第4話 青スライムの群れ

「うおおおっ!マジかよ!?」


 京介は絶賛青スライムと対戦中だった。だが京介がなぜ焦っているかというと、青スライムが一度に3体も出現してしまい悪戦苦闘している最中だったからだ。


「ちっ!【飛斬】に【魔弾】!」


 バックステップを続けながら先頭にいるスライムに攻撃する。だが、京介も常に移動しながらスキルを使用しているために狙いがぶれて中々思うようにいかなかった。


「ピギッ!」「ピッ!」「ピギー!」


「だぁー!お前らどっから声出してんだ!」


 跳ねながら追いかけてくる青スライムたちは謎の発声をしながら京介のことを追いかけてくる。遠距離攻撃こそしないものの、先ほど触れたジャージの裾の部分が溶けて消えていたために京介はできる限り近付かずに倒したかった。


「埒が明かないな……そうだ!【身体強化】3分でっ!」


 京介は魔力を消費して【無属性魔術】の【身体強化】を使用する。すると全身から湯気のようなものが立ちはじめ、自分が考えた通りに身体が動くのを感じる。


「っし!これなら倒せそうだ!ふっ……【飛斬】からの【魔弾】2連射!」


 京介はバックステップをしたあとに先頭で跳ねているスライムに瞬きほどの速さで近付き、0距離で【飛斬】放つ。急に接近した京介に反応できない青スライムは、0距離で放たれた【飛斬】によってやられてしまう。京介はそのまま青スライムたちの裏へ回り込み、【魔弾】を2発至近距離から両方の青スライムへと放つ。【魔弾】はそのまま青スライムの体を捉え貫通し、光へと変わっていった。


「ふぅ~……【身体強化】解除っと。いやこれめっちゃ強いな!魔力消費も少ないし、他のスキルと合わせて使えるからデメリットらしいものがなさそうだし……青スライムに慣れるまで【身体強化】でブーストしよう。」


 落ちている魔石を拾いながら今後の方針を考える京介。2階層の青スライムは群れで襲い掛かってくることもわかり、その対処として【身体強化】を使って戦闘を行えば比較的簡単に倒すことができることも分かったので2階層を抜ける目途が立った。


「よし、スキルに慣れるためにもガンガン使っていくか!魔力に余裕はあるしこっからは【身体強化】フルスロットルで行きたいな~。ステータスっと。」


 京介は自身のステータスを確認する。



―――――――――――――――――――――――


名前 :朝谷京介

位階 :G

レベル:30

体力 :620/620

魔力 :427/440


スキル

【取得経験値10倍】

【剣術:素戔嗚流 Lv.1/10】

【無属性魔術Lv.1/5】

【心眼Lv.1/3】

【鑑定Lv.1/3】


称号

【世界初の探索者】


―――――――――――――――――――――――



「レベル30でも位階は変わんないのかぁ……位階を上げるのはレベルじゃないのか?」


 京介はステータスを閉じてその場に座り込む。レベルに関してはどんどんと上がっていくのに対して位階やスキルレベルが変わらないことを不思議に感じていた。当初、レベルによって位階が上がっていくと考えていたがどうにもそうではなさそうだった。ステータスに書いている通り京介は「G」の位階という位置なのだが、漫画などでよく見るタイプの位階通りなのであればおそらくG → F → Eのように上がっていくと考えていた。ただ京介の位階に対する考えとしては実はふたつある。ひとつは先ほど述べたレベル説だったが、もうひとつの考えは偉業説だ。この考えも漫画から着想を得たもので、今回の場合だと扉を作った神々によって偉業と呼ばれる功績を上げることで位階が上がるのではないかというものだ。


「ただ偉業って言ってもどれくらいのことをすればいいのかわからないってことなんだよな……」


 分かりやすいものだと扉のダンジョンのクリア?踏破ができれば確実に上がるのではないかと考える。他にも、モンスターの討伐数やいるかはわからないがボスモンスターを倒す等いろいろとあるとは思う。あと多分神様方が見てると思うので気に入られたりすればいいのではとも思う。


 「まぁ、まずは3階層めざしてがんばるか。」


 水をひとくち飲んで立ち上がる。扉を感じる位置からして2階層も半分くらいだろうか。それと【心眼】のスキルのおかげなのか、モンスターの位置の把握?というかなんとなくどこらへんに敵がいるのかというのが分かるようになってきた。スキルレベルは上がっていないので、おそらくスキルの使い方のようなものがわかってきたのだと思う。


「おし、進むか。【心眼】から分かるのは少し離れたとこに青スライムが2体……かな?【身体強化】10分!行くぞ!」


 京介は【身体強化】を発動して走り出す。普通に走るよりも2倍は速く走れる上に動体視力も上がっているので車程の速度で走っているにもかかわらず足元に落ちている小石のひとつひとつまで認識することができる。


「お、青スライムが見えてきたな。感じてた通り2体だ。速攻で倒すぞ!」


 右手に持つ包丁で【飛斬】を発動し、空いている左手で【魔弾】を用意する。青スライムは急速に接近してきた京介に気付く様子もなく2体とも一撃で倒される。魔石を素早く回収して、先へと進む。スマホで時間を確認すると2階層に潜ってから1時間が経過していた。1階層と同じくらいの長さの洞窟であることを願いながら走り続ける。レベルが上がった影響か、走り続けてもスタミナが切れそうにない。


「また青スライムがいるっぽいな?ここからでも狙えるなら試しに……

【飛斬】!」


 射程範囲ギリギリから青スライムに向かって【飛斬】を放つ。そして【飛斬】と並ぶように走る速度を上げて、青スライムに肉薄する。【飛斬】が青スライムから見えないくらいの位置で青スライムに向かって包丁を振るう。さすがにこれだけ近づくと青スライムも気付くようで包丁を避けるために上へと跳ねる。だがそこには【飛斬】があとから飛来し、青スライムを両断した。


「うん、【身体強化】を使えばこういう戦い方もできるな。まぁ青スライムにしか通用しなさそうなのがネックだけど……」


 魔石を拾ってまた先へと進む。【身体強化】の効果時間は残り5分程なのでまた走る速度を上げてダンジョンを進む。すると走り始めて2分程進んだところで行き止まりの壁が現れた。


「やっと着いた……時間としては1階層より少し短いくらいだけど【身体強化】つかってこの時間だから距離的には2倍くらいあるのか?だとしたら3階層は3倍くらい?大変だな……」


 京介が行き止まりの壁に近づくと壁の一部が蜃気楼に揺れ動き、次第に消えていき降りの階段が現れた。1階層から2階層へと行く際に見た階段と同じものだった。


「よし、それじゃあ3階層に一旦降りて帰りますか。」


 そう言って階段を降りる京介。階段を降り切ると、扉をくぐった際に感じるような光を全身に感じ、次に目を開けた時には


「…………は?」











――――――――――――――――――――――


あとがき


どうも、阿吽あうんです。

この作品を読んでくださり誠にありがとうございます。

初めての作品投稿で戦々恐々としておりましたが、たくさんの方に目を通していただき大変驚いております。

まだまだ始まったばかりのこの作品ですが完結するまできちんと書き上げていく所存ですので、何卒よろしくお願いいたします。

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