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おやじ(2)


若いころ20代いや10代のころから、じんじょう高等小学校を出てから、20代まで、おやじは、おかしの職人だったそうで手先が器用な人だった。ぼくが生まれる前、おふくろと、お見合いをする少し前に、タクシーに転向したようだ。このジャケット、スラックス、ワイシャツにネクタイ、黒塗りのタクシーに乗っていたオヤジはいつもかっこよかった。

偏光グラスのサングラスを、いつも愛用していた。

仕事に行く前に、毎日、家の前で、車を洗車してから、仕事に行っていた。

小さいとき、幼稚園の送り迎えもよくしてくれていた。お弁当も毎日、高校まで作ってくれた。


おやじ。ありがとう。




おやじは何でもやる


おやじの家は、皮のそばの小さな赤い屋根の家、庭もあり、物置もあり、川におりれる。下の段の庭もある家だった。

おやじは、川の好きな人だった。家の中から、はやを、つって、からあげにして酒のつまみに食べたこともあった。家の土地は元々、川のそばの畑だったそうで、ななめのような変な土地で自分で土地を整地して石垣をつくり、土地を上の段下の段ときれいにして、家を建てたそうである。

石垣の石は、川まで行き、軽トラで運んだそうである。、




おやじ こもりうたは、きみがよ?


やきん きみがよ


小さいとき、おれはよく、風邪を引く子供だった。

そして、おやじは仕事の合間に、駅の小山田さん(幼児病院)町医者まで、メーターを倒し、温泉場から、駅まで、くろぬりの営業車で送ってくれた。小さいとき、オレは、気が弱く、静かな子供だった。

おやじは、口ぐせで、社内にて、オレは、ベンチシートのよこにのせ病院の帰りに、車の中で「きみがよ」を歌ってくれた。大人になったら人前で歌の一つもうたえないといけない。日本人なら、国家でも、歌えないといけないと、毎回、病院の帰りに「きみがよ」を聞かされた。

今だと思い出すと、少し、笑える。

風邪をひくと、かならず、きみがよをきかされた。今だと、セピア色の思い出である。




おやじは家事もした。


私が生まれてすぐ、おふくろは、私を育児放棄したそうである。私の母は、今で言う自律神経失調症の病気を持っており、精神疾患が少しあり、分裂気質がある。

私のオムツを取り替えたり、ミルクをあげたり、せんたくをしたりするのはすべて、オヤジが夜中でもやっていたそうである。

昼間はオバアちゃんがきていたり、オヤジが仕事の合間に見に来たり、したようである。家事に、仕事に、よく働いたオヤジだった。料理は、なかなか上手だった。

煮物、おひたし、てんぷら、なんでも上手だった。

仕事が忙しいとき、お昼や、夕ご飯は仕事の合間にタクシーで家により、キャベツを刻んで、総菜のコロッケや、魚を焼いて、ご飯を作り、一緒にご飯を食べてから、夜、11時までの仕事に行ったり、とまりの仕事に行ったりしていた。

とまりのときは、冷蔵庫に、翌朝のおかずも作っていってくれた。

勉強するんだぞ、風呂は入れよ、せんたくしておいてな…

父さん仕事行ってくるねといいながら、仕事に行っていた。




オヤジは友達も作ってくれた。


いなかの、小さな温泉町のかんこうタクシー 仕事をしていて、おとくいさん、お客さんには、あっちの旅館、こっちの酒屋さん、どこのやおやさん、いろいろなお客様のお得意さんがいた。

あっちこっちで仕事をしながら、お客さんの子供が、私のと同じ学年の子がいたとしたら、うちのこと同じ年だ、うちの子と仲良く頼むね。今度、家に遊びに来てねと声をかけてくれる。ほんとうはそこで友達ができるはずだったが、おふくろが、精神病のため、おかしく、来る友達、来る友達、みんなおみごとにおっぱらってくれた。それでもおやじはいつも積極的に、友達ができるように、がんばってくれた。

そのおかげあって、ぼくは、いつもよわくて、なきむしであったが、友達がいて、一緒に遊ぶ友達は少し、できた。

ぼくは、映画スタンド・バイ・ミーにでてくる、友達の後ろをまってくれよと泣きながら、まってくれよ、オレも一緒に行くという感じだったような気がする。

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