第2話 未確認飛行しない物体

役所のバックヤードに入ったことがある人は結構いると思う。

掃除のおばちゃんにヤクルトのお姉さん。保険会社の営業員。システム担当。地域住民の方々。


私も今日、とある役所の内部を通る機会がありました。

そこの廊下で目にしたのは、廃棄予定なのか、書庫に移動する途中なのか、段ボール箱が2箱。

外側には大きく書いてありました。


「UFO関係書類 環境安全課」


ええと。なんだろう。


つっこみどころはどこだ。

つっこむところが多すぎて、しばしフリーズしてしまった。


ます、「UFO関係」について、わざわざ役所が業務として取り扱うなんていうことがありえるのだろうか。

私は、私が住む自治体がそんなことを業務にしていると知ったら、「そんなことはしなくていいから仕事しろ」といいたい。そんなことのために払う税金はない。


ああ、そういえば、石川県羽咋市では、市を挙げて「UFOのまち」とかPRしているんだったか。

いや、しかし、ここは羽咋市ではない。

ここの自治体でのUFOの目撃談なんて、聞いたこともない。

だけど、私が知らないだけで実は有名なUFOスポットなのかもしれない。


それにしても、なぜ環境安全課。

UFOが有名だとするなら、観光課あたりが妥当ではないのか。

確か、環境安全課とは、猫の死骸が道路にあるという苦情が市民から来たら回収に行くような業務を行っている課ではなかったろうか。それで、猫の死骸を冷凍保存しておいて、数がたまったら業者にひきとってもらうという、夏場はなかなかに過酷なお仕事だ、と聞いたような気がする。

違ったかもしれない。私は、記憶に自信がないほうだ。


おや。まさか、UFOの目撃談と猫の死骸との間に何らかの関連性があるのだろうか。UFOの目撃情報の直後に猟奇的な猫の死骸が多数発生するとか。

なるほど。住民の環境と安全を守るためなら、確かに環境安全課で取り扱うべきかもしれない。


と、無理やり自分を納得させてみたものの、やはり無理がありすぎる気がする。

「UFO関連書類」とはどういったもので、なぜ役所のしかも環境安全課で取り扱われているのか・・・中の人ではないので、真相は闇の中。飛行はしないけど未確認。

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ふしぎの村長さん @hirosawayuki

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