彼女がギロチンに掛けられるまで⑨

 本物の美少女と出会ったことがある。

 まだ私が美少女な頃、たくさんの美少女たちが集められた場所で、私は彼女と出会った。

 その子は実のところそれほど綺麗でも無かったし、端正でもなかったし、完璧には程遠かった。左右の目の大きさがちょっと違っていたし、鼻の形が悪かったし、眉もちょっと太めだった。顔のパーツの一つ一つを取ってみれば、きっと私や他の「そこそこの美少女」の方がずっと美少女だった。

 でも。

 その子が笑った瞬間、世界が変わった。

 本気でそう錯覚した。

 たぶん、その場にいた全員がそう思った。

 そのちょっと違う左右の目が、そのちょっとぺちゃっ、とした鼻が、少し太めな眉が――彼女の表情を変える度に、信じがたい相互作用によってその顔に魅力を与えていた。身体に電撃が走るくらいの笑顔を、思わず抱き締めたくなるくらいの泣き顔を、世界を祝福するくらいに楽しげな顔を、彼女の表情は形作っていた。

 恐ろしいことに、今でもその笑みを思い出せる。

 当時の私みたいな「わー、綺麗ー」と言われて三秒で「どんな顔だっけ」となるような「そこそこの美少女」とはまるで違う、彼女しか浮かべることができない、そんな、心の奥に突き刺さって、離れなくなるような笑み。

 本当の、正真正銘の美少女とは、ああいう人間を指すのだと思った。

 完璧な美少女よりも遥かにずっとずっと希有で、そして強烈に誰かを引きつける――そんな美少女。

 私は、その子に聞いたのだ。

 どうして貴方はこの仕事を始めたの、と。

 んー、と彼女は何やら悩み、悩み、さらに悩んでからこう言った。


「きらきらが欲しくて」


 意味がわからなかった。

 きらきら、とは何かと尋ねると、彼女はこう言った。


「きらきらはきらきらだよー」


 意味はわからないが、あれだろう。たぶん人気とかそういうものだろう、と私は理解することにした。そうでなければ正気が保たない。

 それならば、きっと彼女は「きらきら」することだろう。この場にいる人間なら誰にでもわかる。彼女は、きっとこの先、もっと上に行く。きっと、この国の誰もが彼女を知るようになる。

 貴方はいいね、とそのときの私は思わず嫌味を言った。でもいつまでも続けられるような仕事じゃないよ、とさらに続けた。

 何て嫌な奴だったんだろう、と思う。

 でも、そんな私に対して、その子は頷いた。


「そうだね。でも、私にできるのはこれだけなんだ」


 特に怒るでもなくて、何てこと無い顔で。

 そんなの当然だろう、という顔で言った。


「きらきらし続けることはできないの。どんなな人でも、みんないつか、きらきらじゃなくなるの。絶対に」


 意味はやっぱり、わからなかった。

 それでもいいの、と彼女は言った。


「それでも、私は、きらきらが欲しいの」


 それから、例の笑顔を浮かべて言った。


「それ以外は、何にも要らないの」


 私には、結局最後まで彼女の言っていることはよくわからなかった。彼女が当たり前のように見ているものが、たぶん、私には見えていなかった。私はそれを見ようともしていなかった。

 もうとっくに美少女ではなくなった中学生のある日、私はテレビでその子を見かけた。見かけたと思った半年後には、その子は国中の人間が知る女の子になっていて、さらにその一年後には国中の人間が彼女に恋していた。

 そして、その一年後に彼女は病気になって――半年後にはあっさりと死んでしまった。

 たったの三年で、彼女は伝説になった。

 悲しげなBGMと彼女の曲とで、何度も何度も繰り返しその死を悼む内容を告げるニュースを見ながら、私はぽかん、と口を開けていた。

 何だよそれ、と思った。

 彼女が言った「きらきら」以外は何も要らない、という言葉を思い出して――彼女はもしかして、本当にそれだけだったのかもしれない。それ以外は本当に何も要らなかったのかもしれない、と思った。

 馬鹿げた考えだと理性だの倫理だのがたしなめてきたが、どうしても、そうとしか思えなかった。


      □□□


 私は勇者一行と共にズ・ルー一派と戦いを繰り広げる傍ら、ルーズヴェルトことズ・ルーと協力して、第一国に潜む魔王軍を探すために見当違いの調査を続けた。

 それを隠れ蓑に、ズ・ルーを第一国から叩き出す準備を整えることが目的だったが、容易なことではなかった。何たって第一国の貴族連中は腐っており、王はその貴族連中のほぼ傀儡だ。そんな沈没寸前の船みたいだった第一国が今現在それなりの国としてやっていられるのは、ひとえにズ・ルーの奮闘のおかげだ。

 厄介なのは、ズ・ルーの奴が、改革者の振りをして実際には第一国の国家転覆を狙っていたとかじゃなくて、きちんと第一国の改革に取り組んできたことだ。もちろん、魔王軍の有利に働くように情報は流したりもしているわけだが、しかしそれはそれとして、ズ・ルーは今いなくなられると非常に困る重要な立場にいる。ぶっちゃけ、第一国の貴族で一番汗水垂らして働いているのはズ・ルーなのだ。代わりになれそうな奴は、今のところ、貴族の中にはいない。

 内部に入り込んできた敵が一番頑張っているような国は滅んでしまえばいい、と少し思わなくもないがそうもいかない。

 第一国は、第四国と並ぶ勇者一行の後ろ盾だ。滅んだりされると、勇者一行の立場が怪しくなって結構困る。まあ間違いなく、行動は著しく制限されるだろう。魔王軍との戦闘を行うために、いちいち所定の手続きを行い、上層部相手に説明をして、許可をもらって、とか長々とやっていたら、たぶんその間に魔王軍に攻め込まれて終わりだ。

 ついでに言うと、第七国にとっても第一国は自国の奴隷を大量に買っていってくれる良い金づるであったりする。いきなりいなくなられると割と結構困る。お前何やってんだこの間抜け、とあの悪逆非道な父に罵られギロチンに掛けられかねない。

 おそらくは、ここまで全て計算づくでズ・ルーは動いてきたに違いない。誰にも知られずに第一国の内部に潜り込み、万が一自身の正体が知られたとしても、決して手を出せない状態を作り出す――どうやら「謀略王」の名は伊達ではないらしい。

 こういう状況では、バットの奴に相談するわけにもいかない。殴って解決するわけにはいかない以上、今相談してもぶっちゃけ意味がない。それはもっと後の段階になるだろう。

 と、いうわけで、今現在。

 私は白馬に乗った王子様に誘拐されている。

 一応言っておくと、想定通りだ。

 中庭の辺りを、ぺたぺたぺたぺた、と二時間ほど歩き回ってようやく、白馬に乗った王子様とエンカウントした。


「見つけたぞ! 我と共に来るが良い!」


 という叫びと共に、私は首根っこを掴まれるという、いまいちロマンに欠ける方法で王子様に連れ去られた。

 端から見ると割と洒落にならない状況ではあるのだが、バットの奴と勇者には大丈夫だから、と説明しておいた。

 バットの奴は、


「ちょっと王子様に誘拐されてくんぜー」


 と私が言ったのに対して、


「は?」


 と「大丈夫かこいつ」的なニュアンスを込めた失礼極まりない顔でこちらを見てきたが、


「……まあ、お前の考えることだしな」


 と、ややあって肩を竦めてみせた。どうやらそれで納得してくれたらしかった。

 意外にも手間取ったのは、勇者の方だった。


「すみません勇者様。ちょっと第一国の王子様とお話をして参ります。少しばかり、手荒な形でのお話となりますけれど――でも、ご安心を。あの方はそれほど悪い方ではないと思いますので」


 と私が言ったのに対して、勇者は、


「え?」


 と、愕然とした表情でこちらを見て、


「お、お兄ちゃんはどうするんですか!?」


 などと私に詰め寄ってきた。


「えっと――バットさんには、私の方からきちんと説明をしましたので」


「説明!? お兄ちゃんに向かってその王子様のことを説明したと!?」


「え、えっと……はい」


「酷すぎます貴方には血も涙もないのですか悪女ですか!? お、お兄ちゃんは何と!?」


「私の考えだから、と」


「お兄ちゃんは優しすぎます! そんなんじゃ一生女の人に弄ばれ続けます! 私はそんなの許しません!」


 と泣かれ、さらにはそれが他の勇者一行にまで変な風に広まった結果、大混乱に陥って大変だった。

 どうやら、私と王子とが逢い引きするつもりだとかそういう風に勘違いされたらしい。まあ、確かに逢い引きみたいなものではあるからそれはわからないでもないが、ただ、そこにどうしてバットの奴が絡んでくるのかがよくわからなかった。私が知らないだけで、あいつはカップルを見ると殴りかかる呪いでも持っているのだろうか。

 まあ、そんなわけで。

 誘拐され、ぱっからぱっから、と運ばれた後でようやく降ろされた先は、鬱蒼と生い茂る森の中で、あーこれ確かに逢い引きっぽいよなー普通はこっからちょっとアレな展開に行くよなー、と私は思う。

 私をここまで連れてきたアホ面の王子様はというと、べちゃっ、と馬から降りるなり、アホ面のまま「ふむふむ! 誰もおらんな! おらんな!」と周囲と確認してから、


「――さて」


 と、一瞬で真顔になった。

 それと同時に、何と言うかこう、しゅっ、とした感じに彼はなる。なるほど、こうしてみると王子様らしく結構なイケメンだ。是非眼鏡を掛けてもらいたい。

 真っ当な王子様になった彼は、私に尋ねる。


「それでお前は――その、転生者なのか?」


「ええ」


 と私は頷き、それから尋ね返す。


「貴方もそうですね?」


「ああ、そうだ」


 と彼も一つ頷いて、けれども、それからちょっと自嘲じみた笑みを浮かべてきた。


「もっとも――お前や、あの『鬼人』みたいに立派な転生者とは違うがな」


「私も彼も、そこまで万能というわけではありませんよ――ただ、自分にできることをやっているだけです」


「それが出来ているなら、十分に立派さ――私は、それすら出来ていない。出来なかった、と言いたいところだが――言い訳だな」


「ルーズヴェルトのことは、ご存じで?」


「ああ、知ってる――俺のチートだが、お前、わかるか?」


「はい」


「……お前、息するみたいに嘘吐く女だな」


「ええ」


 と、私は内心の動揺を表には出さず、笑顔で頷きながらそこで初めて彼を「視る」。

 そして納得した。

 相手の嘘を判別する能力――それが、彼の持っているチートだ。なかなかに便利そうな能力ではある。

 ただし――


「嫌なチートだよ」


 と、彼は言う。


「人間なんてのは、多かれ少なかれ嘘を吐いて生きてるもんだからな――そういうのが全部浮き彫りになっちまったら――まあ、私のような人間不信者のできあがりだな」


「では、私のことも信じられませんか?」


「いや、信じるよ」


 と、王子様はあっさりと言う。


「お前の嘘は、すごく綺麗だ」


「綺麗? 嘘が?」


「ああ、そうだ――知ってるか? この世の中には、綺麗な嘘と醜い嘘があるんだ」


「……優しい嘘とか、そういう話ですか」


「いや、別にそういう良い話じゃなくて、もっと感覚的なもんだ。何て言うか――絵みたいな」


「絵」


「そう――お前は嘘ばかり吐く女だが、でも、それは意味のある嘘だろう? 必要だから、嘘を吐くわけだ」


「それはまあ、そうですが」


「普通の人間は違う。下手くそな嘘を吐いて、その嘘を隠すためにさらに下手くそな嘘を重ねて――気が付くと、嘘に埋もれて本当の自分がわからなくなってしまう。そういう嘘は、やはり醜いさ。そして、そんな醜い嘘に埋もれた人間が、世界には幾らでもいる――そしてお前は、それとは違う」


 王子様は私に告げる。


「――ルーズヴェルトの奴と、同じだ」


「貴方は」


 と、私は彼に尋ねる。


「この国の王になる覚悟がありますか?」


「それは、いつかの話か? それとも――今すぐに、か?」


「今すぐに」


「……自分にできることをやるだけ、か」


 王子様は、じ、としばし目を閉じて。

 それから、す、と開いた。


「共にズ・ルーを倒そう。王女殿下――後のことは、王子である私が何とかしよう」


「お願いします――とはいえ、さすがにまだ下準備が必要です。もう少々お時間を―ー」


 と、そこで。


「――みつけたぁっ!」


 背後で、めちゃくちゃ可愛い叫び声。

 私は振り返る。

 背後に、めちゃくちゃ可愛い女の子。


「もおっ、おーじさまったらまたひとにめーわくかけて! はんせーして! めっ!」


 えっ、と私は思った。

 誰だ、と私は思った。

 何で、と私は思った。


「あの、この子は――」


 私は、とっさに説明を求めようと王子様の方を見て、そして黙った。

 王子様はもう、真顔の、しゅっ、としたイケメンではなくなっていた。しかし、アホ面でもなかった。

 何て言うか、その、よくあるあれだ。

 トマトみたいに――顔を真っ赤にしていた。


「……ご」


 と、消え入りそうな声で王子様が言う。


「……ご、ごめん」


「そうじゃないでしょ! まずそのおねーさんにあやまらなきゃでしょ! ごめんなさいって!」


 ぷんすか、と。

 腕を組んで、全身で精一杯に怒りを表現する女の子の言葉を受けて。

 王子様は私に向かって、ぺこり、と頭を下げて言う。


「ご……ごめんなさい」


「…………」


 めっちゃ反応に困った。

 こんなの誰だって困るに決まってる。


「おねーさん。おねーさん」


 と私の服の袖を、くいくい、と引っ張って女の子が言う。


「おーじさまに、へんなことされた?」


「……いえ、別に」


 今さっき、反応に困ることはされたが。

 そして今現在も困惑している真っ最中だが。


「おーじさまは、へんなヒトだけれど、わるいヒトじゃないの――だから、ゆるしてあげてください」


「ええ、それは大丈夫ですけれど……えっと、その、貴方は?」


 そう尋ねると、女の子は顔を赤くして何やら、もじもじ、としながら言う。


「おーじさまの、みらいのおよめさんです」


「……ははあ」


「いまは、おーじさまに、きらわれてます」


「……そうなんですか」


「でも、いつか、ふりむかせてみせます」


「……そうなるといいですね」


「がんばります――では、わたしはならいごとがあるので、さきにかえります。おーじさま、つれてきたいじょーは、ちゃんとそのおねーさんをエスコートしてきてください。しんしのつとめですよ」


 と言うなり、その姿が消えた――ように見えた。視線を森の中へと向けると、ほとんど無音で木々の間を凄まじい速度で突っ切って去っていく女の子の姿――何となく「視て」みたところ、何かバットの奴に匹敵する身体能力を持っているように見えたが、きっと気のせいだろう。そう思いたい。


「さて――」


 一瞬で真顔になって、王子様が言う。


「――それでは、先程の話の続きを」


「すみません。今、それどころじゃないんで――あと、顔まだ赤いですよ」


「こ、これはその、アレだ。ご、ごほん! か、風邪を引いているだけで――」


「……えっと、あれですよね? 貴方、好きなんですよね? あの女の子のこと?」


「そ、そそそそそそんなわけないだろう! あ、あんな小さな女の子のことを好きだなんてそんなことあるわけ――」


「いや、まあ、この世界じゃ合法だと思いますし――恋愛に年齢なんて関係ないとも言いますし?」


「ち、違う! そういうんじゃない! 断じてそういうことじゃないぞ!」


「御託は聞き流すとして――えっと、あの子は誰なんです? どこの貴族の娘さんですか?」


「……大臣の孫娘だ」


「うわあ」


 あの大臣、腐ってやがるがやっぱ有能だ。

 孫娘を王子と結ばせておけば、この先、ルーズヴェルトが大臣の想定以上に第一国の実権を握り、その結果として他の貴族たちから露骨な掌返しをされた際、自分の身を守るための保険と成り得る――まあ、実際には、それ以外の理由もたぶんあるのだろうが。


「ええと、それで――どうするんです?」


「何がだ?」


「結婚してあげないんですか」


「え? いやだってほら、まだ子どもだし。もう少し、お互いにそういうことが分かるような年齢になってからでもいいかなー、と」


「『このへたれ』と言わせてもらっても?」


「やめろぉっ!」


 と叫ぶ王子様を見て、ふむ、と私はしばし思案した後で、告げる。


「……あのですね。王子様」


「な、何だ……これ以上、私をどうするつもりだ……?」


 と、何やら怯える王子様に、私はなるだけ優しい声で言う。


「――私が恋のお手伝い、しましょうか?」


 という私の言葉に、王子様は一秒、二秒、三秒、と沈黙した後で、


「……え?」


 と間の抜けた声を上げた。


      □□□


 後日。

 私は、勇者に聞いてみた。


「すみません勇者様。今度ちょっと、第一国の王都に一緒に来て欲しいんですが」


「……? どうしてまた?」


「デートスポットの下見に」


「やはり貴方、例の王子様と!?」


「いえ、そうではなく」


 また面倒なことになりそうな気配を感じたので、やばそうな情報はぼかしつつ、ちょっとした恋のキューピットをするのだ、ということを説明する。


「何だ……そういうことですか」


「ええ。それで、その下見なのですが――やっぱり、一人より二人で見て回った方が実際の状況に近くなって、いろいろと見えてくる点もあるのでは、と思って」


「成る程」


 と、勇者は一つ頷き。

 それから、なぜか他の仲間たちへ向けて、ぐるり、と視線を送った後、こちらへと顔を向け直して、


「……成る程」


 と、もう一度頷いた、直後。

 勇者は唐突にお腹を押さえ、何やら呻き声を上げ始める。


「ど、どうかしましたか?」


「痛いです」


「はい?」


「何かこう、いきなりお腹が痛くなってしまいました――ごめんなさい私は一緒には行けないのです」


「そ、そうですか」


 どう考えても仮病にしか見えなかったが、行きたくないというならまあ仕方がない。他を当たることにした。

 だが。


「あ、えっと……わ、私は教会にちょっと報告がありますので!」

「右に同じ」


 と、聖女と聖騎士にも断られ、


「ええと……その、私は、く、薬の調合をしないといけなくて……じゃなかったいけないでござるので! にんにん!」


 と、魔女にも断られ、


「申し訳ありません、アメリ王女殿下。其はその日、ちょっと所用がありましてな」


 と、騎士団長さんにも断られた。

 なので。

 残っているのは一人だけだった。


「……ん?」


 と、そいつは、いつも通りに馬の世話をしていた手を止めた。どうも話を聞いていなかったらしく、この場の全員から向けられている視線に気づいて、驚いたように人差し指を自分に向け、言った。


「……え、何だ? 俺?」


 勇者が聖女と聖騎士がござる魔女が騎士団長があと地味に馬の頭の上に座っていた例の触手な天使が――その言葉に対し、全員で一斉に頷き、がぶり、と馬がいきなりバットの奴の頭に齧り付いた。

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