電車に揺られながら、つり革片手にスマホでゲームをしていた。

席が空いていればよかったが……

アクションゲームは電車で遊ぶのに向かないことを痛感した。

ふと、目の前に座っていた、メガネにスーツの量産型サラリーマンが立ち上がる。

「頭頂ハゲは天使の末裔である証だ。見下すな」

彼はそう宣言すると、自らのズラを毟り、網棚の上に置いて下車していった。ラッキーだ。

帰宅した頃には日付が変わっていた。ログインボーナスを巡回し切れていないことに気がつきげんなりしたが、ソファーに転がりながら惰性でテレビをつける。

相変わらず、環境問題のニュースが流れている。

ここ数年、急激に海水が減っているらしい。CMで節水を訴えるキャンペーンソングは耳が腐るほど聞かされた。なんでも萌えキャラを使えばいいってもんじゃない。

喉が渇いたので味のしないガムを口に放り込む。

ーーそもそも節水は効果があるのだろうか。水は天下の回り物だ。

金持ちや大企業は、水が無くなることを恐れて、水を大量に抱え込んでいるらしい。

しょうがない。噛み潰したガムをフーセン状に膨らませると、ふわりとベランダから飛び立った。

クリスマスに雪は降るだろうか。

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