第28話 傷跡

思いのはじまりがなんであれ、あの頃の激しい思いと同じにおいをかいだ気がした。


私の気は私の心の中を高速で暴れて止まらない。

そして、私はあまり切れのよくないカミソリで左手と腕を傷つける。

たたくように、切るように。

やはりその時は痛くないもの。

その日の夕方には、無数のみみずばれした傷跡。真っ赤にはれている。

これじゃ、近くのスーパーにも行けない。


我に返り、水道水で洗い、お薬を塗る。痛くて風呂にも入れない。でも翌日には驚くほど、傷みはひいていた。もう、猫に引っかかれたと言っても通用しそう。


私の罪悪感は深い。


認知しない子ども、だまれ病人。私はどうしてあの人を求めたのか、何年過ぎてもわからない。

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