第4話「あなたは誰!? 登場、ミラクルエスクリダオ!」

〈前回のあらすじ〉

 小川優姫おがわゆうきです。あたしだって成長しているんだからね! また現れたドラゴニアが生み出した怪獣を倒したのは良かったんだけど、結局聞きたかったことは聞けずじまい……このままじゃ超ダメだ!! 怪獣なんかババーンと倒して、ドラゴニアに聞かなくちゃ! って、あれ? 何か新しい人と出会う予感がする……?



〈本編〉

「ハート・ストライク!」

「チョコレイトォオオオオオオオオオ!!」


 春の足音が聞こえる中津里町。

 辺り一帯に甘い香りを漂わせていた白一色のドラゴンが、ミラクルハートの必殺技で消滅していく。


「チッ……何でこうなるんだよ、クソッ!」

「あ、待って!」

 腹立たしげに髪を掻き乱しながら、ドラゴニアもすぐに姿を消した。

 伸ばした手が無意味になってしまったハートの隣に、ブレイブが立って声を掛ける。


「今日も聞けなかったね」

「うん……」

 ブレイブとハートが眺める中で世界修復が行われていく。

 行方不明の杏子とひかる――先代の魔法少女は悪魔に捕らえられた可能性が出てきたため、何としてもドラゴニアからもっと情報を聞き出さなければならない。

 しかし、ある程度街を守ることには成功する一方で、情報の入手に関しては何ら進捗は無かった。



 ◇◇◇◇◇◇◇



「ったく、さっさとアイツらを潰さないとダメじゃねーのか……?」


 ぶつくさと文句を垂れながら洋館の一室に戻ったドラゴニアの目に、そこに居るはずの無い存在が映った。


「やあ、待ちくたびれたよ」

「デモ――じゃなかった、サタニア。何でここに居るんだ?」

「……いつになったら、貴方は私の名前をきちんと呼べるようになるの? それと、一応「様」を付けて」

「はいはい、仰せのままに。サタニア『様』」

「貴方ね……」


 ゆるく両手を上げて軽く答えるドラゴニアに強い不満を抱き、サタニア=デモニアの眉はひくついた。漏れ出る怒気は――いくら既知の間柄とは言え――ドラゴニアを震えさせた。慌てて、ドラゴニアはもう一人の予期せぬ来訪者を指差す。


「と、ところでソイツは誰だ?」

 その問いに、サタニア=デモニアはわざわざ人間界まで来た理由を思い出した。

「新たな魔法少女に邪魔をされたと聞いて、解決策を持ってきたわ」

「解決策?」


 首を傾げるドラゴニアの視線の先で、その「解決策」は沈黙していた。

 見かけは人間の少女と変わらないーーいや、違う。

 肌色は人間ながらも、身にまとう刺々しさを感じる衣服と背中に生えた漆黒の翼。


 その少女は悪魔に近しく見えた。


「アタシの知らない悪魔か? お前、どこの生まれだ?」

 黙したままの少女の代わりでは無いが、サタニア=デモニアが自信に満ちた表情でその正体を告げる。


「魔法少女を『殺す』魔法少女よ」

「……は?」


 きょとんとしたドラゴニアに、しかしサタニア=デモニアは苛立つことなくむしろ得意げに解説を始めた。

「今まで悪魔が魔法少女の相手をして、結果的に偉大な方々の命を失うことになった――それがなぜか、貴方にはわかる?」

「いや、サッパリわからん」

「簡単な話よ。ニンゲン界における魔法少女の相手に、悪魔は適していなかった。それだけのこと」

「それだけのことって……まあ、それは別に良いが、それがどうやってコイツに繋がるんだ?」

「あれ、まだピンと来ない?」

「……来ねーよ。アタシはバカだからな」


 サタニア=デモニアが優越感に浸っている様をありありと感じながら、ドラゴニアは「お手上げ」のポーズをした。内心では苛立つものの、こういう時のサタニア=デモニアの気分を害しない方が良いことをドラゴニアは知っていた。


「ニンゲンの言葉に、『魚は殿様に焼かせよ餅は乞食に焼かせよ』というものがあるらしいわ。何事も適任者にさせるべし――ということで、魔法少女に魔法少女をぶつけることにしたのよ」

「あ、そう……」


 なぜ魔法少女に対処する適任者が魔法少女なのか、さらに気になるところではあったが、話を聞くことに飽き始めていたドラゴニアは実務的な所に話を移した。


「じゃあ、アイツらの相手はコイツに任せれば良い訳だな?」

「その通り、と言いたいところだけど、最初から任せないで。この子を使うのは――」



 ◇◇◇◇◇◇◇



「ま、とりあえずやるか」

 

 明神地区。

 大きく背伸びをしたドラゴニアが眺めるのは、中津里町の商業の中心としてビルが立ち並ぶ一帯だ。

 日が暮れてもなお――いや、より一層人通りの多くなる通りを見下ろしてから、ドラゴニアは少女へと目を向けた。


「お前の働き、期待してるぞ?」

「……はい」


 黒ずくめの衣服――悪魔と似通うそれに身を包みながら、少女は微かにうなずいた。

 口数が少なく物静かで硬い雰囲気、そして俯きがちなゆえに目元が見えず表情がわからない。そんな少女が「解決策」とは、ドラゴニアは信じられなかった。


 しかし、ドラゴニアが武力に秀でるなら、頭脳で秀でるのがサタニア=デモニアだ。その彼女が自信を持って言うのだから、少なくとも役には立つのだろうと思いなおす。

(ま、何かあったらねじ伏せるだけだ)

 最後は脳筋的思考になりながら、ドラゴニアは怪物を呼び出す。


「クルーマー!!」

「………」

「………」


 通りの真っただ中で咆哮を上げた怪物を見て、ドラゴニアも少女も沈黙した――少女はもとより沈黙してはいたが。


「クルーマー!!」

「なあ、魔法少女よりもまず先に、上手な魔獣の作り方を知らないか?」

「……あたしより、サタニア様にお聞きになるのがよろしいかと思います」

「うげぇ、やっぱりそうなるのかよ……アイツにはあんまり頼りたくないんだけどなぁ」

「クルーマー!!」


 ワゴン車にドラゴンの首と翼、そして尻尾を付け足しただけとも言える巨大な怪物が、三度咆哮を上げる。

 生み出した本人は酷評するが、しかし人間にとっては確実に脅威だった。


『うわああああああああ!!』

『たすけてええええええ!!』


 たちまち通りに満ちる悲鳴とクラクション、そしてドラゴニアの手元へと集まる悪性魔力。

 姿かたちがどうであろうと、間違いなく怪物はその役目を果たしていた。

 もちろん、ある種の「役目」と化したことについても。


「そこまでだよ!!」

「止めて!」

「クル!」


 片道2車線、合計4車線の通りを占有する巨体で駆け出そうとしていた怪物の体をドロップキックで地面に沈めた2人が、宙を待ってビルの屋上に着地する。


「強さあふれる勇気の光、ミラクルブレイブ!」

「想いあふれる心の光、ミラクルハート!」

『世界を照らす奇跡の光、ミラクル☆エンジェルズ!!』


 背中を合わせながら手を突き出して名乗ったブレイブとハートは、即座に怪物を倒すべく動く。


「ブレイブカリバー!」

 手元に現れた大剣を握り、ブレイブが大きく振るった。

「クル!」

「ハートワンド!」

 巨体に似合わない敏捷さでかわした怪物を、今度は杖を握ったハートが狙う。

「ハート・シューター!!」

「マー!!」


 無軌道に殺到する複数の光弾が炸裂し、もうもうと煙が一帯に立ち込めた。


「やった?」

「どうだろう……」

「クルーマー!!」

『あっ!!』


 ブレイブとハートが様子を窺う中、煙を突き抜けて怪物が姿を見せた。無残にもボディ(体)に無数の凹みを受けながらも、至って元気に怪物は通りを爆走し始めた。


「クルーマー!!」


 多くの車を踏みつぶしながら掛ける怪物。けたたましく鳴り続けるクラクションに、逃げ遅れた人々の断末魔が混じる。


「マズい!! 『超・ブレイブカリバー』ァアアアアアア!!」

「「「やっぱり名前が適当!!!」」」


 相変わらずツッコまれながらも、善性魔力に満ちたブレイブカリバーの一撃が怪物を捉える――かに思われた。


「クルーマー!」

「は――はぁあああああああああああ!?」


 やや斜めに振り下ろされたブレイブカリバーをかわす形で、怪物は

 いまだ振り下ろす動作を完了しきっていないブレイブの頭上を、怪物は通り過ぎていく。ブレイブはそれを見送るしかない。


 しかし、ハートは違う。


「ハート・ストライク!」


 ハートは即座に必殺技を放った。

 十分に魔力を集積した状態よりは幾分威力が劣るものの、それでも十分な攻撃。

 飛び上がったばかりの怪物には避けられず、落ちる他は無い。


「クルーマー!!」

「え――」


 思わずハートは絶句した。

 怪物は翼の一打ちで射線上から外れ、結果として「ハート・ストライク」は無意味に地面に穴を穿つだけになったからだ。


「おい、おい、見ろよ! めちゃくちゃ強いじゃん、アタシの魔獣! これはお前の出番は無いかもな! アハハハハアは、ゲホッ、ゴホッ」

「………」

 見た目に反して怪物が見せた高性能ぶりに、むせるほど興奮したドラゴニアが少女の背中をバシバシと力強く叩く。

 少女はわずかに拳を握りながら、空中で策を練るブレイブとハートに視線を向けた。


「どうする?」

「どうしよう……」

 悠然と夜空を舞う怪物に目をやりながら、ブレイブとハートは頭を突き合わせた。

「バインドで動きを止められない?」

「うーん、出来なくはないだろうけど……あれだけ動かれると難しいかも」

「そっか……」


 以前ブレイブが『超・ブレイブカリバー』でトドメを刺した際に、ハートが補助した「ハート・バインド」。怪物の動きを封じるその技は、しかし完全に動きを封じるまでにはタイムラグがある。

 機敏な怪物には、一瞬でも動きが止まる――あるいは単純な行動を取る瞬間を狙わないと失敗しかねない。


「やーい、魔法少女ー! アタシの魔獣に手も足も出ないってか? ざまあみろ!!」


 怪物を倒す方法について考えあぐねていたブレイブとハートへ飛んだ、気を良くしたドラゴニアの野次。


「……何か超ムカつくね」

「……同感。わたし、こんな気持ちは久しぶりだよ」


 しかし、それは完全に裏目に出てしまった。


「思いっきりぶっ倒す!!」

 そう宣言したブレイブは、すぐさまハートの元から飛んでいった。

(い、いつもより速いバト!?)

 リミッターでも外れたのか、バトリィが感じた通り、通常の3倍に迫るスピードでブレイブは怪物を追いかけ始めた。


「クルーマ!?」

「何!?」

 それでもブレイブの追撃をかわし続ける怪物だったが、急なブレイブの運動能力の向上はドラゴニアさえも慌てさせた。

 

 そして、さらにドラゴニアを慌てさせる事態が――


「絶対に捕まえる!!」

 ハートがハートワンドを頭上に掲げると共に、上空一帯に魔法陣が複数展開した。

「超・ハート・バインド!!」

「ブレイブの口癖が移ったラブ!!」

 魔法陣から出現した無数の光のチェーンが怪物へ向かって伸びる。それはただ伸びるだけではなく、怪物を


「な……」


 ドラゴニアが唖然とする中、怪物は無数のバインドチェーンと高速機動するブレイブとの追いかけっこに興じなければならなくなった。

 当然、そんな追いかけっこが長く続くはずが無い。


「クル……マ……」

「『超・超・超・ブレイブカリバー!!』アアアアアアア!!」

「「やっぱり名前が雑!!」」


 光のチェーンでぐるぐる巻きにされた怪物に、再び振り下ろされるブレイブの攻撃。

 夜から一気に昼になったかと思うほどの輝きを放ちながら、巨大なブレイブカリバーが――今度こそ――怪物を切り裂いた。


「クルーマ―!!」


 その叫びは、余計な一言を発したドラゴニアに向けての抗議だっただろうか。

 眩い光が消えるとともに、怪物も姿を消した。


「はあ、はあ、はあ……」

「ぜぇはぁ、ぜぇはぁ、は……」


 いつも以上の力を発揮した2人は、荒く肩で息をついた。特に、普段あまり運動をしないハートの疲労は限界に近かった。


「あー! 結局こうなるのかよ!」

「ドラゴニア! 後は、あんただけだよ!」

「教えて! ルアたちの居場所を!」


 わしゃわしゃと髪をかき乱すドラゴニアに、ブレイブとハートは切先と杖の先を向けた。いかに息切れしていようとも、その語気は強くドラゴニアへの視線も鋭い。

 いつもならドラゴニアは逃げるところだが、今日は違った。


「フフフ、残念だったな。この時を待ってたぞ」

「何を強がって――」


 そう言いかけたブレイブが、ハートの隣から姿を消した。


「ブレイブ?」


 それは、ただ姿を消しただけでは無かった。


「か、っは――」


 突然襲った激痛に、ブレイブの息がつまって微かな音だけが漏れる。

 気付けば、ブレイブはビルの壁面に出来たクレーターの中心にいた。


「来るラブ!」

「え……」

 ラブリィの警告をハートが認識して、身構える。

 たったその数刻の間に、「敵」の蹴りはハートの腹部を捉えていた。

「――!!」

 音にすらならない声を上げながら、ハートもまたビルの壁面へと激突する。


「な、に……?」

 べろり、とビルの壁面から剥がれ落ちたブレイブが、うつ伏せになりながらも顔を上げる。


 その眼前に、「敵」は降り立った。


 刺々しい漆黒の鎧に身を包み、仮面で顔を隠した白髪をツインテールに結った少女。その背には鎧と同じ黒い翼が生えている。


「あんた、だれ……?」

「………」

「ぐ――」


 ふらりと立ち上がったブレイブの問いには答えず、少女は蹴り上げた。

 抗うこともできずにただ蹴り飛ばされたブレイブは、ハートの隣へと弾んで倒れて変身を解除した。


「ブレイブ! 大丈夫……?」


 駆け寄って抱え上げたハートに、優姫はかろうじて笑顔を見せた。

 しかし、とても「大丈夫」と言える状況では無かった。


「あなたは、一体……」


 優姫の体を抱えたまま少女をキツく睨んで、ハートは問うた。

 それに対して、ドラゴニアが自慢げに答えた。


「『対魔法少女戦用魔法少女型殲滅兵器 魔造少女ミラクルエスクリダオ』。それがソイツの名前だ。お前たち魔法少女を消すために造られた『魔法少女殺し』の魔法少女だとよ」

「『魔法少女殺し』……?」

「今まで散々お前たちには邪魔されてきたからな……まあ、アタシはまだマシだが、先代のサタニア様やアスモデウサ様、ベルフェゴーラ様を殺したんだ。その罪を命で償ってもらうぞ!」

「勝手なことばかり!」


 残った力を振り絞り、ドラゴニアに向かって「ハート・ストライク」を放つハート。

 瞬時に割って入った少女も構え、技を放つ。


「……エスクリダオ・ダークネスストリーム」


 感情が削ぎ落されたかのような、無機質に聞こえる言葉と共に放たれた漆黒の光。

 白と黒、2つの光がぶつかり合い、押し合う。

 ハートが優勢に見えたのは、最初だけだった。


「く……」

「………」


 激しく消耗しているハートが放つ光と、満を持して登場した少女が放つ光。

 勝負は既に決まっていた。


「う、あああああああああ!!!!」


 漆黒の光の奔流に飲まれたハートの絶叫が通りに響く。


「おお! やるじゃないか! さすがは『解決策』なだけはあるぜ」

「………」


 再び通りへと降り立ち、ゆったりとハートとの距離を詰めるエスクリダオ。

 体中から煙をくすぶらせ、意識さえ曖昧になりながらも、懸命にハートは立ち続けようとしていた。

(守らなきゃ……皆を、優姫ちゃんを……お姉ちゃんを……)

 一歩、また一歩とエスクリダオが近付く中、ハートは無意識に手を前に伸ばした。


「お姉ちゃん……」


 消え入るような声を発すると同時に変身が解け、こころはそのまま地面へと仰向けに倒れた。

「こころちゃんッ!」

 危機感で一杯になった優姫が声を張ると同時に、エスクリダオが足を止めた。

「ここ、ろ……?」 

 エスクリダオは小さく呟き、こころをじっと見下ろした。

 その様子を怪訝に思い、ドラゴニアが命令する。


「おい、何してんだ? とっととソイツを『殺せ』」

「! ……はい、ご命令通りに」

「させない!」


 ぎこちなく手を振り上げたエスクリダオの前に、優姫が手を広げて立ちはだかった。

「おいおい、何のつもりだ?」

 嘲笑うドラゴニアの言葉に、優姫はふらつきながらもしっかりとした口調で答えた。

「こころちゃんは死なせない……絶対に守る!」

「ハハッ! バカか、お前は。もう戦う力も無いのに、どうやって守るって言うんだ?」

「どうやっても守る! こころちゃんには、取り戻したい人がいるんだから!」

「そうかそうか、そんなに死にたいなら望みどおりにしてやる。やれ、エスクリダオ」


 目尻に浮かんだ涙を拭い、ドラゴニアは無慈悲にエスクリダオに命じた。

 しかし、エスクリダオはしばし間を置いてから口を開いた。


「ドラゴニア様の言う通り、あなたはバカだ」

「ほぇ……?」


 よもやまさかエスクリダオに話しかけられるとは思わず、優姫は変な声を出した。

 そんな優姫の反応には構わず、エスクリダオは淡々と言葉を継いだ。



「守りたいと思って、それを成し遂げようとする……その『勇気』は評価する。でも、後先を考えない『勇気』なんて、『勇気』じゃない。そんなもので……何も守れやしない!!」


 強く握った拳を振るい、エスクリダオは優姫を殴り飛ばした。



「うぅ……」

「優姫! 大丈夫バトか!」


 呻く優姫に、バトリィがにじり寄って声を掛ける。

 口の中に広がる血の味と何度も打ち付けた体の痛みを感じながらも、優姫は何とか頷き返した。

 一方のラブリィも、意識を失っているこころに近付いて、窮地を脱する策を発動しようとしていた。


「発動! 『転送』!!」

「な――」

「うおッ!」


 ラブリィの手がこころの体に触れた瞬間、一帯が光に包まれた。

 目潰しをくらう格好になったドラゴニアとエスクリダオの視界が正常に戻ったころには、優姫とこころたちの姿は忽然と消えていた。


「チッ、逃げられたか」

「――! 申し訳ありません!」


 背後から聞こえた声に振り返り、エスクリダオは勢いよく頭を下げた。

 あまりにも急な勢いに、ドラゴニアは軽く両手を振ってフォローした。


「いや、お前すごいじゃないか。次は確実に頼むぞ」

「はい! ……ご命令通りに」


 頭をさらに下げたエスクリダオだったが、最後はやや調子を落として答えた。

 そんなエスクリダオの些細な変化には構わず、ドラゴニアはふとあることを口にした。


「そう言えばお前、喋れるんだな」

「え……?」


 きょとんとするエスクリダオを連れ、ドラゴニアはひとまず拠点へと戻った。



〈次回予告〉

 神谷こころです。怪獣を倒したわたし達を襲った黒ずくめの女の子。名前は「ミラクルエスクリダオ」――わたし達と同じ魔法少女みたいなのに、どうして襲ってきたんだろう。バトリィとラブリィのお陰でピンチを脱したけど、考えなきゃ……

 次回、『魔法少女ミラクル☆エンジェルズ Brave&Heart』第5話。

 「優姫が覚醒!? 守るために戦う勇気!」

 わたし達が、奇跡起こします!

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