第6話 極端

四、五日前は車にふらりと飛び込みそうになるほど、希死念慮が高まり、もう入院するしかないかもしれない、と自分で思っていました。


今日の天の高い空気はからりと澄んだ快晴でした。


私の精神は揺れることなく穏やかで、病院へ向かうバスの中ではこんな平安な心が続いたらいいのに、と思いました。


年に何度かある、平穏無事な幸せの時間が今日は流れていました。


ここ一ヶ月は続いていた希死念慮のことが考えられなかったのです。


明日になれば、また憂うつが待っているでしょう。


でもまれに、何もかもを忘れる、気にしない気にならない、そんなゆらゆらとした平和に揺れる日もあるのです。


ただ、同時にふいに、これが病気じゃなくて何だろうと、改めて事の異常に気付いた日でもありました。


極端過ぎるのです。

私の場合は。

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