14
三人は夕日に染まる土手沿いを三人で一緒に歩いて下校していた。
「早乙女のやつ。自分から告白しておいて、結局来なかったのか。いい加減だな」忍が言う。
「そんなことないよ。なにか事情があったんだよ。早乙女さん、いつも忙しそうにしているし……」絵里が言った。
「うん。僕もそう思う」真冬が言う。
真冬は屋上に芽衣がこなかったことを二人に伝えていた。
真冬と忍は下校途中で缶コーヒーを買って、それを飲みながら歩いていた。真面目な絵里は下校途中に自動販売機で飲み物を買って飲んだりはしなかった。
「それで、真冬。約束をすっぽかしたことはむかつくけど、それはそれとして、やっぱり早乙女とは付き合うことにしたのか? あいつ、顔は可愛いからな」
忍の発言を聞いて、絵里が忍に肘打ちをした。
「実は、まだよくわからないんだ」真冬は言う。
「迷っているってこと?」絵里は言う。
「うん」真冬はそう言ってから、二人に中学一年生のときにあった、芽衣との出会いや思い出を、ある程度、個人的な芽衣の情報は言わないように気をつけながら二人に説明をした。
中学二年生でクラスが一緒になってから、三人は仲良くなったので、忍と絵里は二人の知らない中学一年のころの真冬と芽衣の話を、真剣な面持ちで、興味深そうに、うんうんと相槌を打ちながら聞いていた。
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