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タクシーをはじめる。


ぼくの入った会社は管理職がみな、KMから来たエリートの人たちだった。小さな会社に入ったのに。会社はKMと変わらなかった。

・今日も1日300キロ以上走ってきなさい。それがうちの会社の、ノルマあしかけです。

・会社を出たら、二度と会社に戻ってきてはいけません。

 会社の近くで営業してはいけません。

・三鷹、吉祥寺、武蔵野。井の頭、三吉はいけません。

 都心に行きなさい。

・きれいにひまわりの花を咲かせなさい。


早く出なさい。いくらでも遅くまで営業してもいいと言われ、1日五万やってきても、距離が足らないとまだ走れると怒られ、1時間の休みを3回取ると、なんでこんなに休むんだと怒られ、きれいにひまわりを咲かせると褒められた。休むときはえきづけをしながら休みなさいと言われた。




旧日本海軍? 三鷹陸上飛行隊?


ぼくは三鷹の線路沿いの車庫を出て、三鷹ST、井の頭公園沿いの一通りを通り、成蹊通りから、井の頭通りへ、出る。

吉祥寺から、吉祥寺通りで立野町を通り、関町から、青梅街道井草八幡方面そして早稲田通りで新宿へ向かいながら、朝の通勤の、お客様を流しでいくつかポイントを押さえながら、流しをする。

何カ所かポイントがある。新宿に入り、朝の歌舞伎町に入り、ホスト帰りのおネエチャンをひっかけながらお昼まで営業をする。お昼頃、11時頃から明治通りで品川方面、古川はしまで流しをしながら品川へ向かい、品川STのお昼営業をする。

2時頃お昼休憩をして、夕方から、品川のえき出しを行い、また夜は、新宿に入ったり、池袋の西口の終電をやる。最初の頃、渋谷、青山、六本木は少し抜けていた。


あとから聞いた話なんだが、開成の中村社長は毎日、車が出庫し終わってから、管理職を集めて、おまえら、運転手になめられるな なかよくするな はたらかせろ と、ヤジを、毎日言っていたと。一緒に、やめてよそに移った運転手からその話を聞いた。


三鷹の開成交通は管理職が皆元・KM

旧海軍のような感じだった。朝会社に出ると、外で一列に並び、点検を終えた日報を抱え、挨拶訓練をして、表示を読み上げて、窓口に並び、出庫OKの判子をもらう。出庫の時には出口に車を一列にならべて、1台ずつ、門にて、今日は雨で道路が濡れているから、今日は何とかだからと、毎日注意を言われて、1台ずつ門から出て行く。旧海軍のゼロセンか、1台ずつ出されていくかのように出される。

仕事を1日終えて会社に戻り、5万以上持っていても、タコがあいている。しまがよくない、距離が足りないと小言を言われる。元KMの管理職の三鷹の開成交通は、とにかく、厳しかった。


葉は一度、枝から離れたら二度と戻らないけどんぼくらは翌朝24時間後、枝に戻る。

花びらは一度、枝から離れたら、二度と枝に戻らない。(大岡、松本零士さんのコクピットに出てくるセリフだ)

タクシーは一度、車庫を出たら、会社に戻るな会社に戻るな会社の近くで営業してはいけません、都心に行きなさい、本日も一日300キロ、駅にはつけてはいけません。流しをしなさい。きれいなひまわりを本日も咲かせなさい。

昼、夜、あおたんに入る前、1時間×3休むと、なんだチミはと怒られた。(元KMの管理職はうるさかった)

うちはAAだから、早く出なさい、遅くまでやってきなさい、と毎日檄を飛ばされ、車庫から一台ずつ営業に出される。本日は路面がすべる。本日は子供が多いから、本日は雨、晴れ、落ち葉が落ちているからと、365日小言を言われ、軍隊式に一台ずつ、80台の車が出される。

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