第36話告知
無事に高校二年生になった
とはいっても、それほど急激に変わったわけじゃない。
何かのクラブに所属するようになったわけでもない。
いつものように、学校に通う。授業が終われば、図書室に行く。そして家に帰る。ただ、それだけの生活。
でも、そこには常に誰かがいた。
次第に、【学校での生活】と【家に帰るという行動】の間に、【友達と過ごす時間】というものが割り込んでいく。それは、今までの
そんな
そのせいでいらぬ噂を立てられたりすることもあった。陰口をたたかれることもあった。ただ、あの時の
だが、今は違っている。
今はしっかり会って断っている。
もはや、人と関わらない生活は、
そしてもう一つ。
時折、
『いい加減、妹離れしたらいいのに』というアキハ。
まあ、どちらにしてもアイツに出来ることなどたかが知れている。ただ、あえて言うとすれば言ってやろう。
『妹は、いつまでたっても妹だ』ということを。兄には妹を守る義務があるから仕方がないと。
だから、ほんの少しだけ、特別に。
まあ、三日に一回くらいだけどな。
気が向いたら、たまに背中に飛び乗ってやるサービスも付け加えた。
怒る
何事もなく過ぎていく時間の中で、
おそらく、こんな事は今までにない事。
シロの記憶と合わせてみても、こんな時間を俺は知らない。
だが、五月を過ぎた頃。
急に、
家にいる間は、
学校、図書室、友達との時間。
そこに俺がいるべき場所はない。
皮肉なことに、人と交流する時間が増えれば増えるほど、俺がそばで守ることが出来なかった。
人と関われば関わるほど、直接
日に日に集まる邪気を、家にいる間に可能な限り駆除していく生活が続く。
そして、七月七日の月曜日。
その日は蒸し暑く、しかもそれは体育の時間だった。
すぐに救急車で、いつもの病院に運ばれていく。あとで俺が追い付いた時には、
その
その話を聞いていると、どうやら日射病という診断を受けたようだった。
そして今は、点滴を受けて意識を取り戻している。だけど、いろいろ検査を受けているようだった。
なら、病魔とは関係がない。
しかし、一応様子を見るために、入院することになった
病院という場所は、特に邪気がうようよしている。以前入院した
だから、まずそれらを駆除して行く必要がある。だが、日中に俺が病院の中を歩き回ることは難しい。ここには俺を見つけてはつまみ出す
だからまず建物の外から駆除していくことにした。
だが、それが間違いだった。いや、俺が油断していたのかもしれない。
あらかた
もともと、病院の窓は俺が出入りできるくらいしか開かない。だが、俺はそこから出入りする。そのことを知っている
おそらく検査か何かで
全く迷惑な話だ。でも、
仕方なく、病院の横にある公園の木陰でくつろいでいたら、予期せぬそれにつかまった。
爆弾のようなフカフカを持つ母親とその娘に。いや、正確に言うとその幼女に。
俺がその爆弾に見とれてしまった隙に、幼女が俺を拘束した。
うかつだった。一瞬の隙が命取りになるとはこのことだ。
抱くというよりも締め付けに近い。
だが、それを我慢した後に味わった至福の時間。
それを堪能したあとに病室の窓に戻ると、まだ
それどころか、
――どこいった?
もう一度侵入経路を探るべく、病院の周囲をぐるりと回る。
そして、偶然俺は見つけた。
さっきの公園の入り口にある公衆電話ボックス。そこで話している
――なぜ、そんなところで話している?
近づいて、その足元から中を覗く。
そして、俺は嗚咽の声と共に聞くことになる。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます