第8話お悩み相談部設立!?
放課後、言われたとおりに旧校舎の教室に向かう。この学校は一昨年新設された校舎とそれ以前の旧校舎に別れている。
旧校舎にの指示された教室に着き、ノックをする。恐らくあいつらはもう着いているだろう。
「どうぞ」
やっぱりな。返事を確認して教室に入ると一葉が座って何かを作っていた。二葉はまだみたいだ。
「なにしてんだ?」
「あら、こんにちは。見て分からないかしら、相談箱を作ってるのよ」
確かに箱らしきものがあった。よくみると"相談箱"と書かれているのが分かる。
「これを職員室の横に置くわ。もちろん許可はとってあるわ。」
誰もそんな心配はしてないわ。にしても何というか...
「お前小学校の図工の成績1だろ」
そう、その箱は"箱"と呼ぶには歪だった。木箱で一面ずつネジで止めてあるって感じなのだが、まず底の板が斜めに止められてるため水平に立ってない。それにしっかりネジで止めてないため隙間が空いている。これだと入れたもの落ちるんじゃないか?
「失礼ね、5に決まってるじゃない。先生も個性があっていいんじゃないか、と誉められたわ」
それは誉められた訳じゃなくて同情だぞ、きっと。
「そうか、先生も苦労してるんだな」
「それはどういう意味かしら?」
やべ、本音が声に出てしまった。
「では、あなたも作ってみなさい。私よりうまく出来ていたらさっきの発言は無かったことにするわ」
そう言い、一葉は材料を俺に渡す。まぁ、これだけ材料があればいけるか。
「よし、できた」
出来上がった木箱、もとい相談箱を一葉に渡す。もともと正方形の箱を作り、上の部分を丸く切り取るだけだからそこまで難しい作業ではない。
「......。」
どうやら驚いているみたいだ。そんな難しくないんだけどなぁ。
「それで?さっきの発言は撤回ということでいいか?」
一葉の顔は赤くなり睨んでくる。負けず嫌いなんだな、こいつ。
一葉が何かをいいかけようとしたのと同時に二葉が部室に入ってくる。
「お、もう皆集まってるじゃん!関心関心」
二葉はいつものテンションで部室に入ってくる。すると二葉は机に置いてあった箱を手に取る。
「ねぇ、この箱みたいなのなに?」
箱みたいじゃなくて箱だ。
「それは、わた...」
「これ誰が作ったんだろうね、すごい下手くそだね(笑)」
二葉がそういうと一葉は目に見えて動揺していた。恐らく妹には知られたくなかったんだろう。まぁ妹にはそういうの知られたくない気持ちはよく分かる。俺はもう諦めたけど。
「それは俺が作ったやつだ。一葉のを真似したんだがな」
そう言い、俺が作ったやつを二葉に渡す。
「お姉ちゃん、すごーい!やっぱり私のお姉ちゃんは完璧だね、あらたは全然だけど」
悪意はないがムカつくな、こいつ。
ちらりと一葉を見ると目があったがすぐにそらされてしまった。
(...余計なお世話だったかな)
「それで、今日は何をするんだ?」
話を切り替りかえようと無難な話題をふった。一葉も深呼吸をしてかこの話題にのっかった。
「そうね、今日はもう時間だしお開きにするわ、明日から本格的に始めるわ。」
「了解。じゃぁ先に帰るわ」
帰ろうとドアを開けようと手をのばしたところで一葉が声をかけてくる。
振り向くと顔がぶつかりそうな程近づいていた。
(近い近い近い、しかも女の子ってなんでこんないい匂いすんの)
一葉はさらに近づいてきて咄嗟に目を閉じた。すると耳元で
「さっきはありがとう」
そう言い部屋を出ていった。二葉はきょとんとした顔で一葉の後を追っていった。
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