第15話 5-2始まりの街ラチュラ

 スオウは湯船の中でも、スマホを執拗に触っていた。


『公式アカウントに関するお問い合わせについて』


 件名にそう書かれたメールを見つめ、手を止め考える。

 じんわりと汗ばみ、外からは車の音が時々聞こえる。


「はぁ……やっぱり、簡単に手に入るものじゃないんだよな」


 声が反響する。


「万が一の事を考えれば欲しかったところだけど……」


 何か返信をしようとしたものの、それ以上の言葉は出て来なかった。スマホを棚に預け、立ち上がる。


「信じるしか、ない」


 生温いシャワーを頭から被り、じっと次の手を考えていた。

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