第12話 討伐報酬(特殊)

「さてと……十分休んだし色々見ていくか。」


 5階層にて巨大な黒スライムを倒した京介は、精神的に逼迫された状況からなんとか回復しようやく行動できるほどになった。それとレベルアップの効果によるものだろうが細かい傷跡や肉体の疲労感なんかはレベルアップによって消えることだ。ちなみに肌荒れも消えた。


「まずは……ステータスから。」



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名前 :朝谷京介あさたにきょうすけ

位階 :F

レベル:68

体力 :1020/1020

魔力 :487/810


スキル

【取得経験値10倍】

【剣術:素戔嗚流 Lv.2/10】

【無属性魔術 Lv.2/5】

【心眼 Lv.1/3】

【鑑定 Lv.1/3】

【扉移動】


称号

【世界初の探索者】【神剣保持者】【階層主単独討伐】


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「めっちゃレベル上がってるな!てか位階も上がってるじゃん。スキルレベルも上がってるし……やっぱボス戦は色々おいしいのかな?とりあえず1個ずつ確認していくか。」


 そう言って京介は、レベルの上がった【剣術:素戔嗚流】を意識して新しく覚えた技を思い浮かべる。すると、【縮地しゅくち】と【閃瞬せんしゅん】という技が出てきた。


 【縮地しゅくち】はどうやら移動技のようで、地面に両足が付いている状態でのみ発動可能な技で、視界内の5m範囲内であれば好きなところへ瞬間移動できるという中々にすごい技だった。


 もうひとつの【閃瞬せんしゅん】は攻撃技で、目にも止まらぬ高速の居合を放つ技となっており、2秒の溜めが必要にはなるようだが技のイメージからくる威力が、先ほど戦ったほどのものだった。


「次はこの新しい称号だな。」



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【階層主単独討伐】


 ダンジョンの階層を護る階層主を単独で討伐したものに与えられる称号。

 階層主討伐後の報酬により良い物がでやすくなる。


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「報酬……ああ!さっき出てきたこの箱かな?なるほど宝箱みたいなものか。これの中に報酬が入ってるんだろうけど、その内容が良くなるってことか。」


 京介は立ち上がって、台座のあった場所に出てきた黒い光沢のある箱を開ける。鍵などは無く、すんなりと開いた黒い箱の中には液体の入った瓶と黒い指輪、黒い魔石が入っていた。


「これポーションか?!こっちの指輪はアクセサリの装備っぽいし……んでこれが黒スライムの魔石かな。3つも入ってたけどこれが称号の効果ってことなのかな?」


 京介が箱の中からすべて取り出すと、黒い箱は光に変わり消えてしまった。


「5階層はこれで終わりってことかな?外に出て、もう一回5階層に来ればボスに挑戦しなおせたりするのかな。」


 そう言いながら、京介は手に入れた報酬の内容を見るために【鑑定】を使う。



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治癒ポーション

位階:F


怪我を治すことのできるポーション。

体力を1割回復することができる。

位階:Fだと、後天的な外傷ならすべて直すことができる。


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魔力回復の指輪

位階:E


魔力の自然回復量を増やすことができる。


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闇の魔石

位階:F


位階:Fにあたる闇属性のモンスターの魔石。様々な素材として使用可。

また、魔力を込めることで小規模の暗幕を生じさせることができる。


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「おおっ!すごい……けど探索者協会に持って行った方がいいかもなポーションは。」


 京介はレベルアップの効果もあり目立った外傷はなく、知り合いにも怪我に困っている人はいない。将来的な保険として持っていてもいいとは思うが、エリクサー症候群のようになりそうなので、必要としている人に渡る可能性の高い探索者協会に売ろうと考えていた。


「ただどうやって手に入れたとか、ポーションの効果をどうやって知ったのかとか色々聞かれるよなぁ?はぁ、その辺のことは後で考えるか。」


 京介はリュックにポーションをしまう。魔力回復の指輪は自分で使用するために指に着けようとする。


「ありゃ、中指だとぶかぶかに……ってうおお!指輪縮んだ?!」


 中指に指輪を嵌め込んだはいいものの指輪が大きく、かなりぶかぶかで親指にしようかと考えていたら、指輪がひとりでに縮んでいき中指にピッタリと嵌まった。京介は特に魔力を籠めたりしていないので、指輪の機能なのだろう。


「魔法でも感じてたけどホントにファンタジーだなこりゃ……」


 中指の大きさにピッタリと変わった指輪を見ながら、魔石をリュックへしまう。そこで京介は自分が使っているリュックを改めて見ると、もともと使い込んでいたがダンジョン内でも入ったり戦闘をしたりと様々な場面で酷使していたこともあり肩の部分が解れてきている。バイト代も入っているので、京介は思い入れもあるが新しいものを買うことを決めた。


「よし、5階層もクリアできたし次の階層に……これどっから行けるんだ?」


 いつもなら一本道の洞窟になっているが、今回は円形の大きな部屋のような空間だ。降りてきた階段はあるが、それ以外に下へ行く階段が出ているようには見えない。


「え~、まぁ一回外周の壁沿いに歩いてみるか……」


 そう言って京介は入ってきた階段の右側から壁伝いに歩く。小さな公園ほどもある広さの部屋はボス戦をしていたとは思えないほど静かだ。


「年明けから探索者として活動が始まるのか……観光地に扉が出てるって話だし、旅行しながら行く感じかな~。稼げればいいんだけど……」


 そんなことを考えながら部屋の中を歩く京介。今はちょうど降りの階段の正面あたりの壁に着いた頃だった。


「う~ん、今までだと入ってきた階段の向かい側だったんだけどなぁ。ボス部屋だとなにかギミックとかあるのかな?」


 もしくは特殊条件のボスを倒したことによるトリガーの変更か。通常ならボスを倒して次の階層へ行く階段が現れるというような感じだと思っていたが、今回は特殊のボスを討伐したことで普通とは違う状況になってしまったのではないか?という京介の考えだった。


「とりあえず一周……あ。」


 京介が大部屋を一周し終え、降って来た階段の左側に到着した時だった。手をつこうとした壁が揺らめきながら消え、下へ続く階段が現れたのだった。


「えぇ~……」


 さすがの京介も呆れ顔だった。

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