第0章:女神の転生

第1話:女神のお告げ

 


 モクモクモクモク…………。

 気がつくと雲の上にいた。



 辺りには何もなく、あるとすれば小さな雲の欠片が有象無象浮かんでいることぐらいだった……。



 まるで絵本や漫画などで描かれる天国のようだった。



 俺……死んだのか? 夢をみてる可能性もあるけど余りにもリアル過ぎる……。



 できれば後者を希望するが……今までの人生いい思い出があった訳でもなかった……。



 俺こと神田勇姫、40歳。イケ面でもないし身長も低い! 平均程度の頭脳で運動神経に関しては壊滅的だ!!



 モコモコモコグニュグニュグニュ…………。

 突然、目の前の浮かぶ雲の欠片が変形し金髪少女になってしまった!!



『…………。』

 紅蓮の瞳をした少女が黙って俺を見つめる。



 少女の美しさに圧倒され口を開くことさえ出来なかった。



 少女の肌は白く、幼かったがどこか大人びていた……。



 少女の小さく細い唇がそっと開く……。

『時は満ちた。これからお前に抗えない運命が立ちはだかるだろう。今は理解できないかもしれないが真実を知りうる時が必ずやってくる。そして、神の修羅に終止符を……。』



『うぅ、眩しい…………。』

 突然、眩しい光が俺を包み込む…………。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



『ハァ、ハァ、ハァ、ハァ……。俺の部屋か……。』

 目覚めると6畳間に敷かれている布団で寝ていた。



 思い出せない。何の夢見てたんだっけ?? 所詮夢だし、そんなことはどうでもいいか!! そういえば、超巨大新惑星が地球に接近する日って今日だったな……。



 2年前に未確認の超巨大新惑星が観測された。地球サイズの大きさで第1発見者によってアトラスと命名された。



 太陽の周りを100万年周期で回っていると仮定されている。地球に接近すれば1日で通過していく程の超高速で動いているらしい。



 強力な磁場を有しており、その影響でパイプラインなどが使用不可能になるので全世界完全休養日とされている。



 医療機関などでは対磁場専用の部屋が2年前から建設されているがその部屋の対象者は重体患者とされている。



『ハァ……。暇だな何もすることがない……。』



 そう、休養日になったからといって喜び難い。なぜなら、1日中風呂にすら入れず何もすることがないからだ。今期のアニメやゲーム、テレビやYouTubeなんかも全てダメ。



『家にいても何もするとこが無いし外へ出かけるか……。』



  そして、着替えようとした時にいくつか疑問を感じた。

 


 一つ目は視線の高さ。しかし視線が低くなっているように感じたがあまり気にしなかった。さっきまで寝ていたので高低感覚が鈍っていたからである。



  二つ目は腕の細さ。目が霞んでいたので見間違いだと思い込んでいた。



 三つ目の胸で確信に近づいた。服を脱いだ時にツルツルペタペタなチッパイがあったのだ。



 四つ目の鏡で確定した。鏡には白髪の紅蓮の瞳をした少女が映っていたのだ!!!!



 鏡に映る白髪の少女こと俺が驚きながら体をバタつかせた。



『えぇーーー⁉︎⁉︎ うそーーー⁉︎⁉︎ なんで少女になってるの⁉︎ あっそうか。これは夢か! 俺がロリコン過ぎて夢の中の俺まで少女になってしまったのか! もういいよ俺! もう少女はいいから目を覚ましていいよ!』



 しばらく自問自答しながら色々目を覚ますために試したが目を覚ますどころか逆に現実味が帯びてきた!!!!



『そうだ! 外にいる人に尋ねよう!これは絶対夢に違いない!』



 俺は夢であることを証明するために外出した!



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



【視点が変わります】



(とある教会で3人の幹部による重要な隠密会議が開かれていた。)



 大柄な男が大きく息を吸い込むと冷静かつ慎重な表情で話しだした。



『創造神ユリウスの落とし子が誕生された!!』



 もう一人の大柄な男は赤面し興奮した。



『それは本当かガイル! 』



 小柄な少女も興奮し飛び跳ねながら聞き返す。



『本当なのガイル?』



 ガイルは大きく頷きながら2人の顔を見る。



『本当だ!私の予知能力は100%だ! 私も驚いている。まさかあの史書に記述されていたことが現実になるとは想像もつかなかった。』



『カーズ、お前の感知能力で落とし子をさがして欲しい。早急に見つけ出さないと他国のならず者に拉致されかねない。任せたぞ! 』



 カーズは満足げに胸を張った。



『俺の出番ってわけか。分かったぜガイル! 今から始める……。』



『アリス! カーズの感知能力で見つけ次第お前に念話を送る。捜索を頼む。』



 アリスは額に手を当て敬礼をする。



『ガイルの頼みなら断る理由もないね! ユリウスの落とし子、可愛いといいな……。』



 ガイルはアリスへ高らかに宣言する!



『信徒100名を連れて早急にことを当たってくれ! 顔や特徴は史書の記述通りのはずだ! アリス頼んだぞ』



 アリスは再び敬礼をする。



『アリス、了解しました! ところでガイルも捜索に行くの?』



『私はカーズの感知能力で落とし子を発見するまで隣の書物室で史書の内容を読み返したりしてユリウス神にまつわる記述を探すつもりだ。アリス、もしもユリウスの落とし子が抵抗するなら無理矢理でも連れてくるようにしても構わない』



『大体の流れは分かった。ガイル、カーズ 』



 ガイルは右腕を上げ人差し指を天井に指しす。



『それでは、ユリウスの落とし子捕縛作戦開始だ!』



 カーズは拳を握りながら、アリスは敬礼をしながら返答した。



『了解したぜ。』



『了解であります! 』



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



【視点が元に戻ります】



 俺が道を歩いていると突然目の前に青いカチューシャを付けた少女が立ち塞がった。



『史書に描かれていた通りやっぱり可愛い。おっと忘れてた! ガイル!報告通りユリウスの落とし子を発見したよ。捕縛して帰還ね、了解!』



 なんだこの人? 突然俺の前に立って、何をブツブツ話しているんだ?



『すみません。俺に何か用ですか? 』



『私はユリウス教徒幹部のアリス=マーガレット。普段みんなにアリスって呼ばれている。』



 気づけば俺の周りに100人程の人に囲まれていた。嫌な予感がするが一応聞いてみるか。



『まさか俺を捉えませんよね……。』



 フフフフ……。

 アリスは不気味な笑みを浮かべて俺に話す。



『もちろん君を捉えるためにここに来たんだよ。あまり戦いたくないから大人しくついてきて欲しいな。』



 やっぱりな。というかユリウス教? 聞いたことないな。語尾に教と付いてるくらいだから宗教か何かかもな。



『すみません。俺、宗教に興味なくて無宗教なので他所でやってくれませんか。』



『もしかして記憶がないの? 』



 今まで生きてきた記憶はあるが何を言っているんだ ?



『俺は何も知らん! 無宗教だ! 』



 アリスは突然俺に指をさしてきた!!!!

『創造神ユリウスの落とし子なのに無宗教なのはおかしいよ! その姿が何よりも証拠だよ!』



 もしかしてこの姿になった理由がこの宗教に関係することかもしれない。だけど宗教に入るのは勘弁だ。



『何回も言っているんですが宗教は結構です。失礼します!!』



 アリスは腕を組みながら部下達に命令を下す。

『君が抵抗するなら仕方ないね。みんな、一斉に捉えて。くれぐれも慎重に扱うように。』



 周囲の人が一斉に俺を捉えかかってきた!!!!

 体がビクともしない! 俺は一体何処へ連れていかれるんだ?



『やめろー。俺は宗教に興味なんかないんだよ。お前らやめろ! ぶっ倒すぞ!』

 


 俺は口にガムテープを貼られ、頭には黒い袋を被され、手足をロープで縛られて何も動けない……。



 『ヌゥヌゥウウウウ!!!!』



 それでも必死に抵抗したが挙句の果てに麻酔薬らしきものを打たれて眠りに落ちた。



 ど、こ、が慎重に扱えだ、よ……。



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 ご閲覧ありがとうございます^_^ 無駄な所をカットし見やすくしました。この作業をこれからもしていきます。よければ感想やブクマもよろしくお願いします^_^


















 


 


































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