ。』
『あと10分だけ寝かせてくれ。』
アリスは耳元でつぶやく…………。
『起きないと抱きついてキスしますよ。フゥー。』
とっさに臨戦態勢に入る。
『アリス! 近寄るな! 俺は男だ! 忘れてしまったのか !』
フフフ……。
アリスは満足気に笑みを浮かべながら話す。
『ラース様はこういう冗談でも言わないと起きないからですよ。』
『お前は冗談などと言いつつ隙を見つけてはチャンスを伺っているだろうが! 』
『何のことでしょうか? ラース様の思い過ごしじゃないんですか? 』
アリスの奴ここまでしらを切るとは。
『そう言えば儀式の時間は大丈夫なのか? 』
アリスは表層を一変させ焦りだした……。
『ラース様、素早く着替えて速やかに儀式場へ向かいましょう。』
まぁ、起きなかった俺に非があるから素直に従うか。
『了解した。』
そして俺は服を着替えてアリスと共に儀式場へ向かった。
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俺とアリスは儀式に間に合い俺は教会の祭壇にある椅子に座った。
そして、その他の信徒達は膝まずき祈りを捧げ10分程経過して終了した。
『いつも思うんだが毎回この儀式をしなくちゃいけないのか? 』
ガイルが俺の肩を強く掴んだ。
『ユリウス教の教えですから仕方ありません。』
俺はまだユリウス教なんかに加入してないんだがな……。
ガイルは俺の姿を見て顔を頷きながら話す。
『それよりもラース様。そのお姿似合っていますよ。』
ユリウスであることをバレないようにするために髪の毛を白黒に染めたのだ。しかし、ここまで評価されるとは。もしやガイルはロリコンなのか?
『失礼します!』
カーズが間に割り込んできた。
『ラース様。もうそろそろWYL学園の入学式のお時間が近づいておりますので地下に描かれている転移結界にお越しください。』
『もう、そんな時間か。それじゃ行くか! 』
こうして俺となぜかアリスが一緒に学園へ向かうことになった……。
俺は神素を感知されないため目に布を巻き聖者のローブを着た状態でアリスと共に転移結界へ入った……。
結界の中は光に満ち溢れ何も見えない状態になった。しばらくすると……徐々に景色が見えてきた。そこはWYL学園の門前であった……。
敷地面積は東京ドーム4個分の大きさで《フリーメイソンのマーク》が建物の正面上に刻まれている。
この学園は転移結界が無ければ外からの干渉は不可能な仕組みになっている。
そのため転移結界が張られているユリウス教会に所属していることが前提条件なのだ。
『ひぇ……。毎年5〜10人の生徒数の学園にしてはデカイ学園だな……。』
横にいたアリスが俺の白黒ロングの髪を触りながら説明する。
『ラース様、戦闘訓練が主な授業になるのでこのぐらいの大きさが適当かと思います。』
『戦闘訓練か!……ってどさくさに紛れて俺の髪をを触るな! 』
アリスは、にやけながら俺の白黒の髪を触り終える。
『ラース様、私は別のところに行きますが指示員の誘導に従ってA、B、C のいずれかの教室で待機していてくださいね。』
『了解した。』
さすがこの学園のOBなだけはあるな。
そして、俺とアリスは別れた俺は指示員の誘導に従ってAクラスで待機することになった。俺は教室の右最前列に座り辺りを見渡す。
やっぱりアトラスの影響があっただけあってAクラスだけでも10人程がいるな。
『あの……。』
すると後ろの席に座っていた赤髪の少女が硬い表情で話しかけてきた。
『わ……私のな……名前はマリア=リリカ、16歳。あ……あなたはどんなお名前かお……教えていただけませんか。』
『俺の名前はラース=アルベルト。40ではなく16歳だ。何て呼べばいいんだ? 』
ミディアムヘアー少女は髪を クルクル する。
『リ……リリカでいいですよ。わ……私は何て呼べばよろしいでしょうか。 』
『ラースで頼む! それよりリリカは何処から来たんだ 。』
リリカの表情が和らぎ笑顔になる。
『アメリカのサンフランシスコにあるユリウス教会から通っています。ラースさんは何処から通っているのですか ?』
『日本にある東京という都市のユリウス教会からだ。これからよろしくたのむ、リリカ。』
リリカは赤面させながら小さな唇を動かす。
『よろしくね。ラ……ラーちゃん。』
『ラーちゃんかー。あだ名を付けられるのは何十年ぶりだろうか。』
『ラーちゃん、まだ何十年も生きてないでしょー。』
『そりゃそうだー』
すると、聞き覚えのある声が聞こえてきた。
『はーい。皆さんお静かに、席について!これから担任を勤めさせてもらいます。アリス=マーガレットと言います。これからよろしくお願いします。』
教会にいる時や俺と話す時とは真逆でベテラン教師感を醸し出していた。
一緒に来てたから大体予想はしてたが一緒のクラスになるとはな。裏で手引きでもしてんじゃねーか?
ワワァーーーーー!!!!
教室中、一斉に歓声が上がる。
『ラーちゃん。アリスさんだよ、アリスさん。10年に一度の逸材と言われる! 』
『アリスってそんなに凄い奴なのか知らなかった。』
『凄いも何も、ユリウス教会じゃ有名だよ! 狂乱の戦姫と言われるほど戦闘のスペシャリストだよ。』
ちょっと待て。もしも、初対面で会ったあの時に俺から攻撃を仕掛けていたらどうなって……。
『静かにしないと……ラースさん以外は……殺しますよ。』
シーン…………。
一瞬にして教室が静まり返った……。
アリス……そこで俺の名前出すなー‼︎ 妬まれるだろうが!
『今日のところはここまで。明日から本格的に授業や実戦訓練が始まるから体を安静にするように。以上、解散して下さい。』
この後、俺とアリスは別々で帰り、教会で教室での扱い方について説教したのだった。
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