-詩菟- 鐵弓の吟遊詩人

天鼠蛭姫

-詩菟- 鐵弓の吟遊詩人 序章 菟の詠い手

-- 巡り出会う商い人の馬車に雨が当たりて風が舞う。得る物は小さな金と成り

失う大きな金と成り

街に辿りて出会うは人の懐の金と情け。

暖を取る宿でにて仕入れの品に惚れても財布の口は開けてはならず。

巡る出会いに感謝して、それに免じて財を注ぎて又巡る旅と成す

ああ・・行く時、人と巡る財こそ、我ら商い人の夢と誉れ。今日も巡りて商馬車 --


グランデリル大公街までもう一日と言う丘に甘く、それでいて力のある凜とした声が響き渡る。

僕は数週間一緒に旅をした商い人連馬車隊の人達にお礼の詩を詠っていた。

歌詞の内容はともあれ商人の間では人気の流行歌だ。

お里を出てからまだ日が浅いし仲間以外の人達の前でこうやって詠うのは

未だ少し気恥ずかしいけども。吟遊詩人だからそれらしく胸を張って堂々と詠ったつもりだ。


「いやぁ〜さすが詩菟族の吟遊詩人様ですな。その声の甘さはまるで天女の

で御座います」

太った商人隊長の言葉が届くと堰を切ったように商人達が喝采の拍手を

送ってくれる

中には此処にたどり付くまでの旅の辛さを思い出しうっすら涙を浮かべる者

さえいた。


僕は何とか旨く詠えた事にほっとして弓琴を片手に持ち詩菟族特有の身のこなしで

深々と一礼する。女の子でもないのに民族衣装の裾を持ち二回体をクルッと回してから

頭を下げる。この独特の詩礼の仕方は観客に取っては可愛らしく見える物らしいが

でも僕としては気恥ずかさで胸が一杯になる。言わずもがな僕は雄だからである。

一族の最初の詠い手としてこの詩礼の仕方を思い付いたのは僕と同じ雄だったと言うから

そいつはきっと女装趣味の持ち主に違いない。

臆面もなくこの詩礼をするのはかなり恥ずかしい。顔が少し紅く染まる。

きゃっ。可愛い。何処からか女性の声があがる。

尚更僕の顔は紅く染まった。


「うむ。仕草一つも可憐な吟遊詩人様で御座いますな。夜伽の機会でもあればと

企んでおりましたが。商女神様は巡りを施してはくれなかったようです。

さて・・今回の護衛の代金をお支払いせねばですな。オイ、持ってきておくれ」

太った商隊長は別れを惜しんでるようだけどもやっぱり下心もあったらしい。

詩菟族は小柄で見た目だけでなく雄であっても雌と同じような華奢な体つきとなる

つまりは幼いように見られ夜伽の対象には持ってこいと言う訳だ

そっち系の趣味趣向の持ち主であれば。だからこそ夜の間は人目に付かないように

駝鳥馬の厩場でこっそりと眠るようにした。用心にこしたことないし

どうやらそれは正解だったらしい。


詩菟族は華奢な外見とは違い実は狩猟民族だ。弓と疾い脚を使い獲物を追う

それを活かしてこういう商馬車隊の護衛なんかも時々こなしている。


隊長の命令に呼応して大馬車の一つからそれは運ばれてきた。

ちゃんと言えば黒皮の民族衣装に身を包んだハルキズ族の女性だ。

「これは・・大きな金っ」

「そうなりますね。魔性の蛇金という奴です。何まぁ〜今回の仕事は

中々長い旅路でした。その分お代も高くなって当然となりますが

何せ私達はこれから大街で商いを行わなくてはなりませんのでね

小さい金は出来るだけ手元に残しておきたいのですよ

ですから吟遊詩人様には大きい金での支払いとなります。」

といかにも商い人らしい口調でしっかりと言ってくる


あまりに意外な出来事に長くはない耳をピンっと直立させている僕の前で

背の低い丁稚の少年が手を伸ばしハルキズ族の首当たりにある黒水晶を押した。


シュルっと音を立ててハルキズの女性の顔の拘束具が外れる。

二、三度細い首を揺らして拘束具に納められていた長い髪を揺りほどくと

彼女は顔を巡らし自分の新しい持ち主を探した。

しかし目の前にいるのはなんとも頼りない可愛い顔できょとんとしてる

幼顔の詩菟族吟遊詩人だけだった。

年の頃といえば未だ幼雄。但しきちんとしたいでたちから察すれば

一族の成人の儀は済んでいるのだろう。それでもまだ十分に育ってる体には見えない。

つまりは幼成人と言う当たりだ


ハルキズ族の女性は緩やかな長い髪と豊満な腰を揺らし僕のほうに

近づいてきた。

黒革の控訴具に後ろ手に拘束されているのにも関わらずその動きは妖艶なものとなる

すっかりその雰囲気に呑まれている僕の目の前に来るとゆっくりと腰を折り

美しい顔を目の前に持ってくると。少し厚い唇から長い舌を伸ばし

僕の頬をレロっと舐める。少しザラっとした、それでも甘い感触が僕の頬に残る


「随分、お若いお方だこと。フフ。美味しそうで御座いますね。・・若旦那様」

そう言って妖しくもう一度頬を舐める。「ヒャっ」と思わず声がでてしまう

声どころか体まで震わせてしまったので回りの女商人から、可愛い。と歓声が上がる

僕は更に恥ずかしくなって顔を真っ赤にしてしまう。


「おお。いい顔を成されますな。夜伽が出来なかったのが至極残念ですな。

しかし、大きな金の方も気に入ったようです。オイ。袋に詰めて差し上げろ。」


恥ずかしさにどうしたらいいか解らずもじもじとしてる僕をよそ目に

ハルキズ族の女性を大きな布袋に詰めこんで僕の駝鳥馬に括り付ける丁稚達

それが終わると直ぐに、またどこかで巡り合いましょう。

その時は是非夜伽のお相手をと下劣に微笑み商隊長とその一行は

グランデリル大公街へと向かっていった。

小さめな駝鳥馬にやたら大きな布袋を積んだ吟遊詩人の少年を置き去りにして。


グランデリル大公街大街への街道を他の旅馬車に紛れて僕は駝鳥馬の歩を進めてる。

もっとも詩菟族の体に合わせた駝鳥馬なのでちょっとよたよたしてるかも

僕は大街に入るために身の印書を鞄から出して確認する


種族・亜人種 詩菟族 雄 成人(なり立て)

小柄な体に美麗な声を持ち詩をこよなく愛す。

戦いをあまり好まないが時に弓とその脚の力を駆使して戦いに挑む

それは決して侮れない戦いとなる


名前・オチュル・オイノス・ボグ

ひ弱な詠う菟と言う意味になる。なぜ族長がこの名前を選んだのか

いつかきっちりと問い詰めやると心に決めている。

この名前のおかげで同年の仲間には散々虐められてきた。

成人して直ぐにお里を飛び出して吟遊詩人になったのも

これが原因となっている。

だからあまり知らない人以外にはこの名を告げたくない。

顔付きや体も幼く見られるのに名前までひ弱とかなったら

ゴツい体だけが取り柄の冒険者の餌食の的になる。

男に限らず女性だって時に好気の目線を僕に向けてくる。

気をつけないと、あっという間に貞操を奪われてしまう

最悪の場合娼館に売られ人気の商品となってしまうかも知れない。


・・貞操と言えばもう一つ厄介事が増えてしまった。

僕の不安を察したのか駝鳥馬の荷台に括り付けられた麻袋の口から

ニョロっと紅い舌が伸びる。

それは思ったより長く伸び何かを探すように蠢くと僕の腰に付いていた水入袋に辿り付き器用に動いて袋ごと麻袋の中に持って行ってしまった。

喉が渇いたんだろうなと思ったけど。やっぱり戸惑いは隠せない。

それに道すがらにすれ違う旅人も好気の目を投げてくる

まぁそうなるよねぇ〜〜と僕は納得して頭を掻いた。


ハルキズ族。彼らはすごく独特の思想と価値観を持つ亜人種族だ。

精霊分類的にボク等詩菟族も同じ亜人種族となるけども

彼らとは生態も習慣も信じる宗教。思想さえも大きく違っている。


彼女等は独特過ぎるのだ。

種族の本能として求めるのは快感と悦楽となる。

自分の体にもたらされる苦痛さえ快楽と考える。

常にそれを求めるあまり黒革の拘束具をその身に纏い常に体をきつい

圧迫感を感じている

世に言う拷問に近い物さえ快楽と褒美と捉えていると聞く

快感と悦楽を自分に与えてくれる者に仕える事を至極の悦びともしている。

誰かに所有され隷属し快感のみを求め続ける種族だ。


もう一つ僕の理解の範疇を遙かに越えた種族的な思想もある

ハルキズ族は自分達の体を通貨と捉えている。

それは自分の体を通貨として商品と同じように扱われる事を美徳と

考えているのだ。

この辺の考え方は大陸でも中々理解されないようではあるが

逆に一部の地方では法律によりハンギス族の体はそれ相当の大金貨と

同じ価値があるときちんと定められている。それは大きい金と呼ばれ、

金貨や銀貨などが小さい金と

呼ばれている。それ等の地方ではハンギス族の女性は大金貨3枚以上の価値があると保証されている。

実際にそれらの基準によって高価な壺とかと交換される事もある


あっと気が付き後ろ手をのばし麻布袋を揺らして聞いた。

「えっと。お名前は?」と聞いたのに帰って来たのは小さな喘ぎだった。

「だからお名前はなんと言うのですか?お姉さん?」と、もう一度揺する

手の平にムニュとした感覚が広がる。

「まだ、幼いお顔してらっしゃるのに。初めてのお触りが私の胸で御座いますか?

中々大胆で御座います事。若旦那様」意地悪な透き通った声が返ってくる。

慌てて、手を放す。適当に手を伸ばしたのが失敗だ。

うかつに手を伸ばしたのを僕は強く後悔する羽目になった。


「アデーレと申します。若旦那様。中々素敵なお触りでした。

もう少し楽しみとう御座います。とは言えまだ日も高い頃合いですね

夜の楽しみとしておきましょう」

ゲホゲホと僕が咳き込むとアデーレと名乗ったハルキズ族の女性はククッと笑い返してきた。


「失敗したなぁ〜」アデーレには聞こえないように口の中でくもぐもと言う

ちゃんと断れば良かった。小さい金で支払って下さいと言えば良かった。

それでも突然大きな金。しかも綺麗な女性を目の前にして言葉を失った自分も

悪い。優柔不断というかちょっと気弱な自分の性格をも軽く呪った。


大きな金・・ハルキズ族の扱いは難しいんだ。

それを僕は思い出した。

彼女等の習性は癖がある。それには二種類あるんだよな。確か・・。

僕は主人と明らかに重い荷物をつまれヨタヨタと歩く駝鳥馬の上でしばし思いにふける。


ハルキズ族の習性と思想。それは通貨と隷属と言う物だ。

通貨としての彼らは持ち主に所有された存在となる。

彼らに所有される間は一時的にではあるが持ち主の物となり仕える

基本的にその命令に準じ逆らうことはしない。

言うなれば愛玩者となりそれも拒むことはない

雑に扱ったり物としても扱うことも許しており自らもそれを求める傾向さえある

通貨である以上自分を所有する持ち主も度々変わることになるし

その度に持ち主の好みも変わる。

だから新しい持ち主は自分の好みを教える必要が出てくる

それは躾けと呼ばれる物であり当然彼女等自身も必要としてる。


次は隷属となる。

これは長い間一人の主人に仕えると言う事だ

つまり主人に彼女等自身が身を捧げても構わないと惚れ込んだ時に

自ら望み隷属の許可を主人にねだる。

主人が許可をすれば頸輪を付けてやり隷属関係が成立する

これはハルキズ族に取っての結婚を意味する。


問題は通貨の持ち主としても隷属の主人としても

その愛情とか快楽とか躾とか十分に与えきれることが出来ない場合だ

これは持ち主もしくは主人に取って己の死に直結する事になるのだ。

ハルキズ族はその生態が変わっているのは承知の事実だが

軟弱で弱い種族ではない。

柔らかな髪と美麗な顔、強いては細身で豊満な胸と腰つきをしているが

最大の特徴はとても長い舌を持つ。

そのうねうねとした艶めかしい舌奥に非常に強い毒針を持っている

鋭い毒針から放たれる毒は他の人種には致命的な苦しみと死をもたらす

10の夜の間血と汗を体から流し10の朝の間のたうち回り11の夜に

その毒は脊髄の筋肉を縮め体を逆に折り曲げて絶命する。

これこそがハルキズ族の毒針だ。

しかも今だに解毒薬や治療方は見つかってないと言われている

つまり彼女等の欲しい物を与え続けることが出来なければ

持ち主や隷属主にその死は直ぐに訪れる事となる


僕には無理だよなぁ〜そんな事出来るはずもないしぃ〜

こまったなぁ〜と街道の地面ばかり見てぼやいてると

「若旦那様?私お腹が空きましたで御座います。そろそろ陽も落ちる頃ですし

そろそろどこかで天幕でも張ったらいかがでしょう?」

「ああ、そんな時間なんだね。じゃそうしようかなぁ」と頷いたけど

はたと気が付いて少し僕はムッとした。

そろそろ頃合いなのはわかるけどなんで僕の所有物のくせに

お腹が空いたから天幕張れとか軽く命令してくるわけ?

むぐぐ・・・。そこでもう一つ思い出した。


大きな金を持つには小さい金をよく使うという格言だ

これは大きな金としてのハンギズ族の手入れと世話の事を言う

ハルキズの女性の通貨価値の最低金額は決まっている。

但しその女性の美しさや肌の艶や質とか体調とかを吟味してお国の公式機関隷属銀行が

価値を査定して決める。つまり肌や体調などによって通貨としての価値が変動するのだ。

その価値を維持する為に常にいろいろな手入れを行う事になる。

大体は大きな街にある専用の隷属宿とか市場でそれ等は行われる。

また普段から彼女等の世話を日常的におこなう職業もある。

状況によってそれらを雇うことが出来ない場合はそれは当然持ち主の仕事なる

この場合は彼女の世話をする事になるのは必然的に持ち主の僕の義務となる。

女性と言えばお里の妹とか幼なじみとしか接した事のない僕には

アデーレの世話とか無理すぎるってば。絶対にぃ。


兎に角適当な場所を見つけ駝鳥馬からアデーレを下ろして休ませる

幾ら物扱いに慣れているとはいえあまり長い時間そうしているのもよくないだろうしね

その後鞄から魔法箱を取りだし中から天幕一式を封印した結晶印紙を取り出す

両手で印を結ぶとそれは大地の上に展開され今宵一晩の仮宿が出来上がる

アデーレに中で休むように言うと外でも私はかまいませんのよと言い

その次には夜伽の為ですねと妖艶に口走る。

「そうじゃないってば。夜は寒いしこれから料理するんだし体冷えると僕がこまるの」と言えば

「お優しいですね。若旦那。夜伽も楽しみにしてるくせにぃ」と妖艶に微笑む。

そういうのは良いから。まだ僕に早いし。アデーレの事もよく知らないし

と誤魔化して食事の支度をする。


吟遊詩人として旅をする以上自分の食事は自分で賄うのややっぱり基本。

蛇肉と野菜を煮込んだスープだけども二人分だと加減が難しい。

これは慣れないといけないなぁと思いつつアデーレに器を差し出してから

それがまたもや失敗だと気が付く。

「食べさせて下さいまし。若旦那」と当たり前のごとく言い放つアデーレ。

「え?それって僕が?」と目を丸くする

「此処にいるのは若旦那様と私だけでどざいますよ。それに私は後ろ手に拘束されてますの若旦那様が食べさてくれなれば私飢え死にしてしまいます。」

うららかな瞳で真っ直ぐ見つめられては気弱な僕としてはあがらうこと事な

ど出来ない。

仕方なくおずおずととスプーンを口にはこんであげようとすると間髪入れず

「ちゃんとフゥフゥしてください。熱いのは苦手で御座います」と

綺麗な目をつり上げて文句さえ言ってくる。どんだけ上から目線だんだよ。

立場が逆じゃないかぁ〜

美しい過ぎる女性の口に毎回フゥフゥしてスプーンを運んであげる

この純粋な詩菟の雄の身にもなってください。恥ずかし過ぎるでしょうに。


アデーレは蛇肉いりのスープをきっちり3杯もおかわりした。

前の主人は私達の手入れが雑だったし食事も貧相で困り申したの。

若旦那様は優しいお方で嬉しゅう御座いますと言ってくれるのは嬉しいけど

毎回3杯もおかわりされるなら食費がかさむかも?そっちのほうが僕は心配になる


アデーレの食事が終わると今度は僕の番となる。

何気に順番が逆の気もするんだけども。

兎に角僕が食事を始めるとアデーレは胡座をかいた僕の太股に頭を乗せて

すぅ〜すぅ〜と寝息を立て始めた。

おのれぇ〜この通貨は食事を与えてもらったら

今度は勝手に主人の太股を枕にして一眠りするとかどういう神経してるんだよ

まったくぅ。綺麗なお顔にスープがこぼれないように気を付けなら好物の蛇肉を頬張った。


食事が終わったけどの僕の太股にはアデーレが頭を置いてるからうかつには

動けない。自分のお腹も膨らんだのもあり僕は少しうとうととしてしまう。


何となく体に圧迫感ある。ちょっと嫌な予感がして目をあけると

直ぐそこに美しいアデーレの顔がある。その唇から少しだ舌を出し

僕の頬をベロっと舐める。「若旦那様。夜伽のお時間ですよ。さっ。存分に」

「いや。いいからそういうの。ちょっと落ち着こうよ。アデーレ ねっねっ」

状況は圧倒的に僕が不利。何せアデーレは僕の体より色々大きい。

それに女性らしいふくよかな体を武器にして僕に覆い被っている。

両手は拘束されているのにそんな事お構いなしに体を押しつけてくる


「若旦那様。恥じらうとか我慢しなくていいので御座いますよ。

私はの今の持ち主は貴方様なのですよ。此処は遠慮とかしなくて良いのですよ。さぁ〜〜ご存分にお楽しみを」

アデーレは更に体を僕の上でくねらせ色々な大人の刺激を与えてくる。


「イヤイヤ。そう言うのなし。夜伽とか当分なしで。ね。そうしようね。

アデーレ」

「それはお体に悪いですよ。大事なお体なのですよ。私の物なのですよ。

つまらないですよ。夜伽がないと。私悲しゅう御座います。若旦那様。」


「いや、ほらだからね。未だ良くお互いの事知らないしさ。こういうのはね」

「そう言うことは若旦那様のお体に聞けば解ります。体で語り合えば宜しいのです

ノソノソと僕の上で更に体を動かしいろいろな刺激を与えてくるアデーレ


「あ。そうだ。ほらこうしよう!街、大街に着いたらお風呂とかははいって

もっとちゃんと手入れとかしてゆっくりしてからにしよ。ねっねっ。

アデーレそうしようよ」すこし大きな声で言ったのが功を奏したのだろうか

「若旦那様がそう仰るならぁ〜。しょうがないですね。

でも今日はこうやって寝ますからね」

「う、うん。それくらいなら。しょうがないかな。」

アデーレはぶつくさと口の中で軽く呪詛もで呟くように何かブツブツいいながら

体を横にずらしてくれた。


兎に角、何とか誤魔化せたと思いつつアデーレと一緒に毛布に包まる。

アデーレは器用に脚でグイと僕の体を引き寄せ長い舌でベロっと頬を

舐めてくる。

そして長い睫の瞳をゆっくり閉じるとやがて寝息を立てはじめる。


僕は美しい女性が持つ豊かな胸を背中に押しつけられ更には逃げられないように

強い脚でがっちり体を固定さている状態で色々悶々として

西の地で最近行われているという戦詩事を頭の中で出来るだけゆっくり噛みしめて

詠う事に集中する事にした。


それでも僕の体は長い間疼きが収まることはなかった。

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