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しばらくすると、お店はだんだんと混み始めてきた。
「恵。きたよ」
「おっす」
そんなとき、約束していた通りに山吹絵里と、それからなぜか一緒に森野忍が、恵の働いてるケーキ屋さんにケーキを買いに来てくれた。
「結構忙しそうだね」動きっぱなしの恵を見て、絵里は言う。
「まあ、クリスマスイブだからね」恵は言う。
「……それよりも、あれあれ? もしかして、二人は付き合っているのかな?」にやにやしながら恵がそう言うと、二人は、
「付き合ってないわよ」
「付き合ってねえよ」
と、同じタイミングで恵に言った。
「じゃあ、どうして?」と恵が聞くと、二人は幼馴染であり、たまたま二人とも暇だったので、一緒にケーキを買いに来たということだった。
この二人が本当に告白をして付き合うようになるのは、このときからだいたい一年と少しの時間が経過した、高校を卒業するときだった。
絵里と忍はモンブランのケーキを買うと、ちょうど席が一つ空いたので、そこで紅茶を頼み、買ったばかりのケーキを食べた。
「美味しい」絵里は言った。
「でしょ?」紅茶を注ぎながら、恵は言った。
そのモンブランのケーキは葉月くんの手作りだった。だから、美味しくないわけはないのだ。
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