優しいコたち ┈茶緑のむかし┈
私も慰めたいわ!ほらほらおいで。
┈+
『セグロジャッカルって・・・』
『・・・あぁ、あの娘か・・・』
『他の餌狙うハイエナとかの・・・』
『兄弟でも奪い合って・・・』『いやしい』
『あ..また今度で』『貴方には関係ない』
『また奪ってきたん?』
『何しに来たの?しっしっ』
『貴方、何か企んでるでしょ?』
『利口な生き方してたらしいねぇ?』
確かにボクって、前の姿ではズルい、イヤな目で見られる生き方してたんだと思うよ・・・!
でもフレンズになったんだから、
そんな生き方もうしない、したくないよ。
だから・・・
正しいって思える生き方がしたいのに。
悪く見られるの、ずっと我慢してきた。
でも、ずっと気にしないでいるなんて
やっぱり・・・
できないよ。
パトロールで役に立とうとして
感謝されたりはしたけど・・・
行く先々で変な言われ方もされた。
結局どうすれば正しくて、
何が間違っているのかな・・・。
頑張っているのにな・・・。
もういいや。一人の方が苦しくないし
動きやすいし、ほっといてよ。
フレンズになんかならなければ・・・よかった。
夕焼けの中で岩場を見つけて座り込む。
何でこんなに間違っちゃうんだろう。
何でなのかな
分からないで泣いているその時、後ろから声を掛けてくるフレンズがいたんだ。
泣き顔のまま振り向いてしまった。
─『後ろから見てても思ったけど、寂しそうにしているね?
キミの綺麗な緑の目も、そう言っている。
少し話を聞かせてくれないかな?』
・・・なんで?恥ずかしい顔しているのに
ボク汚れているのに何で近くに来るの?
あっち行きなよ。イヤじゃないの?
その娘はボクから離れようとしなかった。
こっちも、すごい話したくなったんだ。
・・・
─『自分から進んでパトロール?
すごいよ、大体の娘は好きなことを気ままにやっているのに。私もそうだしね・・・
もっとお話したいなキミと。
同じイヌ科の仲なんだ、聞かせてくれないかな?』
藍色のオオカミが、警戒せず近くにいてくれた。
ボクも話した。辛かったこと、だから正しく居たいこと、役に立ちたいこと。
そこからだ、少しずつ変わっていったのは。
彼女とは時間を見てよく会った。
前より、何か言われても大丈夫になった。
支えがあるだけでとても楽になれた!
アタシはアタシ。いや、ボクだけども。
これが正しいって事なのかもしれない。
見つけられた気がしてならなかった!
─『動物の偏見だけで、ここまでとても
辛い思いをしてたんですね。
それでも正しくあろうとしてた貴方は
私なんかよりもずっと強い。
あの時も待っていてくれて本当に
ありがとう。
もう、泣かないでいいんですよ。』
─『セグロ、貴方は普段会ってない娘でも
しっかり思って心配出来ているのね。
私のことを否定しないでくれて
ありがとうね。おかげで元気が出たわ』
そういえば、ここまで認めてもらう言葉なんて殆どかけられなかったっけ。
ほんとは誰かに肯定されたかった・・・。
こっちも、そうだねって言いたかったんだ。
ボクが、もっと誰かのためにいられれば
それでいいのにな。
┈+
「久しぶりに会っていきなり強い出方だね、
流石だよ。
確かにキリンは他の娘への洞察力?に難しいところがあるからね。
でも周囲を見る目は私よりも鋭いよ。
セグロもそれを見せられたんじゃないかな?」
────
─貴方、何か出会うタイミングがバッチリな気がするわね。
セルリアン片付けてから出てくるなんて。
─もしかして、セルリアンを誘導して私に
当てつけたとか...ないわよね?」
────
あれは偶然だけど。
けど、あそこまで考えていたのはすごいよ
キリンは!
って!!
「・・・ボクの言葉聞いてた?騙されたキリンが、今どうしているか心配にならないの!?」
「あぁ、全然心配にならないね。
大体友達になったんだろう?酷いことなんて出来ないさ、キミはね」
オオカミは事も無げだ、全然動じない。
どういうこと!?
キリンのことなんか心配していない・・・?
そんな、あの時から君はもう─!!
「だって、キミの嘘は絶対に
他の娘を不幸にしないから」
・・・え?
「自分が辛かった分、常に何が正しいか
正解なのかを考えて動いているから。
今日久しぶりに会ったけど、キミの眼は
綺麗なまま。
あの時から変わってないよ、優しい色して。
キミの行動は今も、常に正解を求めている」
何でこっちが言いくるめられているんだろう。
せっかく、キリンを心配させてパートナーの大事さを分からせてあげようと思ったのにな・・・。
「いいねセグロ、絶対になくしてはいけないモノをここまで大事に出来ている。
けど、私と駆け引きをするのはまだまだ!
正しいと考えてこういうことをしたんだ、
キリンにどんなウソついたのか教えて欲しいな」
ボクじゃまだダメだったか。
「大したことないよ。
オオカミが作家していることを知らないフリしただけ」
┈┈┈
─オオカミはあれから作家になったんだね。
─元気にしててよかった!
─昔からやりたいって言ってたし、皮肉だけど目標も見つけて・・・
┈┈┈
「上手く行って気持ち良くなったんだ。
キリンをダメにしちゃおうとかそんなつもりはなかった。
大体、この島でギロギロ知らないフレンズ
なんていないよ!
あからさまにセン出しているし、作者がオオカミだってすぐ分かった」
「見抜けなかったのもキリンらしいね、何気に漫画ほめてくれてありがとう。
それにしても、あからさま・・・か。
恥ずかしいね フフ」
「ただ、オオカミ。分かったようなこと言ってるけど、キリンに少し甘えすぎじゃないのかな?辛く当たったりしてさ!
彼女もオオカミのこと思って動いているのに、何か事あるごとにぶつかったり
センがギロギロが って!
キリンも少し妬いてたよ─」
─他の娘のために動く。
ボクがもっと正しくあるために!
「キリンさん、遅いですね・・・
消灯までには戻るように伝えたのに・・・」
雨降りしきる中、こちらでは日を跨ぐ時を迎えていた。
─
──
───
────
道中出会ったセンとオルマー。
何だかんだ言って彼女たちは、多分セルリアンに奪われた私の記憶を取り戻すため動いてくれるみたい。
私の記憶が自分たちに利益がある って理由を付けているけど、やっぱり感謝せずにはいられないわね。
今は彼女たちが何者かは分からない。けど
この先できっと何か思い出せる。
私は一人じゃない、怖がらず進むだけよ!
「いいですか?セルリアンはキリンを狙って進んでくると考えてください。
理由はサンドスターがむき出しだから。
なので逃げて、出来れば逃げつつ攻撃してくれるのがベストです。」
「つまり、悪いけどキリンは囮になっちゃうね。私らが後ろから攻撃していく感じだな。
バックステップで攻撃できるならして、その方が安全だし私らの活躍もよく見えそうだし♪」
「オルマー、遊びでやるんじゃありません。
油断しないように。
最初に見たと思いますが、ヤツら液体みたくなっていて石以外は体内に潜ってしまう可能性があります。
攻撃を外さないように行きましょう。」
「私にも自慢のマフラーがある、逃げ攻撃
くらいはできるから大丈夫よ!」
崖の場所へ移動する途中で少し訪ねることにした。
「さっき聞いたんだけどセン、貴方は何故彼女をアルマーとは呼ばないのかしら?
本人その愛称考えてたようだけど」
「ん、そんなの簡単ですよ。
私は前からずっとそう呼んでいたからです。
さっきも言いましたが彼女はフレンズ化
し直した、けど私にとってはどこまで行ってもオルマーなんです。」
確かに・・・前から一緒にいる存在を、いきなり呼び方変えるのってなかなか勇気いるのよね。
「そうなのね・・・し直した時は、やっぱ嬉しかった?」
「えぇ、記憶は無くしてましたが。
また結成しなおして、この場所へ来てよかったと思ってます。」
ココが少し妙に思った。完全同種のフレンズってなかなか見つからないはずなのに、
何でへいげんとは違う娘が此処に・・・?
いや、まず此処って─
「キリン、意外と同種の娘っているもんですよ。」
「あ、はいはーいセンちゃん私も喋らせて!
同種だけど色違いのペンギンの娘もいたんだって!紫色の娘だったな確か。
私はもう一人の方は覚えてないけど、
センちゃんは二人に別々のタイミングで会ったんだって」
「お話もしましたね。」
そんなこと、一応有り得るのね。
って、PPPの中の誰かかしら?
そうこうしているうちに崖に着いてしまった。
一応言うと、下側の方ね。
目の前には切り立った崖が見えており、
うわっ・・・
確かにびっしりと上から下まで割れ目にセルリアンがいる。
黄色、緑、青のセルリアンが沢山。
しかもなかなか大きいのも複数いて、
私がどれに犯されていたのか分からないわね・・・。大体目が良く見えてなかったし。
ただ・・・
今まで見知ったセルリアンとは少し形が違う気がする。
今まで見たことある丸い形のヤツもいるけど、尖った足や手がついたのもいる。
生き物や、乗り物ってやつ?によく似た感じね。目が一つなのは相変わらずだけども。
「あれじゃどれが私の記憶を持っているか分からないわね」
そう漏らす私に、センは言った。
「何を言っているのですか。全部ヤりますよ、行動で示すっていうのはそういうことです。」
「って、でもアレいっぱい居すぎてるわよ!?」
数で言うと、100とまでは行かないけどそれに届きそうなくらいかしら・・・
「何とでも言ってください。
オルマー、何かあります?」
「危なくなったら一旦隠れようね・・・」
オルマー口数少なくなったわね・・・。
「えぇ、分かりました。
急いでロクなことはないので。」
センは何とでもと言う割には物分りいいのね。
私も同感だけど。
私は走る準備しないと行けないわね。マフラーのべちん準備も・・・
(痛っ!?)
マフラーの裏側に何かがしまってあって、それで指を切ってしまった。
痛いが血は出ない。少し指先から破片が出たと思ったらすぐに治った。
形の違うウロコのようなのが2枚。危ないわね・・・。
でも、綺麗で捨てるのはもったいなく感じて・・・
左の胸ポケットにしまうことにした。
「・・・・・・」
センが訝しげに後ろ目で見ていたみたい。
けど、私はそれに気づくことができなかった。
「待たせました、行きますか。」
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