自己犠牲…?私はそう思ってなんかいないよ今もずっと。
┈+
キリンと一緒にセンの元住処に来て、
手掛かりと情報交換を終え別れる間際。
セグロジャッカルは思う、何でキリンはこんなにも
オオカミに尽くせるのか。
聞くことにしたんだ。
だって分からないんだものボクでは・・・。
「キリン、君はオオカミに辛く当たられたこともあるよね・・・!
なのに何でそんなに支えになろうとするの!?
キリンこそ辛いはずなのに」
すると、キリンは少し考えた素振りで言った。
自分に対して推理するような感覚だったのかな。
「んー・・・えっとね。
先生のしていることが、私にとって
ただ新発見ですごいと思ったからなの。
少なくともそこから4つくらいは得るものがあった。
それを教えてくれたオオカミ先生を、この先も活動して行けるように優しく支えてあげられればと思っているのよ」
・・・優しくって言ったね。じゃあさ─
「キリンの言う優しいってどういう意味なの?」
少しイジワルかもしれないけど重ねて聞く。
「そうね…。
きっと優しいって言うのは、大事なお方を
下から崩れないよう支える事を言うのよ!
そしてね、支えていて上から間違って踏まれても
大丈夫と笑っていられればそれでいい思うの!
あいにく、私はまだそれが出来ない。
けれど先生は好きだし笑っていて欲しいから
いつか出来るようになりたいの!」
驚いた、本当に優しいってそういうのかも。
けど痛いのに笑うって・・・
とても辛いんじゃないのかな。
「踏まれると痛いしきっと壊れちゃうよ・・・?
そんなのってやっぱ間違っている!」
「ふふ、ならばもっと丈夫になるだけ!
椅子でもソファでもクッションでも、下から強く支えられることを再現しているモノはいくらでもあるのよ」
・・・キリンは自分を悪い娘って言ってたけど、
ほんとにそうなのかな?
大体、悪くても別にいいはずなのに。
「でもクッションが一番かしら。
先生とぶつかることになったとしても上手く受け止められるわ─」
┈+
まさかキリンが、そんなこと言ってたのか。
私、タイリクオオカミは驚愕していた。
「もう一度言うけど、今ボクのことは重要じゃないんだよ」
セグロも何だか心配だけど、私があまりにも考え足らずだったことで動揺して頭が回らない。
やはり<好き>に集中しすぎていたのか・・・?
「何でかな・・・椅子、ソファに、クッションか・・・。
キリンはモノなんかじゃない、それに私は
間違っても踏むつもりなんて・・・なかったのに。
パートナーは上と下にも分かれないはずなのに・・・」
寝不足や時間がないとかで辛く当たった
ことだろう、踏むと言うのは。
自分の心を呪ってしまったかのよう・・・
「・・・少しじゃダメなの、分かったよね?」
もっとよく、向き合うべきだったこれは。
間に合ううちに。
「ああ。 セグロ…、いいかいセグロ。
間違いってね、他から言われるよりも自分で理解することがずーっと大事だってのが今分かった。
自分で十分理解して正さないといけない」
震えつつも言葉を絞り出す。
ちゃんと発せているかも本当は心配だ。
「そっか、分かってもらえてよかった─」
だがここで終わるのももちろん─・・・
「良くないよ次はキミだ、ほらこっちおいで。
キミも間違いなく間違っている部分がある。
それを私が分からせてあげるから話してもらう
何があったのか、ここからはそれが重要だ」
セグロを近くに招き、長い夜を過ごしてもらう・・・。
────
───
──
─.:*・゜
フィ──ン・・・
私はセン。目を輝かせる、例えではなく。
目の前には、細長い頭とそこから繋がるヒモのようなもので、でかい球を持ち上げるセルリアン。
私らをダブルスフィアと知っての存在でしょうかね。
「あのまん丸、ちょんギって横取りしちゃおっか」
オルマーも球体に反応を示している。
「アレを一員にでも?3つのダブルスフィア・・・
片腹あな痛し、ですね。」
・・・キリンがどうとか、依頼がどうとか行動がどうとか、一瞬だけどうでもよくなる。
モチーフのぶつかり合い、玉突き合戦ですよこれ。 猛って来ます。
「まぁね。ビィィープ!
センちゃんは、あのヒモみたいなの切れるか試して!
私があの球を、何なら息の根止めるから!」
「気をつけるのですよ、球はデカいので!」
─■
─ブゥゥーン・・・!!
早速スローだけど、振ってぶつけてくるね。
きちんと身構えて、鎧皮で止める!
それか弾いちゃう!?よし、こいやっ!
丶
─なっ!?
・・・何か悪寒、触っちゃいけない気がする!
うわだめ
─■
オルマーが避けた・・・!?何か感じたので─
...・
─!?これは、おっと!
勢いそのままにこちらへ球が飛んでくる。
こちらも跳ぼうとした格好だったが、顔面近くに飛んできた球を何とか後ろにのけ反ってひるがえす。
何故か、私の感覚が触るなって訴えていた。
オルマーも、これで怯んだ・・・?
球が右腕に少し掠った・・・が、野生解放していたので内部に取り込まれもせず異常はないよう。
ならば一度後ろへ─
─ガァン!!
ん!?
強烈な音がしたので横を見ると、崖にセルリアン球がぶつかっていた。
・・・確か鉄球クレーン車ってものによく似てるんでしたっけ?
ものにぶつけて壊すための。
つまり・・・!
─ドドドドドドゴ・・・!!
あらら、がけ崩れが起こるみたいですね。
けど好都合、上手く行けば周りのセルリアンもどうにか出来る。
問題は・・・
私が一番近い位置なんで逃げられない・・・
参ったことか。
足は遅いし、その分諦めもつきます・・・が。
ふぅ仕方ない、上等です。
大丈夫と言うのを行動で以て示すいい機会!
オルマーは何とか逃げてくれるでしょう。
しっかり丸まり・・・
ゴゴゴォゴゴ─・・・...
「・・・!センちゃ、センちゃーーーーん!!」
向こうからオルマーの声がする─
──ガァーンガラララァァァ・・・
─ ドドドドド─ゴォォォ・・・
っく、身体を岩が打つ。中々痛い、耳が遠い・・・
息も苦しい。苦しい・・・どうやら、埋もれたか。
私は、埋まったようですね・・・
.。.:・*:.。.
─感情すら、行動で示します。
─離れた場所で居を構えて・・・
─何処へでも伝わります。
─私たちのお話、きっと見せてくださいね。
変な事を思い出しますね、早く地上へ顔出さないと・・・!
でも何でだろう。
・・・ふふ、固定されてるみたいに上手く動けないかも。
優しい記憶が・・・走馬灯ってやつ?ふふ・・・
あぁ力が,,,
・・・・・・・・・
・・・・・・
・・・
─◆
私、アミメキリンよ。
何かを探すべく奔走してたんだけど、
雨の中で崖から転落しちゃったの。
その際に危機を感じて、私のサンドスターが
強い願いを叶える方へ働いたみたい。
聞くに、肉体を離れて殆どサンドスターのような状態らしい。遠くまで来た可能性がある・・・。
目覚めた時セルリアンに犯されていて、センとオルマーの二人組が助けてくれた。
数が多く一度退散する形になってしまったけど、
正しい選択だわね。
その際、セルリアンに記憶の一部を奪われていたみたい。
願いに沿って砂星がここまで導いたのなら、あの二人もきっと私と関係がある。
取り戻すためセンとオルマーの協力の下、私は逃げつつセルリアンを倒している。
きっと彼女らは後ろから来てくれる。
マフラーでべっちん! 脚でげっしん!
けど、私はふと思っていた。
私の身体は今どうしているのか・・・
ではなくそれよりも。
私には大切に思っている存在がいる。
オオカミ先生、アリツさん、さっきのセグロ。
センやオルマーも無事でいるか。
でも
見た感じ、砂星比率の高い私をただ取り込もうと下品に追いかけてくるだけ。
私と比べ、何だかセルリアンたちに憐れみのようなものを感じて・・・
逃げながら戦うのって果たして正しいのかと考えている。
姑息に逃げ回って処理するのって何か違うわね、やっぱり。
私の勝手だけど、直接ヤるのが礼儀だと思う!
見ると食器みたいな、ポットとかお皿?のセルリアンが浮遊して襲ってくる。
でもごめんね。私には思っている方たちがいるから!
マフラーで舐めて直々に処理する。
さっきも思ったけど、砂星比率が高いからか
マフラーが手足のように動かせるわね!?
出来るなら、今度は動物に当たるといいね
その生命・・・。
─◆
.。.:・*:.。.
──
───
おや ?
私はまだ生きていればセンのはず・・・。
もうダメな後 って、楽ちん になると思いましたが・・・
何故かまだ息が詰まるように 苦しい・・・!?
・・・
・・・・・・
「もはもは・・・!?ふあァ!?」
─ガバッ ゴォン!! あ痛ァン!?
苦しいのと同時に起き上が・・・れた!?
けどおでこを何かにぶつけた、少し痛い。
窒息しそうだったけど、思いの外怪我も浅く普通に動ける。
「あぁ、センちゃんが起きた!
よかったよぉぉ、けど痛いよぉ・・・」
目の前には安堵したのか脱力して、おでこを抑えているオルマー。
ん、して何故か口の中は・・・美味しい感覚?
ラムネ味をさらに美味しくしたような。
「オルマー、私の好きなの食べさせてくれたのですか?」
「あ・・・えと、朝のがまだあったんだ!
美味しかった?
それと大丈夫?動けそう??」
見ると、オルマーも多く傷を負っている。
背中が特に乱れた傷でいっぱい。
「貴方・・・!いや、貴方の方が大丈夫ですか!
何てこと、その様子だと逃げ切れなく・・・
違う、逃げなかったのですね・・・。」
「私が球を受け止めず避けちゃったのが原因だからね・・・助けに行っちゃった。
でも、本当に運がよかった。
崩れる中でセンちゃんを瓦礫から見つけて。
私丸まるの苦手だからお腹とかをセンちゃんでガードさせてもらった!」
つまり、がけ崩れに自分から突っ込んだのですか。何て娘・・・。
私は気づけませんでしたが、動けなかったのは二人で固まって丸まっていたからか・・・ふふ。
ダブルスフィアに相応しいかもしれませんね。
「それと心配しないでね!センちゃんより固いの自信あるんで、傷だらけに見えても大丈夫だから♪ 私も補給っと!」
はっ!ここで私は1つ忘れていたことを思い出す。
「オルマー!そういえばあの球下げセルリアンはどうしたんです!?
ホッとしててすっかり忘れていましたよ!」
「すごい呼び名だね・・・大丈夫、球が埋まって動けないみたい」
ギィィ─ギシギシン...!!
見ると、向こうには確かに頭から下げている球が埋まり身動きが取れないでいるセルリアン。
だが、動けないでいるだけでまだピンピンしている。
他のセルリアンは何体か埋まって砕けたよう。
なかなかラックが冴えていますね。
「アイツ、あのままになっても尖った4本の脚を的確にこっちに向けてきて1人じゃ倒せない・・・
と言うか怖くなって近づけないんだ。
しかも石が見えない、下半身に埋まってる可能性があるよ」
やはりか、オルマーもそうだということは。
「ヤツに攻撃されると・・・理由は不明ですが怯むんでしょう?
私もそうなりました。先にキリンを追いかけて、アイツは後にしましょう。」
私の予想では、誰かの性質を盗んだ、ないし再現した可能性がある。
後回しでも倒しておいたほうがいいでしょう。
あいにく、手も早さも足りないし羽も泳げもしない。
私らは堅い防御だけが取り柄の生き物。
けど、これがこの上なく役に立つ。
いいです?適材適所ってやつですよ。
全ての生き物がそう。
何度やっても出来ない事は素直に出来ないでいい。
それを否定したり、侮辱するってことは
全部を踏みつけるのと同じこと。
私ならそんな存在、絶対許しませんね。
「でも、せっかくだし私からお願いがあるんだ。
いい?」
「何です?」
オルマーから頼み事ですか・・・何でしょう。
「せっかくだから今一度だけでいい、
私をアルマーって呼んでくれないかな?」
何と。
「いや、だから私にとって貴方は─」
「また・・・?元種に戻りそうな思いしたのにな~」
うっ・・・オルマーが願う表情をしている。
こざかしい手法ですね全くっ。
こういう時だからこそ、自分で考えたものを口にして認めてほしいのかもしれない。
「ふぅふふ、仕方ないです。
ありがとうアルマー、貴方の鉄壁に助けられました。流石最愛のパートナー、居ないと今頃私はどうなっていたか。」
┈ぱぁぁっ!
オルマーの顔が明るくなって見える。眩しくすら・・・!
でも呼ぶのは今一度だけです。
・・・次はいつ呼ばせられることやら。
「やった、嬉しいな!それともう一ついい?
ラムネじゃぱりマン、美味しかった?」
「・・・? えぇ、とても。何かいつも以上に。
後ですね、朝にも食べてなかったらタダでは済んでなかったですきっと。
重ねてオル・・・アルマーには感謝してます。」
さっきも聞かれた気がしますが、まぁ。
あと、サービスですよ全く。
「そっか!重ね重ねよかったな~♪
私もすっごい美味しかった、また機会があったらねフッフ!」
そういえば・・・私は気を失っていたはず。
なのにオルマーはどうやって私にじゃぱりマンを食べさせたのでしょう。
後で考えるか・・・よいしょ、キリンのところへ行きましょう。
─ペロンペロン♪
二人で走っていくうち、一部追うのを止めたセルリアンが点在していたので叩いて処理していく。
キリンの記憶も大事ですからね。
幸いにも、がけ崩れに大多数巻き込めたお陰でキリンに敵があまり流れていなかったようです。
あの球ぶらセルリアンも、道を塞いでるような感じでしたし。
遅れをとった分、急いでキリンに追いつこうとするが・・・
おや、向かう先にフレンズの影・・・?
後光でシルエットになっております。いや・・・
「キリンですか。崖上へは行かなかったので?
周り見た感じだと、結構無理して片づけたようですね。」
「ごめんね、ちょっとこっちでも厄介なのがいて。
待たせるくらい遅れてたのかな?」
オルマーからもキリンに声をかける。
「・・・」
キリン?呼んでも何故か応答がない。
いや、どうやら向こうを向いていたよう。
こちらに向き直る彼女。だが─
「はは うっく ひっ・・・セン、オルマー・・・」
・・・何でしょう、キリンから変なものを感じる。
しゃっくり交じりに泣きながら笑っている・・・!?
例えるなら、この世で私ら2人しか見えていないような・・・。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます