第7話 おふりょあがり
ブロロロロ〜。
「メルはじっとできてえらいねー♡」
リビングでメルたんの髪の毛をブローしてあげていた。
なぜか。
珍しくさっさとお風呂に入ったメルだったが、髪の毛べちゃべちゃのままで、最終的にくしゃみとかしだしたので、強制的にちっちゃくしてドライヤータイムにしたのだ。
「める、にぃににどらいやーされるのしゅきー♡」
「僕もメルの髪乾かすのすきー」
目の前にはちょこんと座るメルたんの後頭部がある。絹よりも細いんじゃないかっていう輝く銀髪は、ドライヤーの熱風でみるみる乾いていく。指ですくと、するするしていて指の間がくすぐったかった。
唐突にメルはこっち向いて、僕に抱きついてきた。
「ど、どうしたの?」
「んー♡」しか反応がない。
なにこれめっちゃ可愛い♡
なにこれめっちゃ可愛い♡
なにこれめっちゃ可愛い♡
なにこれめっちゃ可愛い♡
心臓が細動を起こしたみたいにバクバクする。このまま死んじゃうのかな? なにそれ幸せだな。
そう思って惚けていると、
「ねえ」
メルの声がして、ん? と向く。
メルがいた。
JKサイズに戻ったメルが僕の胸元にいた。
「…………」
「…………」
静かになる。
ブロロロ〜、とドライヤーの音だけリビングに響いている。
カチッと切って、深呼吸した。
「離れよっか」
う、うん、と小さく答えるメル。
後ろを向いて女の子座りしている。
カチ、カチ、今度は壁掛け時計の音がうるさい。
気まずい気まずい気まずい気まずい気まずい気まずい気まずいいい匂いした気まずい気まずい気まずい気まずい気まずい気まずい。
何か喋らなきゃ何か喋らなきゃ何か喋らなきゃ何か喋らなきゃ。
「メ、メルさ」
「はいはいひゃい!」
声が裏返るメル。余計緊張する。
僕は混乱して、こんなことを口走っていた。
「学校行かないの? みんな心配してたよ」
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