ちゃんちゃらおかしい、けどいいじゃないですか。



────

───

──

─▲



 「私がキリンに甘えているってかい?」


「そうだよ、いつでも近くにいてくれるって思ってない?」


 セグロが、どうも私に突っかかってくるね。

 まぁ


「・・・思っているさ、パートナーなんだから。

持ちつ持たれつ、違うかい?私たちは*フレン*だ。

 これはね、2人以上を指す言葉なんだよ。

どうあろうとも、さよならさえ言わなければ

何度でも出会えて、一緒に居られると私は考えている」


その考えも含め、だから作家をやっているんだ。


「それって、雑な関わり方をしていても近くにいてくれるってふうにも聞こえる。

 少し乱暴じゃないかな?

余裕がないのは分かるけど、もっとキリンのことも考えてあげてよ!」


考えているさ・・・!

それでも自分の好きなことをやって、でもいろんな娘とも巡り会いたくて。

その中でも、強く影響を受けた娘にまた逢いたいと考えて。

 いつの間にかその考えが強くなっていて?


 ・・・自分勝手だったのか?私は。



 「ここまで、ボクもセンを探していた。

オオカミが思い続けることは間違っていないよ。

でも目標ばっかり考え・・・先だけ見てしまって

とも言うか。

 本当に何が大切なのかを忘れているんだよ。

 何だと思う?」



 忘れている・・・心の余裕がないからか

 考えてもいなかった。



 「優しくあることを、忘れていない?

オオカミも、フレンズが2人以上を指すなら

一人ぼっちがどのように痛いか分かっていて、

怖いから積極的でいるんでしょ?」


キリンに対し言いすぎたけど謝れなかった時、

ありがとうが言えなかったりしたことがあった。


自分は大変だから、キリンは許してくれると

勝手に思っていた。


 下手したら、私の願いでキリンが

 不幸になるのか・・・?


「確かに、忘れていたのかもしれない・・・

けど私はフレンズなのに、誰かを不幸にはしたくない・・・!」


「どこかが優しくないと誰も近くには居てくれないよ・・・?

少し、ここまでキリンや他の娘がどれだけ支えになっていたか考えてみてよ。



お願いだから」


──

───

────◆



 下から上へ崖を見上げる。

先にはまぁカラフルに青、黄色、緑のセルリアンが割れ目の内部びっしりと詰まっているわ…

おぞましい。


ただ、下にいるセルリアンは上にいるモノの重さで上手く詰まって固定されているようね。

すぐには動いてこないはず。


つまり…


「上から少しずつ叩けば、確実に倒して行けそうですね。」


 私は思う。え、上から!?

驚いた、私は下から順番に叩くことを考えていたわ・・・。

 確かに、崖の上から少しずつ攻撃して倒せば

いっぺんに相手にしないでいいから確実。

けど、セルリアンはとても崖上まで届くような高さにまでは積み上がっていない。

せいぜい中腹くらいまでの積み上がりかた。



 ─グズルルル・・・



 あ、こちらを見つけたのかしら

 下にいるセルリアン。

 少し動きだしたわね・・・。



「キノボリセンザンコウって分かります?

私の仲間にそういう動物がいるんです。

けども説明をする必要はもうなさそうですね、

品のない動きしてこっち来そう。」


「ガケノボリセンちゃんも見たかったけどねー?」



多分センは崖の途中まで登って、上から叩いて下からは私たちでアレするって考えだったのね。

でも、一方的にセンが攻撃されることと転落する可能性を考えると、私は賛成出来ないわ。



「崖であろうと、千回斬る甲と書いたセンザンコウの活躍、とくとお見せしたかったのですがね・・・。」


「そんな言われから来ていたのね!?」


思わず私は感心してしまう。










「まぁ冗談です、いい顔してますね。」



空気とタイミングを読まないことで!?

それにしても、少しオオカミ先生を思い出すわね。



「あ、下で動いているアイツの石見つけた!

 地面ぎりぎりの場所にあるね。

私がアイツ叩いて来るから、センちゃん後ろで構えてて!

多分重なってるヤツらも、降るか雪崩てくるからキリンはあっちへ離れてね。

さっきの手順通り、崖上を目指して!」



┈◆


「この崖の壁に沿って真っ直ぐ、走って行くと少しずつ上へと登って崖上へたどり着きます。


キリンは上へ着いたら、できる限り

蹴り落とすつもりで反撃してください。

私たちも下からすぐに追いつきますので。」


・・・

「ここから右へ、崖沿いに走ればいいのね

分かったわ。

なるべく引き付けるけど、貴方たちも無理しないでね」


「当然、貴方こそくれぐれも無理しないでください。

・・・こちらもタダ働きはしたくないのでね。」


「センちゃんも素直じゃないね!」


┈◆



センが可愛くないこと言ってたのを真っ先に思い出したわ・・・。

けど分かっている、照れ隠しなんでしょう彼女なりの。


「オルマー・・・貴方こそ大丈夫です?

ただ一点の絶望、あまり私としては─」


「いや、行かせて!

レアジャパリまん見つけた今日の私たちは運がいいから大丈夫!


動かないでいたり、気づけないでいた後悔ってすごい辛いんだよ?私はそういうの、分かるんだ」



オルマー、私もそのとおりだと思う。



何でも屋なだけあるわね。よし、構えよう。

崖上を目指し二人から離れることにする。

おびき寄せられればこちらのもの。

弱点は突かず、上へ登りコロコロしてやるだけよ。



「よし行こう!! いいね!

下のきみ、そこを動くんじゃ─







タッタッ・・・





─ないよォー!!!」



 バッ カァン!!



遠目、オルマーの強烈な裏拳から始まったよう。

鈍く弾ける音がここまで響く!

衝撃はプロテクターの毛皮がほぼ吸収して、だからこそ思い切り攻撃ができるらしい。


セルリアンは大きいと、石も大きくなって

狙いやすい分威力が必要になるのに・・・

ものともしないオルマーはやっぱりすごい!


粉砕した衝撃で、積まれたセルリアンが浮き上がり、なだれたり巻き上がって落ちていく。



 ただ、あのままだとセンたちは雪崩に

 飲み込まれてしまう…大丈夫かしら?



「キリンはそのまま走ってください。

あ、頭の上気をつけて落ちて来ますよ!

オルマーも余所見せず行きましょう!」


 「大丈夫だよ!」



遠くからセンたちが声をかけてくれる、向かうしかない。

落ちてまだ動けるヤツは、確かに引き寄せられるようにこっちへ来る・・・大きいのもいる!

やはりサンドスターがむき出しになっているからか。


おっと頭の上から小型のセルリアン。

それを軽くマフラーで舐めし、地面にのめらせ砕けちらす。


 …一応私の方は順調。

 心無しかマフラーの操作性もいい気がする。

 あとは逃げつつ攻撃をして上を目指す!!



 因みに、向こうで落ちて何体かセルリアンが

 壊れるのは見えたが


 私の記憶に未だ変化はない・・・。



────

───

──

─▲


キリンにチョコのジャパリまんを持ってきてもらったことがある。

本当にいいタイミングで。


キリンから飛び抜けた発想をもらったことがある。

帽子すら凶器にするなんて発想はない。


アリツさんに場所を提供してもらっている。

ここが一番描くのにうってつけ。

アリツさんもとても気遣ってくれている、

たまに手厳しいけど。


セグロもあの時石で私の未来をつないでくれたし、

今もこうやって面と向かって訴えてくれている。

さっき打ち負かしたと思ったらこれだよ、

フフ・・・。



「生まれた時から間違っていて、一人でいることが多かったからオオカミの積極的さが羨ましいんだ、本当は」


・・・?

つまり、フレンズ化した時から否定されていたと…?

会った時から少し寂しそうな娘とは感じていたが…



私も大概だけど、この娘もなんだか・・・



生い立ちからか疑り深い娘とかも見たけど、

彼女もやはり相応の体験をしていたんだろう。


「君とはまぁ長いけど、それについては聞いてなかったね」


「今、それは重要じゃないよ!

少し考えていたようだけど分かった?」


何と、すごい強気だね。

感謝しないといけない。


「セグロも強くなったね、あの時声掛けて本当によかった。大事なものを少し思い出せた、ありがとうね。

でも私も気になっちゃったよ。

何故キミは、そんなに正しいか間違いかにこだわるのか」



──

───

────.:*・゜



キリンは行ったようですね、周りのヤりつつ後ろからフォローを─



…?オルマーはどこへ行ったのでしょう、

割れ目近くにいたのに見当たらない。






…まずいかも分からない。





 ─ガァーーン!!



大きな金属のような足音がしたので前方に意識を戻すと…

目の前に立ちふさがる、私の2倍ほどの高さがあるセルリアン。





こいつをどうにかしてからオルマー探し─



ビ ギァン‼︎



—する前に弾けましたね。



何かぶつかるような破裂音と一緒に消滅。


ビュンッ

ほっぺを欠片が掠めていく。



そして大きな影が前に着地する。

よかった、オルマーですね。



「センちゃんごめんね、ロデオしてたんだー。

心配してたでしょ。分かる、分かるよ〜」



どうやら、今のセルリアンの上にいたようですね。遊びじゃないんですってば…。




ザクッ バァン‼︎




聞きたいことが出来たので、横から来てたのを

逆立てた甲で軽くスライスしつつオルマーに聞く。



「セルリアンの身体に乗れたのですか?

キリン助ける時、攻撃受け流されてたはずですが。」


「うん、野性解放したら触れたし乗れたんだ。

実を言うと、あの時は解放する前に攻撃しちゃって─


あ、センちゃん後ろから来る!」


背後から来る中サイズのセルリアンを

下から尻尾で掬い上げ刃で真っ二つ。

石を狙うまでもないですね。



あっと、スカートがめくれて恥ずかしい。



私のちらりはどうでしたかね?

感想なんて聞いてませんが。

と言うふうに、ハジけたセルリアンを後ろ目に一瞥してやる。



「してなるほど、解放してれば触れるんですね・・・

意外と気づきませんでした。」


「なんかノリノリしてるねセンちゃん、

片したら早くキリンを追いかけよう!」





─少し歩いて行った先に。


・・・?何ですかアレ?


黄色い球体が置いてある。私の背よりでかい。


見ると、上に太い紐みたいのが付いていて

少し先には、・・・単目のヤツがいますね。

ヒモは、細長い頭部に繋がっていてトゲ状の4つ脚を持ち大きく図体もでかい。

此方に気づいたのか、ヒモの通った頭だけで玉を持ち上げつつこちらを凝視している。



例えるなら鉄球クレーン車に四足がついたよう。

巨大な玉を振り回してくるだろう、構えないと。



「あっは・・・これ二人じゃないと、ヤバいかもね。

キリンには悪いけど、少し追われながら待ってもらおう」


「同感ですね、ま彼女なら大丈夫でしょう。

 それにしても球体勝負ですか、面白い。









 ─どっちが本当のスフィア球体か。

 見せてやりましょうよ?」


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