まず驚いたのは、この書き手の方が紡ぐ言葉の綺麗さです。まるで詩文のような、美しい言葉を選ぶセンスに、同じ物書きとして嫉妬してしまいました。荒涼とした砂漠に立つ脊柱なる不気味な塔と、その周囲で蠢く機械と呼ばれるものたち。題材としては不気味で、比較的重いものであるにも関わらず、山野を緩やかに流れる川のごとく流麗な文章が読むスピードを落とさせません。ここまで綺麗、それでいて読みやすい文章を書く方は、非常に稀だと思います。是非とも、ご一読を。
小説を読んでいるというより、動画を観ているという感覚が近いと感じるほど、優れた文章技術。まるで、映画館でSF映画の冒頭シーンを観ているような、そんな気になった。