タクシーブルース

おたけ

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1日1営業、車庫をえたら、一日頑張らなければならない。

散りゆく花は二度と戻らないけれど、愛する人のところに戻らないといけない。

朝会社に行くとカウンターにならび点検簿をもらい、その日も車の点検を行う。寒い朝LPGはかかりが悪い。特に古い車は! キーを回す。キュルキュルキューズドーンとかかる。アクセルを軽く踏み、アイドリングを上げる。ブオーンーと低く静かにエンジンを上げる。エンジンをあたため、元に戻す。外装の傷を常に出る前徹底的にチェック、それをしないと後で痛い目にあう。消せる傷は撥水ワックスとコンパウンドで落としてきれいにしておく。


車をきれいにして出ると車がいいお客を引っ張ってくれる。エンジンを止め、少し、落ち着かせてから、オイル、水、バーテックを見る。オイルは少し多めに入れておく。バッテリの残量もしっかり見ていく。ライト、ハザード、あんどんのあがり。

赤灯、SOSも見ておく。

点検簿を出し、乗務セットをもらう。


車庫入り口に管理官が立っている。

ライト、OK。あんどん、OK。乗務員証、OK。バック、OK。

決まって小言を言われる。今日は路面かすが出るから気をつけて。人、自転車気をつけてと何か言われる。

ハイ オーライー 出向OK いってらっしゃい と空母から、一台ずつ、出されていく。


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