2018/12/11(火) 急に冷えすぎ

やかんの笛が鳴り目が覚めた。慌ててガスを止める。

そのまま二度寝した。


なんだか焦げ臭い。やかんは水が空っぽになり、赤熱して歪んでいた。

慌ててガスを止める。しょうがない。

やかんの取っ手を掴むと、ポロリと取れた。


蓋を開けたままのカップラーメンを冷蔵庫にしまうと、風呂が沸いたことを知らせるアラームが鳴った。


服を脱ぎ捨て風呂場に行くと、ゴム栓がちゃんと閉まっていなかったようで、湯気だけが浴室を我が物顔で漂っていた。

忌々しい。換気扇を全力で回すと、今日の風呂は諦めて、布団に入った。

電気毛布のスイッチを入れ忘れて、全くあったまっていない寝床。

これじゃ仕事にならない。PS4の電源を入れる。

暖かい温風を感じながら、二度寝した。


「うすあじ」

おばあちゃんがそういったので、なぁに?と聞き返す。

「うすあじ」

……よくわからない。

お父さんが5個入りの小さなあんぱんを開け、一つ取り出すとおばあちゃんに渡す。

おばあちゃんは、パンを半分にちぎると、僕にくれた。


いつも年末になるとおばあちゃんの家に行って年越しをした。

紅白歌合戦を流しながら、ルーペで新聞を読むおばあちゃん。

鼻唄を歌いながら、お皿を洗うおばあちゃん。

写真に撮られるのが嫌いなおばあちゃん。

春にイチゴ狩りに来る孫のために、畑でイチゴを育てるおばあちゃん。


カップラーメンは伸び伸びだった。橋で麺を掴むと、ぶつぶつと切れ、逃げるようにスープの中に逆戻りしていく。

食べ終わった茶碗に米粒が残っていると、農家の人が悲しむよ、と怒られた。というかうちは農家だ。


四角い三角コーナーにラーメンをどばどばと捨てると、みかんを剥いてストーブに乗せた。皮をもしゃもしゃと食べる。風邪予防だ。


もち米が半端に余った時、普通の米と混ぜて作るごんだもち。うにょーんと伸びはしないが、つぶつぶの食感が独特でまた美味しいものだ。

スーパーでは見かけたことがない。


よく膨らんだみかんを千切ると、海苔を巻いて砂糖醤油につけた。それは到底イクラとは呼べないシロモノだった。

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