第6話 エンカウント③

昼休み、俺はいつものように学食へいこうと財布をカバンの中を確認し取り出そうとする。


(あっ、)


そう、カバンの中には土曜日に買ったアレが入ったままだった。いつも置き勉をしているので、カバンの中を見るのは必然と昼休みになるまで開けないのだ。一瞬だったのでバレてはいないだろう。今日は極力開けるのを控えよう。

財布を取り出し俺は昼食とりに学食へ向かう。


「はぁ~~」


欠伸をし校庭を見渡すと暗くなっていた。どうやら午後の授業で力尽きてしまったようだ。

帰る支度をしようと立ち上がり教室を出ようとしたとき誰かとぶつかり、しりもちをついた。


「うっ...いてて...すみません、大丈夫ですか?」


そこには白鷺姉が同じく転んでいた。


「大丈夫です。こちらの不注意です。お怪我...は...」


と何かに気づいたように視線がある方向で止まっていた。

俺もその方向に視線を向けると、そこにはカバンからむき出しになっていた例のモノが落ちていた。


(あぁぁぁぁ、なんで出てきてんだよ!)


焦って言い分けをしようと彼女の方を向くと何故か誰かと電話している。


「もしもし、警察ですか?公然わいせつです。」


「ちょ、ちょっと待って、違うんだよ、これは...そう!友達から借りたやつだから!」


しかし弁明するところはそこではないと、言ってから気づいた。焦っている俺に彼女は、冗談です、と携帯をしまう。


「あなたは確か隣の席の...高杉君だったかしら」


「はい、高杉 新です。えぇと...」


彼女は暫く俺を見ていると漫画でもあるようなニヤリというような口元をしていた。あぁ、これ、なんかヤバいやつだ。


「あなた、今日から私たちのになりなさい。もちろん拒否権はないわ」


「......」


は?今なんていった?犬?耳を疑った俺は聞き返す。


「犬...ですか?」


「そう、あなたは今日から私たちの下僕になってもらうわ」


笑顔でそんな事を言ってくる。


「嫌だよ!なんで下僕にならなきゃいけないんだよ」


興奮のあまり敬語でなくなってしまった。この際そんな事はどうでもいい。何故俺が白鷺姉妹の下僕にならなきゃいけないんだよ。


「あら、あなたそんなこといってもいいのかしら。まぁいいわ、理由は単純、退屈だからよ。あなただってそう思うでしょう?それにこれ、皆には内緒にしているんじゃない?」


それを掲げながら言う。


「もう、わかるわよね?貴方には拒否権はないわ、私たちのになりなさい」


「......」


少し考えてみよう。おそらく拒否すればばらされるだろう。学校での俺の人権が無くなってしまうのではないか。とりあえずこの学校にいる間、大人しく従っとけば被害は最小限に抑えられる。


「はぁ~、わかったよ。犬にでもなんでもなってやる。その代わり皆にはそれ、言わないでくれ」


俺は苦渋の決断の末、そう答えた。


「もちろん 。あ、でも二葉にはもう伝えてあるから。それではこれからよろしくね、あらた君」


そういい一葉は教室をでていく。

いつの間に連絡とってたんだよ。

それにあいつ、性格全然違うじゃん。誰だよクール系とか言ったやつ...


(にしても、どうしてこうなった...あいつが何を考えてるのかよくわからん...)


そんなことを考えながら教室をでた。














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