その4 セーラー服と機関銃

 「セーラー服と機関銃」1978年発表。長編としては六作目に当たる。

 赤川次郎の膨大な作品群の中でもおそらくトップの知名度を誇ると思われるタイトル。内容は知らなくてもタイトルと例のシーンだけは知っている人は多いだろうし、数限りなくパロディもされてきた。

 改めてストーリーを追うと、高校生の星泉(ほし・いずみ)は父親の死をきっかけに組員四人の暴力団目高組の組長になる羽目になる。それ以来泉の周囲では謎の事件や殺人がおこるのだった…というもの。ちなみにあの有名なシーンはちゃんと原作にも存在する(あのセリフは言ってないけど)。

 最初に読んでから二十数年ぶりに再読した際「え、こんなにミステリしてる話だっけ!?」と正直驚愕した。全体としては冒険サスペンスなのだけど、作中である女性が殺されるトリックの大胆さ(クリスティの「×××××××は×××」だ!)と犯人が判明する伏線の大胆さ。

 もちろんそこまで過度にミステリを期待するという作品でもないのだけど、ミステリとして語られることがほぼ無い作品なだけに、さりげなくだけどしっかりと挿入されたミステリには感心してしまった。作者の矜持が感じられる。

 ストーリーの面白さについては多く語ることもないほどさすがの一言。星泉の「細身の少女だが凄まじいほど芯がしっかりしている」造形は今数限りないフィクションの中に散見しているはず。

 星泉に似てるなあ、と思ったのは宮部みゆきの「霊験お初」や、「スレイヤーズ!」のリナ・インバースだった。赤川と宮部って対談とかしたことあるのだっけ、あるのならぜひ読んでみたい。

「セーラー服と機関銃」はミステリ要素もおろそかにはしてなかった、と言うのは強調しておきたい。

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