第2話:ラース=アルベルト
目覚めるとベットで寝ていた。周りに十字架や祭壇などがありおそらく奴らの教会にいると思った。
すると蒼い瞳の大柄な男が部屋へ入ってきた。
『お目覚めになられましたかユリウスの落とし子。私はガイル=アスタリアと申します。』
アリスとかいう金髪の少女も俺のことユリウスの落とし子と言ってたからおそらく俺のことに違いない。
『お前らは一体俺に何を求めてるんだよ。ユリウス教? 落とし子? それになんで俺は少女になったんだ! 訳が分からない! 俺は宗教なんかに入る気はさらさらないぞ。』
『やはりアリスが言っていた通り記憶が欠けているのは本当だったか。今から世界の真実や神田勇姫、あなたについてもご説明させてもらいます。』
コイツ、なんで俺の名前を知っているんだ。色々気がかりだが、たしかに俺のこの体の変化については知りたい。世界の真実はよくわからんが。
『分かった。ただしユリウス教とかゆう訳の分からない宗教に入る気は無いからな! 』
『ありがとうございます。まずはユリウス教について説明させていただきます。』
しばらく沈黙しガイルはゆっくり口を開いた。
『かつて、神々は長い年月をかけて人間を作り出した。』
『人間という器を作り、見事、命を手に入れたのだった。しかし命の他に感情を手に入れてしまったのだ。』
『人間が今まさにおこなっている戦争へと発展してしまいました。』
『戦争は一人の女神によって終結させられた。その女神こそが神々の頂点に君臨していた創造神ユリウスだった。』
『ユリウスは天界と地界を作りだし、天界は神々、地界は器である人間に切り離したのだった。』
『その際、神々は僅かな感情を手に入れ、人間は神の力を授かったのだった。』
『創造神ユリウスは人間が反乱しないようにユリウス教を浸透させ、人間との間に子供を作ることで器を確保しながら、100万年単位で生死を繰り返し人間を見守ったのです。』
『納得した!! つまり、100万年周期のアトラスが来る度に創造神ユリウスが生死を繰り返すわけか!! 今日がその境い年で血縁関係であった俺が選ばれたのか?』
『その通りでございます。』
今後100年間、女神だった記憶が欠けたまま生活するわけか!! やばい頭が沸騰しそうだ!!
『話を戻します。神々と器である人間を切り離した時に神々に僅かな感情、器である人間に神の力が授かったと先程話しましたがここに重要なことがあります。』
『アトラスが来ることで強力な地場が人間の脳に影響を与え神の力が覚醒してしまったのです。』
『神の力が覚醒する? 』
『テレビなどでフリーメイソンを聞いたことありますよね?』
『それこそがユリウス教なのです。それと同時に能力覚醒者の集団なのです!!』
『???? 』
『なぜ人間の能力は平等ではないと思いますか? それは神の力の覚醒している度合いが違うからです。』
『理解は出来たが腑に落ちないなー。』
『この世界の真実については終わりましたがユリウスの落とし子であるあなたの記憶をどうにかしなければならないし能力も使えないと見受けられます。』
『ちなみに神田勇姫あなたは今日から全世界から狙われることになります。』
『う、うんそうだな。だが俺は完全に信じた訳でもないし、ユリウス教に入る気もないからな!!』
するとドアが開き一人はアリス、もう一人はガイルよりも大柄な黒髪の男が入ってきた……。
アリスが俺の髪に触れる……。
『ユリウスの落とし子。やっと起きたんだね。相変わらず可愛いね。』
黒髪の男は後ろで手を組み堂々と挨拶を始めた。
『初めてお目にかかります。俺の名前はカーズ=グリズリーと言います。これからよろしくおねがいします。』
『俺の名前は神田勇姫。これから付き合うかはわからないけどとりあえずよろしく!』
ガイルが腕を組みながらカーズへ訪ねる。
『ところでカーズ。例の物はできているか?』
『ああ、もちろんだガイル。俺の行動力を舐めるなよ!!』
アリスはカーズへ向けて ニヤニヤ する。
『とかいってたまにドジ踏んだりするんだから。例えば、カーズの前の彼女の……』
カーズは赤面しながらアリス口元を押さえる。
『それを言うのはやめろ、アリス。仮にも落とし子の前だぞ。』
『冗談だよー冗談。人の黒歴史を話すほど悪い女になりたくないからね。』
なんなんだこいつら?っていうかカーズ、外見に見合わず可愛い性格してるじゃんか!!!!
カーズがガイルにローブのような物を手渡す。
『ほらガイルこれが例の物だ。ユリウスの落とし子に色々と説明してやってくれ。俺とアリスは別室で色々とさっきのことについて話し合いをしなくちゃならんから、よろしく!!』
『ええ……。もっとユリウスの落とし子と話したかったのに。じゃあね、バイバイ。』
カーズとアリスが部屋を退出した……。
緊張感のない奴らだ……。
ガイルは真剣な眼差しを俺に向ける。
『カーズが例の物を持ってきたので神田勇姫、あなたに1年間やってもらうことを伝えます。』
例のもの? 1年間? 何のことだ?
『学園へ通ってもらいます‼︎』
『????』
『これから1年間あなたにはWYL(World、Yuriusu、Laity)学園に通ってもらいます。』
え? え何? どゆこと??
『待て待て待て待て。何で40歳にもなったおっさんが学園なんかに通わなくちゃならないんだよ。』
『あなたは現在、能力が備わっているが使えない状態です。』
『お前たちに教えてもらえば済む話じゃないのか? 』
『能力覚醒者は1年間この学園に通うことが義務付けられているのです。』
『俺がユリウスの生まれ変わりでもか‼︎ 』
ガイルは俺の言葉を踏みにじる。
『そうです‼︎ 』
ええー‼︎ 女神をも強制させる義務とかあるのかよ。どんだけ偉いんだよその学園。
『けどさ、俺の学力ってそれ程高くないぞ!能力者の学園についていけるのか? 』
『安心して下さい。能力覚醒者の学力は最低限ハーバード大学の生徒程の学力が備わるはずです。』
『なおかつ、この学園は多少勉学もしますがほとんどが実戦訓練です。』
『??実践訓練??』
その名の通り戦うための訓練です。』
『ええー? 何々何々⁇ 勉強以外の能力覚醒者は国が保有する戦闘兵器にでもする気なのか? 』
『半分は正解で半分は間違いです。ユリウス教はフリーメイソンって言いましたよね。』
『フリーメイソンの理念ってたしか? 自由、平等、友愛、寛容、人道だったっけ? まさかそうゆうこと? 』
『ご察しの通りでございます。この理念ではむやみやたらに戦闘をしてはいけないのです。』
『ですが、過ちを犯した者それが国やユリウス教の者であろうと制裁を加えなければなりません。』
『へぇーだから戦闘訓練をしなきゃならないのかー。俺の先祖、ユリウスもめんどくさいことしてたんだなー。』
『そして、今日から神田勇姫あなたには新しい名前で名乗ってもらいます。』
『その名は????』
『これから仮に名乗ってもらう名前がラース=アルベルトになります!!!!』
『なんで、その名前にしたんだ? 』
ガイルは顔を引きつりながら話す。
『私が結婚して生まれた子供につけたいからです。まだ彼女いないけど……。』
彼女もいないのに考えていたのかよーー!!!!
『大体の流れは分かった。ただ何回も言うように宗教なんかに心酔しないからな! 』
ガイルは膝まずき右腕を胸 ドン! と当てた!
『ご指示に従っていただけるならば!!!!』
こうして俺は40歳にして新しい名前、ラース=アルベルトとして能力者の学園に通うことになったのです。
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