第48話 14-3路地裏の深淵

『ジャン‼』


 ログインした瞬間、ロベリアが飛びついてくる。


『良かった、戻ってこれたのね‼』


 ユリィが涙目でこちらを見ていた。

 状況が飲み込めず、辺りを見渡す。そこは、カブトに任せていた宿屋の一室だった。


「ごめん、いきなり弾き出されちゃって」

『やっぱり……私もよ。慌ててログインしたら、宿屋に飛ばされたの』

『一体何があったんだ?』


 抱き着いたままのロベリアを軽く撫でると、はっとした表情をしてすぐに離れた。よほど心配していたのか、目が赤いように見える。

クロもカブトも、ユリィから途中までの話は聞いているようだった。


「どこまで話したの?」

『路地に入る前あたりまでは……』

「待って」


 ユリィの言葉を遮り、ハイデを探す。部屋に姿が見えない。


「ハイデは?」

『あぁ……そこから話すしかねぇ……一旦整理しよう。落ち着け、みんな』


 カブトの低い声が響く。この異常事態に、落ち着けるはずもなかった。

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