第2話 織畑栖衣
「お待ちしておりました。
呼び鈴を押すと、赤いドレスに身を包んだ綺麗な女性が予定調和のように出て来て、私達を館の中へと誘った。
彼女は織畑教志郎の長女・
楓の事も含めて、すんなりと受け入れてくれたのだ。
「事故現場をまずは見ますか? それとも、織畑教志郎のこれまでの奇跡を綴った映像を鑑賞しますか?」
つい先日、織畑教志郎の転落死事故が起こったような口ぶりに私は違和感を覚えるも、楓は何も感じていないようで、
「奇跡なんてどうでもいいから、事故当日の映像があるなら見てみたい」
織畑栖衣は嫌な顔一つせずに『こちらへ』と言って、一階の大型のモニターだけではなく座席まである小劇場のような部屋へと案内した。
「検証のために用意していますので」
私は端っこの方の席に座ると、楓は些細な事さえ見逃すまいという心意気なのか、モニターの真ん前に陣取った。
「今回見ていただく映像は、とある記者から提供してもらったものを四十分に短縮したものです。他にも同様の映像が七点ほど存在します。私と兄とで全ての映像を確認しており、音声、音、経過など、どの映像も視点の違いはあれど差異はありません」
「これを見れば、他を見る必要はないって事?」
「はい」
「なら、始めてよ」
楓は座席にふんぞり返るように座ってそう促した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます