第11話 4-2はじめまして

 少女の部屋は、前にも増して散らかっていた。あちこちに弁当の空箱や、飲み干した空のペットボトルが転がっている。


「だけど、私は……」


 少女は半泣きになりながら、イヤホンマイクに向かい喋っている。


「うぅん、なんでもない……ごめんなさい、私がワガママ言って……」


 少女の声はか細く震え、上ずっていく。


「うん、うん。そうだよね、逃げちゃダメだよね」


 その目に光はない。


「私、明日はちゃんと学校に行くね」


 目元を拭った白く細い手首には、いくつもの赤い筋が浮かんで見える。


「終わったらまた見に行くからね」


 誰もみていない部屋で、少女は涙をいくつもの筋に変え、それでも笑って見せた。

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