第7話 お悩み相談部設立!?

「チリチリチリチリチリ」


いつものようにアラームが部屋中に鳴り響く。俺は慣れた手つきでそのアラームを止め、二度寝するため布団をかけ直す。12月に入るとどうしてもこの魔の布団から逃れるのは難しい。それに昨日のことを思い出すと学校に行くのも億劫になる。


(...とりあえず今日は学校休むか)


俺は魔の布団に身を委ね再び寝ようとしたところにノックと同時に声をかけられた。


「お兄ちゃん!起きてる?学校遅刻するよー」


この声は妹の律だ。同じ鷺ノ宮高校に通っている高校1年生で、俺とは違いクラスではそこそこ人気者だ。どうやら愛想がよく気遣いができるらしい。

だが、騙されないで欲しい。これをみればとりあえずわかる。


(......)


俺はその声を無視し寝に入ろうとしたとき、部屋のドアが勢いよく開いた。


「...お兄ちゃん、起きてるよね?何無視してるの?...刺すよ?」


そういい律は手に持っていた刃物?らしきものを俺につきたてた。


「ちょッ怖えーよ!なに包丁なんてもってんだよ!」


「だってお兄ちゃん、私の声無視したでしょ?大丈夫、痛いのは最初だけだから」


俺は命の危機を感じた。とりあえず謝らなければ殺られる。俺は勢いよく布団からでて、ベッドの上で土下座をする。


「すみませんでした!ちょっと寝ぼけてただけ!いま起きたから!」


土下座をして顔を上げると律は口元を緩ませていた。


「ぷっ、あははははは!、冗談だよー、ご飯できたから早く食べちゃって」


そう、これが妹の本性である。皆の前では猫を被っているが、俺にはたちの悪い悪戯をしてくる。前なんかは、コーヒーの中に砂糖ではなく塩を入れて持ってきたりとかもしてきた。おそらくこれが思春期というやつなのだろうか。妹を持つ兄ならこの辛さ分かってくれるだろうか。


「勘弁してくれ、朝からそれはきつい...」


「無視するお兄ちゃんが悪いんだよ、私はお兄ちゃんが立派な人間になってくれるよう教育しているんだから感謝してよね」


そういい、律は部屋から出ていった。

完全に目が覚めてしまい、二度寝をする気にもならないので学校へ行くことにした。



昼休みになり、学食へ向かう途中に白鷺姉妹に声をかけられた。


「あらた君、ちょっと話したいことがあるからついてきてくれるかしら」


「そうそう!話したいことあるの!」


あっ、因みに私のことは"二葉"でいいよ、と二葉はニヤニヤしながら話しかけてきた。嫌な予感がしたが、断れない立場にあるためついていくことにした。

ついていった先には職員室があった。職員室になんの用があるのだろうかと思ったが、聞いてもはぐらかされるのが目に見えていたので黙ってついていくこと。


「失礼します。担任の水原先生はいらっしゃいますか?」


そう言うと、奥の席から水原先生が席を立ちこちらにやってくる。


「どうした、何か問題でもあったのか?」


「いいえ、そうではなく新しく部活をしようと思うのですが、申請書を提出しに来ました。」


一葉はそういいカバンの中から申請書類を水原先生に渡す。

その部員名簿の一覧には、白鷺一葉、白鷺二葉、そして"部長 上杉 新"の文字がはっきり書かれていた。


俺は異議を唱えようと声を出そうとしたら、二葉がみぞおちに肘をいれてきた。こいつピンポイントで肘いれてきたぞ、何者だよ。二葉と目が合い、口パクで"しゃべったらころす"と圧をかけてきた。なんかこいつ、律と同じにおいがするぞ。


「えぇと、部活内容は、学校内で困っている人に手をさしのべ手助け、助言する。という内容でいいんだな、上杉」


俺も初耳です、先生。


「...はい」


俺はうなずくしかなかった。


「よし、申請書に特に問題はない。これから頑張りたまえ。」


そういい水原先生は肩に手をおいた。

その肩にかかる重さは今までに味わったことのない重さだった。

職員室のドアを閉めたあとすかさず白鷺姉妹に質問する。


「おい、あれはなんだ!何も聞いてないぞ、説明してくれ」


「学生なんてみんな悩みの1つや2つ持っているものでしょう?私たちはその悩みを解決させたい。でも人数不足だからあなたを入れたの」


「そうそう!お姉ちゃん私だけだとつまら...人数がたりないから部としても申請の許可がでないんだよ!」


いま二葉のやつ、つまらないとか言おうとしてたろ。つまり結局は暇潰しのために部を設立し、俺はその人数合わせってわけか。


「はぁぁ、わかったよ、それで?部活は何曜日に活動するの?」


「あらたなにいってんの?そんなの毎日に決まってるじゃん!」


二葉は当然のように答える。しかもいきなり名前呼びかよ。まぁいいけど。


「最後に見間違いじゃなければ、俺部長ってかいてあったんだけど...」


そう。これもよくわからなかった。なぜ俺が部長なのか。おそらくこの二人は何か考えがあってのことだからだろう。とりあえずそれが気になっていた。


二人は目を合わせ、


「なんとなくかしら」

「なんとなく」


「...そうか」


そう答えたのだった。

勘弁してくれ。俺はそう思いながら二人に背を向けるのだった。




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